
LinuC(リナック)は、Linuxサーバーを構築・運用できる力を示す、国内の認定資格です。未経験からインフラエンジニアを目指す方は、まずレベル1(101試験と102試験)から始めるのが基本です。この記事では、LinuCの概要、レベル別の内容、試験の形式と受験料、出題範囲、難易度、学習計画、LPICとの違い、転職での活かし方まで、公式情報をもとにまとめました。
この記事のポイント
インフラの現場では、サーバーのOSとしてLinuxを使う場面が多くあります。サーバーの設定や障害対応では、コマンドで操作できることが前提になります。LinuCは、この「Linuxを扱える力」を、試験で客観的に示せる資格です。
未経験の方が最初に狙うのは、レベル1です。レベル1の受験に、実務経験や前提となる資格は必要ありません。101試験と102試験の両方に合格すると、レベル1に認定されます。受験の順番は問われません。
一方で、LinuCを取るだけで、転職が決まるわけではありません。採用側が見るのは、「なぜインフラに進みたいのか」と、「学習を続けられるか」です。資格は、その学習の成果を示す材料のひとつです。この記事の後半で、書類・面接での伝え方も紹介します。
LinuCは、特定非営利活動法人LPI-Japan(エルピーアイジャパン)が運営する、Linux技術者の認定資格です。2018年3月から提供されています。試験は、日本語と英語の両方で受験できます。
出題の内容は、現場の変化にあわせて改訂されています。現在のレベル1とレベル2は、Version 10.0です。受験前に、使う教材が現在のバージョンに対応しているかを必ず確認してください。
⚠ 注意
受験料・試験時間・出題範囲などは、改訂により変わる場合があります。受験の前に、必ずLinuC公式サイトで最新の情報を確認してください。この記事の数値は、2026年10月時点の公式情報にもとづいています。
LinuCは、レベル1からレベル3までの3段階です。段階ごとに、想定される技術者像が決まっています。
| レベル | 想定される技術者像 | 認定の条件 | 未経験の方の目安 |
|---|---|---|---|
| レベル1 | Linuxサーバーの構築・運用・保守ができる技術者 | 101試験と102試験の両方に合格 | 最初の目標。実務経験・前提資格は不要 |
| レベル2 | 仮想環境を含むLinuxのシステム設計やネットワーク構築を、設計・導入・保守でき、問題を解決できる技術者 | レベル1の認定を持ったうえで、201試験と202試験の両方に合格 | 実務で数年経験したあとの目標 |
| レベル3 | エンタープライズ(大規模な業務システム)の構築に必要な、専門技術を持つスペシャリスト | レベル2の認定を持ったうえで、3PS(プラットフォーム)または3SS(セキュリティ)に合格 | キャリアを積んだあとの目標 |
レベル2の試験は、レベル1の認定がなくても先に受験できます。ただし、認定を得るには、レベル1の認定が必要です。レベル3は、スペシャリストとして、仮想化・コンテナ・分散環境の構築や、セキュリティの強化を扱います。
未経験の方は、レベル1を取得したあと、実務を経験しながら、レベル2やクラウドの資格へ進む流れが現実的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 認定の条件 | 101試験と102試験の2試験に合格(受験の順番は自由) |
| 試験時間 | 90分(試験後のアンケート5分を含むため、実質85分) |
| 問題数 | 約60問(1試験あたり) |
| 受験料 | 1試験16,500円(税込)。レベル1の認定には2試験が必要なので、合計33,000円 |
| 試験の方式 | CBT(コンピュータで受験)。選択問題が中心で、キーボード入力の問題も一部ある。実技・面接はなし |
| 受験の場所 | テストセンター、またはオンライン(自宅・職場で受験)。団体向けには紙の試験もある |
| 受験の前提 | 実務経験・前提資格は不要 |
| 試験の言語 | 日本語・英語 |
| 認定の有効性 | 101・102の両方を5年以内に合格する必要がある。認定後は、5年以内に再認定、または上位認定の取得が必要 |
2試験の受験料の合計は、33,000円です。不合格の場合は、再度、受験料がかかります。参考書での準備に加えて、費用の見通しも立てておきましょう。
⚠ 注意
受験料は、時期により変わる場合があります。申込みの前に、LinuC公式サイトで、最新の金額と、再受験のルールを確認してください。
出題範囲は、「主題」という単位で整理されています。レベル1(Version 10.0)の主題は、次のとおりです。各主題の中の小項目に、重要度が付いています。重要度の高い項目から、学習を進めるのが効率的です。
| 主題 | 学ぶこと(かみくだいた説明) | 現場とのつながり |
|---|---|---|
| 1.01 Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用 | Linuxの導入方法、仮想マシン、コンテナの基本 | 検証環境を自分で作る場面で使う |
| 1.02 ファイル・ディレクトリの操作と管理 | ファイルの作成・移動・削除、権限、検索 | 日々の運用の基本操作 |
| 1.03 GNUとUnixのコマンド | ファイルの中身の確認・検索・加工、パイプ、リダイレクト | ログの確認、障害の調査 |
| 1.04 リポジトリとパッケージ管理 | ソフトウェアの導入・更新・削除 | サーバーへのソフト導入、更新作業 |
| 1.05 ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム | ディスクの管理、領域の分割、ファイルシステム | 容量不足の対応、ディスクの増設 |
| 主題 | 学ぶこと(かみくだいた説明) | 現場とのつながり |
|---|---|---|
| 1.06 シェルおよびスクリプト | シェルの操作、簡単な自動化の書き方 | 定型作業の自動化 |
| 1.07 ネットワークの基礎 | IPアドレス、名前解決、ネットワークの設定と確認 | 疎通確認、ネットワーク障害の切り分け |
| 1.08 システム管理 | ユーザー管理、日時、ログ、定期実行 | アカウント発行、ジョブの管理 |
| 1.09 重要なシステムサービス | サービスの起動・停止、時刻同期、メール、印刷など | サービスの起動状態の確認・再起動 |
| 1.10 セキュリティ | 権限の管理、暗号化の基本、ログインの保護 | 不正アクセスの防止、設定の見直し |
| 1.11 オープンソースの文化 | オープンソースの考え方、ライセンス | OSSを選ぶ・使うときの判断 |
101試験は「Linuxの基本操作とディスク」、102試験は「自動化・ネットワーク・管理・セキュリティ」に分かれています。どちらから受験しても問題ありません。操作に慣れるため、101試験から始める方が多くいます。
LinuCレベル1の難易度は、「ITの基礎知識があり、コマンドを実際に打って練習すれば、届く水準」と考えます。実務経験は必要ありません。ただし、知識を暗記するだけでは、問題に対応しにくい試験です。コマンドの使い方を、実際に動かして理解していることが前提になります。
公式サイトで確認できる情報では、合格点は明示されていません。合格率も、本記事の作成時点で、公式ページで確認できませんでした。数字による他資格との比較は、ここでは行いません。
未経験の方が、つまずきやすい点は、次のとおりです。
lsやgrepは、オプションの組み合わせで動作が変わります。一覧を暗記するより、実際に打って結果を見て覚えます。ポイント
コマンドは、「見て覚える」より「打って覚える」ほうが定着します。本を読む時間の半分は、実際にコマンドを操作する時間にあててください。
公式が定める学習時間はありません。必要な時間は、普段からパソコンやコマンドに触れているかどうかで、大きく変わります。まずは、学習のしかたを決めましょう。次の3つを、順に進めます。
次の表は、仕事をしながら学習する場合の例です。学習できる時間は人によって違うため、自分の生活に合わせて調整してください。
| 期間 | 学ぶこと | やること |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 学習環境づくり、ファイル操作、基本コマンド(主題1.01〜1.03) | 仮想マシンにLinuxを入れ、毎日コマンドを打つ |
| 3〜4週目 | パッケージ管理、ディスク・ファイルシステム(主題1.04〜1.05) | ソフトの導入、ディスクの確認を実機で試す。101試験の問題を解く |
| 5〜6週目 | シェル・スクリプト、ネットワーク(主題1.06〜1.07) | 簡単なスクリプトを書く。IPアドレスの設定・確認をする |
| 7週目 | システム管理、重要なサービス、セキュリティ、OSSの文化(主題1.08〜1.11) | ユーザー作成、サービスの起動・停止、権限設定を試す |
| 8週目 | 総復習と、問題演習 | 間違えた問題を中心に復習し、受験日を予約する |
試験でも現場でも使う、基本のコマンドです。一覧を眺めるだけでなく、実際に打って、結果を確認してください。
| 分類 | コマンド | 何をするか |
|---|---|---|
| ファイル操作 | ls | ファイルとディレクトリの一覧を表示する |
| ファイル操作 | cd / pwd | ディレクトリを移動する/今いる場所を表示する |
| ファイル操作 | cp / mv / rm | コピー/移動・名前変更/削除 |
| ファイル操作 | mkdir / touch | ディレクトリを作る/空のファイルを作る |
| 中身の確認 | cat / less | ファイルの内容を表示する |
| 中身の確認 | head / tail | ファイルの先頭・末尾を表示する(tail -fでログを追う) |
| 検索・加工 | grep | 文字列を検索する |
| 検索・加工 | find | 条件に合うファイルを探す |
| 権限 | chmod / chown | 権限を変更する/所有者を変更する |
| プロセス | ps / top | 動いているプロセスを確認する |
| ディスク | df / du | ディスクの空き容量/使用量を確認する |
| 圧縮 | tar | ファイルをまとめる・展開する |
| サービス | systemctl | サービスの起動・停止・状態確認 |
| ネットワーク | ip / ping | IPアドレスの確認/疎通の確認 |
| リモート接続 | ssh | 別のサーバーに安全に接続する |
| エディタ | vi | ファイルを編集する |
rmは、削除したファイルが元に戻らないコマンドです。学習中でも、実行する前に、対象を必ず確認する習慣をつけてください。この習慣は、実務のサーバーで作業するときに、重大な事故を防ぎます。
LinuCと並んでよく名前が挙がるのが、LPIC(エルピック)です。どちらも、Linuxの技術力を示す資格です。違いは、主に運営団体と、想定する市場にあります。
| 項目 | LinuC | LPIC |
|---|---|---|
| 運営 | LPI-Japan(日本のNPO法人) | LPI(カナダに本部を置く団体) |
| 位置づけ | 日本の市場にあわせて、日本国内で開発・運用 | 世界共通の問題を使う国際的な認定 |
| 問題の作り | 日本の技術動向にあわせて、日本向けに作成 | 世界共通の問題を使用 |
| レベル構成 | レベル1〜3の3段階 | レベル1〜3の3段階 |
| 向いている人 | 国内の企業で働くことを考えている方 | 海外での活躍も視野に入れている方 |
日本国内の案件や求人では、どちらも評価されるという見方が一般的です。まずは、学習する教材が豊富で、自分が理解しやすいほうを選んで問題ありません。両者の詳しい比較は、LinuCとLPICの違いを比較した記事でまとめています。
⚠ 注意
LPICの試験情報(受験料・試験範囲など)は、LinuCとは別に、LPI側の公式サイトで確認する必要があります。この記事では、LinuCの内容に絞って記載しています。
インフラエンジニアの採用では、未経験者に対して、資格は「学習意欲と基礎知識の証明」として評価されます。資格があるだけで、採用が決まるわけではありません。ただ、実務経験がない段階で、基礎を学んだことを客観的に示せる材料は多くありません。LinuCは、その材料のひとつになります。
当社で2025年8月〜2026年7月に入社した201名(自社集計)のうち、前職がIT以外の方は90%でした。多くの方が、実務経験のない状態から、IT業界に進んでいます。インフラ分野に入社した170名の入社時年収は、中央値で320万円(転職前は300万円)でした。入社時の年収が、転職前を上回った方は60%でした。
また、運用・監視の経験を3年程度積み、資格を持つ20名のうち19名(95%)が、入社後半年程度で、構築・設計を担当しています(自社集計)。詳しい進み方は、運用・監視から構築・設計へ進む方法で解説しています。
| 職種 | LinuCとの関係 |
|---|---|
| サーバーエンジニア・インフラエンジニア | Linuxサーバーの構築・運用に直結。レベル1の内容が、日常の作業で使われる |
| 運用・監視(オペレーター) | 障害の一次対応で、コマンドを使ってログを確認する場面がある。資格は、構築側へ進む根拠になる |
| クラウドエンジニア | クラウド上のサーバーにも、Linuxが広く使われている。基礎として役立つ |
| 開発エンジニア | 開発環境・サーバー環境の理解に役立つ。Webサービスの開発では、Linux上で動かす場面が多い |
資格は、取得した結果だけでなく、「なぜ取ったか」「どう学んだか」を伝えると、評価が上がります。次の例は、書き方の参考です。自分の経験に合わせて、書き換えてください。
【例】
インフラエンジニアを目指し、LinuCレベル1の取得に向けて学習しています。自宅のパソコンに仮想マシンを作り、毎日コマンドを操作しながら学習を進めました。現在は、101試験に合格しており、〇月に102試験の受験を予定しています。学習を通じて、ログの確認やディスクの管理など、運用の基本を実際に試してきました。入社後は、運用・監視の業務から経験を積み、将来は構築・設計を担当したいと考えています。
「〇月に受験予定」と明記して、応募を進めることも可能です。取得済みの試験と、予定を分けて書くと、状況が明確に伝わります。
grepやsystemctlなど、使ったコマンドと、目的を説明できるようにしておきます。面接では、コマンドの暗記より、「何のために、どう使ったか」を説明できることが評価されます。実際に手を動かした経験を、自分の言葉で話せるようにしましょう。
| 失敗のパターン | 起きる理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 参考書を読むだけで終わる | 見ただけでは、コマンドの動作が身につかない | 読んだ範囲のコマンドを、その日のうちに実機で打つ |
| 最初から完璧を目指して、進まない | 範囲が広く、1項目に時間をかけすぎる | 1周目は、全体像をつかむことを優先する。分からない所は印をつけて先へ進む |
| 学習環境を壊して、先に進めなくなる | 設定を変更して、元に戻せなくなる | 仮想マシンのスナップショット(保存時点)をとり、いつでも戻せるようにする |
| 試験の直前に新しい教材に手を出す | 不安から、教材を増やしてしまう | 使い慣れた教材と問題集の復習に集中する |
| バージョンの違う教材で学習する | 古い教材は、出題範囲とずれている場合がある | Version 10.0に対応した教材かを、購入前に確認する |
⚠ 注意
オンライン受験の条件(パソコンの設定、部屋の環境、本人確認の方法)は、公式の案内で細かく決められています。申込みの前に、必ず内容を確認してください。
受験前のチェックリスト
レベル1を取ったあとは、実務を経験しながら、次の目標を選びます。進む方向によって、おすすめの資格は変わります。
| 進みたい方向 | 次の目標の例 | ポイント |
|---|---|---|
| Linuxの専門性を深める | LinuCレベル2 | 仮想環境を含む、システム設計・ネットワーク構築を学ぶ |
| クラウドへ進む | クラウドの基礎資格(AWS・Azureなど) | Linuxの知識が、クラウド上のサーバー管理で活きる |
| ネットワークの力をつける | ネットワーク系の資格(CCNAなど) | サーバーとネットワークの両方を理解できると、障害対応の幅が広がる |
| セキュリティへ進む | 情報処理安全確保支援士などの資格 | Linuxの権限・ログの知識が土台になる |
資格の選び方全体は、IT資格のロードマップで整理しています。インフラエンジニアを目指す流れは、未経験からインフラエンジニアになる方法もあわせてご覧ください。
キャリアカンパニーでは、未経験の方が、資格学習と転職準備を並行して進められるよう、面談で学習状況を整理しています。応募のタイミングや、書類での見せ方も、一緒に考えます。資格の学習中でも、「〇月受験予定」と書類に明記して、応募を進められます。
インフラエンジニアを目指す方には、運用・監視から経験を積み、構築・設計へ進める企業を、ご案内しています。「LinuCを取るべきか」「どの順で進めるか」といった相談だけでも、お受けします。
インフラエンジニアへ未経験で転職する流れ全体は、こちらで解説しています。
▶ インフラエンジニアへ未経験で転職する方法
資格の取得は、ゴールではなく、インフラエンジニアとしてのスタートです。学習の進め方や、応募のタイミングに迷ったときは、お気軽にご相談ください。
受験できます。レベル1の受験に、実務経験や前提となる資格は必要ありません。ただし、コマンドを実際に操作する学習が必要です。仮想マシンにLinuxを入れて、手を動かしながら進めましょう。
受験の順番は問われません。操作の基本とディスクを扱う101試験から始める方が多くいます。両方に合格すると、レベル1に認定されます。
レベル1は、1試験16,500円(税込)です。認定には101試験と102試験の2試験が必要なので、合計33,000円です。金額は変更される場合があるため、申込み前に公式サイトで確認してください。
日本国内で働くことを考えている場合は、どちらも評価されるという見方が一般的です。国内向けに作られたLinuCと、世界共通のLPICのうち、教材が豊富で理解しやすいほうを選んでかまいません。詳しい比較は、LinuCとLPICの違いの記事をご覧ください。
資格だけで、転職が決まるわけではありません。採用では、志望理由と、学習を続けられるかが見られます。資格は、基礎を学んだことを示す材料です。学習の経過を、自分の言葉で話せるように準備しましょう。
認定そのものに、有効期限はありません。ただし、101・102の両方を5年以内に合格する必要があります。また、認定日から5年以内に、再認定または上位認定の取得が必要です。詳細は、公式サイトで確認してください。
公式が定める学習時間はありません。普段からパソコンやコマンドに触れているかどうかで、大きく変わります。8週間の学習計画の例を、本文で紹介しています。自分の生活にあわせて調整してください。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。