
インフラエンジニアの勉強法|未経験から転職するための勉強の順番と、独学でどこまでやるか
未経験からインフラエンジニアを目指すなら、転職のための勉強は「広く浅く全部」ではなく、順番を決めて進めるのが近道です。おすすめの順番は次のとおりです。
| 順番 | 学ぶこと | 応募までの到達の目安 |
|---|---|---|
| 1 | IT基礎(用語・仕組み) | サーバー・OS・IPアドレスなどの言葉を、自分の言葉で説明できる |
| 2 | Linux | 仮想マシンでコマンドを使い、ファイル操作・権限・サービスの確認ができる |
| 3 | ネットワーク | IPアドレス、DNS、ルーティングなど、通信の流れを図で説明できる |
| 4 | クラウド | 主要サービスの考え方と、基本用語がわかる |
| 5 | 資格と伝え方 | 資格の受験予定を決め、学んだことを書類・面接で説明できる |
この記事では、未経験から転職するための勉強の順番、自宅でできる練習、独学でどこまでやれば応募を始められるか、勉強したことの伝え方を解説します。資格の選び方そのものは、IT転職に有利な資格と、未経験から取る順番で詳しく整理しています。
未経験者の採用で、入社前に構築や設計ができることは求められません。未経験の方が最初に担当することが多いのは、運用・監視の仕事です。入社後の研修や現場で覚えることも多いため、企業は入社後も学び続けられる人かを見ています。
当社が2024年9月〜2026年9月に支援した、IT業界での就業経験がない内定者149名について、企業が記録した主な採用判断項目を集計しました。
| 主な採用判断項目 | 人数 | 149名に占める割合 |
|---|---|---|
| コミュニケーション力 | 68名 | 45.6% |
| 意欲 | 65名 | 43.6% |
| 継続力 | 9名 | 6.0% |
| 理解力 | 5名 | 3.4% |
「意欲」が主な項目だった65名の判断理由を当社がキーワードで数えたところ、48名(73.8%)に、学習・資格・実践に関する言葉(学習、資格、CCNA、Linuxなど)が含まれていました(当社の参考値・暫定)。意欲は「やる気があります」という言葉ではなく、実際に学んでいる行動として評価されていたことがわかります。
ただし、この数字は内定した方の記録で、採用率ではありません。「勉強すれば採用される」という因果関係を示すものでもありません。集計の詳しい条件は、未経験インフラエンジニアの採用基準で説明しています。
次の項目のうち、多くに当てはまれば、応募を始める準備はできていると考えてよいでしょう。全部そろうまで待つ必要はありません。
| 確認すること | できている状態の例 |
|---|---|
| 学習の習慣 | 毎週の学習時間を決めて、続けられている |
| Linux | 仮想マシンにLinuxを入れて、基本コマンドを使ったことがある |
| ネットワーク | IPアドレスとDNSの役割を、図を描いて説明できる |
| 資格 | 受験日が決まっている、または1つ取得している |
| 説明 | 学んだ内容と、つまずいたところを話せる |
キャリアカンパニーの面談では、ITの基礎知識を学び、志望する職種の仕事内容を理解できた段階で、応募を始めて問題ないとお伝えしています。資格の取得を待つ必要はありません。学習と転職活動を並行して進めることをおすすめしています。
「学習中です。〇月に受験予定です」と書類に書いて、応募を始める方も多くいます。
最初は、サーバー、OS、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、ITの全体像をつかみます。ここで細かい暗記に時間をかけすぎる必要はありません。この後の学習で出てくる言葉が「聞いたことがある」状態になれば十分です。
ITパスポートの出題範囲は、IT基礎を広く確認する目安になります。資格の内容はITパスポートとは、基本的な用語はIT基礎知識まとめを参考にしてください。
インフラの現場では、サーバーのOSとしてLinuxが広く使われています。運用・監視の仕事でも、ログの確認やサービスの状態確認でコマンドを使う場面があります。
Linuxは、自分のPCの中に仮想マシンを作れば、すぐに手を動かして練習できるのが利点です。読むだけの学習より覚えやすく、学習の成果を「やったこと」として説明しやすくなります。
コマンドの一覧はLinuxコマンド一覧にまとめています。資格で区切りをつけるなら、LPICまたはLinuCのレベル1が目安です(LPICとは/LinuCとは)。
次に、コンピューター同士がどのように通信しているかを学びます。最初に押さえたいのは、次の4つです。
Linuxを先に学んでおくと、「自分で立てたサーバーに、別の機器からつながるか」を試しながらネットワークを理解できます。用語はTCP/IPとは、サブネットとは、DNSとはで確認できます。資格で区切りをつけるならCCNAが目安です(CCNAの勉強時間)。
クラウドは、サーバーやネットワークを、インターネット経由で必要な分だけ使う仕組みです。Linuxとネットワークの基礎があると、クラウドのサービスが「何を置き換えているのか」が理解しやすくなります。そのため、クラウドは3番目以降に学ぶのがおすすめです。
最初は、仮想サーバー、仮想ネットワーク、ストレージ、アクセス権限の管理など、主要サービスの考え方と用語を押さえれば十分です。AWSやMicrosoftは、公式の学習サイトで入門向けの教材を公開しています。基本はクラウドとはと仮想サーバーとは、資格はAWS資格ロードマップで整理しています。
最後に、学んだ範囲に合わせて資格の受験日を決めます。資格は、学習の成果を第三者に示せる区切りとして役立ちます。一方で、資格だけで実務の力を証明できるわけではありません。資格の勉強と並行して、「何を学び、何ができるようになったか」を説明できるように準備しましょう(伝え方は後半で解説します)。
どの資格をどの順番で取るかは、IT転職に有利な資格と、未経験から取る順番とIT資格ロードマップをご覧ください。
働きながら勉強する場合の、3か月の進め方の例です。期間は目安で、学習に使える時間によって変わります。
| 期間 | 学ぶこと | 目標 |
|---|---|---|
| 1か月目 | IT基礎の用語、Linuxの基本操作 | 仮想マシンで、基本コマンドを一通り使える |
| 2か月目 | ネットワークの基礎、サーバーの設定 | 通信の流れを、図を描いて説明できる |
| 3か月目 | クラウドの基本用語、資格の問題演習、書類の準備 | 資格の受験日を決め、応募の準備を整える |
上の順番は、志望する職種が決まっていない方向けの基本形です。目指す職種が決まっている場合は、その分野を先に厚くしても問題ありません。
| 志望 | 先に厚くする分野 | 区切りにしやすい資格 |
|---|---|---|
| まだ決まっていない | IT基礎→Linux→ネットワーク | ITパスポート、LPIC/LinuCレベル1 |
| サーバーエンジニア | Linux | LPIC/LinuCレベル1 |
| ネットワークエンジニア | ネットワーク | CCNA |
| クラウドエンジニア | Linux・ネットワークの基礎の後にクラウド | AWS・Azureの入門資格 |
どの職種が自分に合うか迷う方は、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いやインフラエンジニアに向いている人も参考にしてください。
インフラの勉強は、本や動画を見るだけだと、知識が定着しにくい分野です。自宅のPCでもできる練習を、3つ紹介します。
| 練習 | 使うもの | できるようになること |
|---|---|---|
| Linuxの仮想マシンを作る | 仮想化ソフト(VirtualBoxなど) | コマンド操作、Webサーバーの設定、ログの確認 |
| ネットワーク機器の設定を試す | シミュレーター(Cisco Packet Tracerなど) | IPアドレスの設定、ルーティング、VLAN |
| クラウドの用語と画面に慣れる | 公式の学習サイト(AWS Skill Builder、Microsoft Learnなど) | 主要サービスの考え方と、基本用語 |
VirtualBoxは、Oracleが公開しているオープンソースの仮想化ソフトで、個人でも利用できます。仮想マシンにLinuxを入れて、Webサーバーをインストールし、ブラウザからページが表示されるまでを試してみましょう。うまく表示されないときに、設定ファイルやログを見て原因を探す経験は、運用・監視の仕事にそのままつながります。
Cisco Packet Tracerは、Ciscoのネットワーキングアカデミーが提供している、ネットワークのシミュレーションソフトです。公式サイトから無料でダウンロードできます。実機がなくても、ルーターやスイッチを画面上でつなぎ、設定を試せます。CCNAの学習とあわせて使うと、教科書の内容を自分で確かめられます。
AWS Skill Builderには、無料で受けられるデジタルコースが多数用意されています(一部は有料のサブスクリプション)。Microsoft Learnにも、Azureの学習コンテンツがあります。実際にクラウドの環境を作って試す場合は、使った分だけ料金がかかる仕組みであることを理解し、料金の通知を設定する、使い終わったら環境を削除するなどの注意が必要です。料金や無料で使える範囲は変わることがあるため、利用前に各社の公式サイトで確認してください。
練習をしたら、日付・やったこと・つまずいたこと・どう解決したかを、メモに残しておきましょう。この記録が、後で書類や面接で「勉強したこと」を説明するときの材料になります。
勉強の方法は、大きく分けて3つあります。どれが正解ということはなく、使える時間・費用・一人で続けられるかで選びます。
| 方法 | 向いている人 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 独学(本・学習サイト・動画) | 費用を抑えたい人、自分で計画を立てられる人 | 順番を決めないと遠回りしやすい。質問できる相手がいない |
| スクール(有料) | 質問できる環境や、決まったカリキュラムがほしい人 | 費用が高いことが多い。転職支援の中身を確認する |
| 転職支援サービスの学習カリキュラム | 転職を前提に、学習と求人選びを一緒に進めたい人 | カリキュラムの範囲と、利用の条件を確認する |
有料のスクールを検討する場合は、プログラミングスクール「やめとけ」の理由と失敗しない選び方も参考になります。
独学に不安がある方へ:CCNA・LPICの無料学習カリキュラム
キャリアカンパニーでは、CCNA・LPICなどの無料学習カリキュラムを用意しています。ネットワークやLinuxの基礎から順に学べます。転職の相談とあわせて利用できます。
オンライン IT スクールを見る問題集の答えを覚えて合格しても、面接で「それは何のための仕組みですか」と聞かれて答えられないことがあります。資格の勉強をするときも、仮想マシンやシミュレーターで実際に試すと、理解が深まります。
インフラに関係する分野は、Linux、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、プログラミング、データベースと幅広くあります。最初から全部を学ぼうとすると、どれも中途半端になりがちです。転職前は、Linuxとネットワークの基礎を軸にすると、範囲を絞りやすくなります。
勉強に終わりはありません。完璧になるまで待つと、応募の時期が遅れます。資格の受験日が決まった段階で、応募を始める方法もあります。
面接で「どんな勉強をしましたか」と聞かれたとき、具体的な内容が出てこないと、学習の量が伝わりません。学んだ日付と内容を記録しておくと、説明の材料になります。
面談でお話を聞いていると、独学では「専門用語が難しい」「何から学べばよいかわからない」「学んでいることと実際の仕事のつながりが見えない」という点でつまずく方が多い印象です。専門用語の理解は、入社後1〜3か月の時期にもつまずきやすいところです。入社前に用語に慣れておくと、入社後の負担を軽くできると考えられます。
勉強は、伝えて初めて評価の材料になります。書類と面接で伝える内容を、次の4つに整理しておきましょう。
| 伝える要素 | 書く・話す内容 |
|---|---|
| きっかけ | なぜインフラを選び、勉強を始めたか |
| 内容と量 | 何を、どのくらいの期間・頻度で学んでいるか |
| 実践 | 仮想マシンやシミュレーターで試したこと |
| 成果と課題 | できるようになったこと、つまずいたことと乗り越え方 |
履歴書の資格欄に勉強中の資格を書く場合は、取得済みと誤解されないように「勉強中」「受験予定」と明記します。職務経歴書や自己PR欄では、学習の期間・内容・いまの進み具合を具体的に書きます。書き方はIT転職の職務経歴書の書き方とIT転職の自己PRの書き方で解説しています。
面接では、学習内容について「なぜそうなるのか」を深掘りされることがあります。難しい質問に完璧に答える必要はありませんが、わからないことを、どう調べて解決したかを話せると、入社後も学び続けられる人だと伝わります。インフラの面接でよく聞かれる質問は、インフラエンジニアの面接でよく聞かれる質問と答え方にまとめています。
面談では、「IT業界に興味がある」だけで終わらせず、なぜインフラエンジニアを選んだのかを具体的に説明することが大切だとお伝えしています。そのうえで、学習の内容・学習の期間・いま取り組んでいることを具体的に話すと、学習への意欲が伝わります。たとえば、次のような伝え方です。
「ネットワークの仕組みに興味を持ち、現在CCNAの学習を進めています。将来的にはネットワーク構築に携わりたいと考えています。」
未経験で入社した後も、勉強は続きます。運用・監視の仕事で現場の経験を積みながら、資格や構築の知識を身につけることで、担当できる仕事が広がります。
当社の自社集計では、運用・監視を3年以上経験し、資格も持っていた方20名のうち19名(95%)が、入社後半年ほどで構築・設計の業務を担当していました。対象が20名と少ないため、傾向を示す参考値です。
入社前の勉強は、入社後の学習の土台にもなります。進め方は運用・監視から構築・設計へ進む方法で、年収の変化はインフラエンジニアの年収で解説しています。
入社前の勉強で役立ちやすいのは、IPアドレス、DNS、Linuxの基本コマンド、ネットワークの仕組みなどです。知識を暗記するだけでなく、実際にLinuxを操作するなど、手を動かして学ぶことが効果的です。
勉強の順番は、この記事で紹介した「IT基礎→Linux→ネットワーク→クラウド」で問題ありません。ただし、志望する職種によって重点は変わります。
「何から学べばよいかわからない」という段階でも、面談で一緒に整理できます。
勉強の順番と応募の時期を、相談したい方へ
いまの学習の進み具合から、応募を始める時期や、志望する職種に合わせた勉強の順番を、専属のキャリアアドバイザーが一緒に整理します。学んだことの伝え方も、オンラインで相談できます(60分)。
日程を選んで無料相談を予約するIT基礎の用語で全体像をつかんだ後、Linuxから始めるのがおすすめです。Linuxは自分のPCの仮想マシンで練習でき、手を動かしながら覚えられます。その後にネットワーク、クラウドの順で進めると、前に学んだ内容とつなげて理解しやすくなります。
独学で学習を進めて転職する方もいます。未経験の採用では実務経験は求められず、学習を続けているかが見られています。当社が支援した内定者149名の記録でも、CCNAやLinuxの学習、仮想環境での学習が、評価の内容として多く書かれていました。
決まった期間はありません。働きながらの場合、3か月ほど学習してから転職活動を始める方が多く見られます。学習と転職活動を同時に進めても問題ありません。
資格がなくても応募はできます。受験日を決めて「受験予定」と書類に書き、応募を始める方法もあります。資格は学習の区切りとして役立ちますが、学んだ内容を説明できることも大切です。
未経験からインフラエンジニアを目指す段階では、プログラミングを先に学ぶ必要はありません。まずはLinuxとネットワークの基礎を優先しましょう。作業を自動化するシェルスクリプトなどは、入社後に必要に応じて学ぶ方法もあります。
専門用語は最初は難しく感じますが、順番を決めて少しずつ進めれば理解できる内容です。当社の紹介実績(入社201名)は、前職がIT業界以外の方を対象にした集計です。文系かどうかより、学習を続けられるかが大切です。
1日の時間が短くても、毎日続けることを優先しましょう。平日は用語の確認や問題演習、休日は仮想マシンでの練習、のように分けると続けやすくなります。在職中の転職活動の進め方は、IT転職は在職中と退職後のどちらがよいかで解説しています。
応募を始める目安、独学でつまずきやすい点、伝え方、勉強の順番、入社前に役立つ勉強は、キャリアカンパニーの面談での実感をまとめたもので、集計した数字ではありません。自社集計の数字は、当社の紹介実績であり、業界全体の数字ではありません。
株式会社エンデバース 代表取締役
キャリアカンパニー責任者
百瀬 将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。