
LPICとは?レベル1〜3の内容・難易度・勉強法と、未経験の転職での評価
LPIC(エルピック)は、国際的な非営利団体LPI(Linux Professional Institute)が運営する、Linux技術者の認定資格です。サーバーのOSとして広く使われるLinuxを、コマンドで操作し、管理できることを、試験で示せます。
この記事では、LPICのレベルごとの内容、LPIC-1の試験の概要、勉強の進め方、Linux資格(LPIC・LinuC・Linux Essentials)の選び方と、転職での活かし方を整理します。
LPICは「Linux Professional Institute Certification」の略です。特定のメーカーの製品ではなく、Linux全般の知識と操作の技術を問う資格で、日本語を含む複数の言語で受験できます。
インフラエンジニアの仕事では、サーバーの設定や障害の調査を、Linuxのコマンドで行う場面が多くあります。LPICは、その基礎を体系的に学べる資格です。Linuxそのものについては、Linuxとは?で解説しています。
| 資格 | 位置づけ・認定の条件・有効期間 |
|---|---|
| Linux Essentials | Linuxとオープンソースの入門。LPICへの第一歩 1試験(60分・40問)に合格。前提条件なし 有効期間:生涯有効 |
| LPIC-1 | Linuxの基本操作とシステム管理 101試験と102試験(各90分・60問)の両方に合格。前提条件なし 有効期間:5年間 |
| LPIC-2 | より高度なシステム管理・ネットワークの運用 201試験と202試験(各90分・60問)の両方に合格。有効なLPIC-1が必要 有効期間:5年間 |
| LPIC-3 | 専門分野ごとの最上位の認定 4つの専門分野(下記)ごとの試験 有効期間:公式サイトで確認 |
LPIC-3の専門分野は、Mixed Environments(300)、Security(303)、Virtualization and Containerization(305)、High Availability and Storage Clusters(306)の4つです。
未経験からインフラエンジニアを目指す場合、目標にするのはLPIC-1です。LPIC-2・LPIC-3は、実務で経験を積んでから挑戦する資格と考えてよいでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 認定の条件 | 101試験と102試験の両方に合格する(受験の順番は問わない) |
| 前提条件 | なし |
| 試験のバージョン | 5.0(試験コード 101-500・102-500) |
| 試験時間・問題数 | 各試験90分・60問 |
| 出題形式 | 多肢選択問題と、穴埋め問題(コマンドなどを入力する) |
| 合格点 | 200〜800点のスコアで、500点以上が合格 |
| 受験方法 | ピアソンVUEのテストセンター、またはオンライン(OnVUE)。日本語で受験できる |
| 受験料 | 1試験15,000円(LPI公式サイトの日本向け価格。消費税の扱いを含め、申し込みの前に公式サイトで確認) |
| 有効期間 | 5年間(延長の方法あり) |
| 試験 | 主題(出題のテーマ) |
|---|---|
| 101試験 | システムアーキテクチャ(ハードウェアの設定、システムの起動と停止) Linuxのインストールとパッケージ管理(Debian系・RPM系のパッケージ管理、仮想化のゲストOSとしてのLinux) GNUとUnixのコマンド(コマンドライン、パイプとリダイレクト、プロセスの管理、正規表現、ファイルの編集) デバイス・ファイルシステム(パーティション、マウント、ファイルの権限と所有者、リンク) |
| 102試験 | シェルとシェルスクリプト ユーザーインターフェースとデスクトップ 管理業務(ユーザーの管理、ジョブの定期実行など) 重要なシステムサービス(時刻、ログ、メールなど) ネットワークの基礎 セキュリティ |
101試験は「Linuxそのものを操作する力」、102試験は「Linuxを運用・管理する力」を問う、と考えると全体像をつかみやすくなります。出題の範囲と配点は、受験前にLPIの公式サイトで最新のものを確認してください。
手続きの細かい流れや、オンライン受験で必要な環境は、変わることがあります。予約の前に、LPIとピアソンVUEの公式サイトで確認してください。
LPIC-1・LPIC-2の有効期間は5年間です。LPIの公式サイトでは、有効期限を延ばす方法として、次の3つが案内されています。
転職の書類に書くときは、認定が有効期間内かどうかも確認しておきましょう。
LPIは、合格率や合格者数を公表していません。合格の基準は、200〜800点のスコアで500点以上です。問題ごとに難しさが違うため、500点に届くのに必要な正解の数は、出題された問題の組み合わせによって変わるとされています。「何問正解すれば合格」と決まっているわけではないので、出題範囲をまんべんなく学ぶことが大切です。
数字で難易度を比べることはできませんが、未経験の方がつまずきやすい点は、はっきりしています。
選択肢から選ぶだけでなく、コマンド名やオプションを答える穴埋め問題があります。教材を読むだけでは覚えにくく、実際に入力したことがあるかどうかで差が出ます。
LPIC-1の認定には、101試験と102試験の両方の合格が必要です。学習期間が長くなりやすいため、1つ目に合格したあとも、学習を止めない計画が大切です。
ネットワークやファイルの仕組みなど、ITの基礎を知っている前提で出題される問題もあります。ITの全体像から学びたい方は、先にITパスポートなどで基礎を固める方法もあります。
LPIC-1の学習で大切なのは、自分のパソコンにLinuxを動かす環境をつくり、手を動かすことです。仮想化ソフトを使えば、いまのパソコンの中にLinuxの環境をつくれます。
| 時期(一例) | 学ぶこと | ポイント |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 学習環境づくりと、基本のコマンド(ファイル・ディレクトリの操作) | 毎日、実際にコマンドを入力する |
| 3〜4週目 | 101試験の範囲(システムの構造、パッケージ管理、権限) | 教材の例を、自分の環境で再現する |
| 5週目 | 101試験の問題演習と、受験 | 間違えた範囲は、コマンドを打ち直して確認 |
| 6〜7週目 | 102試験の範囲(シェルスクリプト、ユーザー管理、ネットワーク、セキュリティ) | スクリプトは、短いものを自分で書いてみる |
| 8週目 | 102試験の問題演習と、受験 | 穴埋め問題の対策として、コマンド名を正確に覚える |
必要な期間は、ITの経験や、学習に使える時間によって変わります。上の表は計画の一例です。教材は、LPIC-1のバージョン5.0に対応したものを選んでください。
101試験ではDebian系とRPM系の両方のパッケージ管理が出題されるため、余裕があれば、2種類のLinux(たとえばUbuntu系とRed Hat系)を触っておくと理解が深まります。
| コマンド | できること |
|---|---|
| ls / cd / pwd | ファイルの一覧を見る/ディレクトリを移動する/いまの場所を確認する |
| cp / mv / rm / mkdir | ファイルのコピー・移動・削除/ディレクトリをつくる |
| cat / less | ファイルの中身を表示する |
| grep | ファイルの中から、文字列を探す |
| find | 条件に合うファイルを探す |
| chmod / chown | ファイルの権限・所有者を変える |
| ps / kill | 動いているプロセスを確認する/止める |
| tar | ファイルをまとめる・展開する |
| man | コマンドの使い方(マニュアル)を見る |
コマンドは、名前だけでなく、よく使うオプション(例:ls -l、rm -r)もあわせて覚えると、穴埋め問題にも対応しやすくなります。
独学に不安がある方へ:LPICの無料学習カリキュラム
キャリアカンパニーでは、CCNA・LPICなどの無料学習カリキュラムを用意しています。LPICの研修カリキュラムで、Linuxの基礎から順に学べます。転職の相談とあわせて利用できます。
オンライン IT スクールを見るLPIC-1で学ぶ内容は、インフラエンジニアの実務とつながっています。たとえば、次のような場面です。
未経験からインフラエンジニアになる場合、最初は運用・監視の仕事から始めることが多くあります。LPIC-1の学習は、その仕事の基礎になり、さらに構築・設計の仕事へ進むときにも役立ちます。
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 教材を読むだけで、コマンドを打っていない | 毎日少しでも、自分の環境でコマンドを入力する |
| 101試験に合格したあと、102試験まで間が空く | 101試験の合格後すぐに、102試験の受験日を決める |
| 古いバージョンの教材で学んでいる | バージョン5.0(101-500・102-500)に対応した教材を選ぶ |
| コマンドのつづりを、うろ覚えのまま受験する | 穴埋め問題に備えて、コマンド名を正確に書けるようにする |
| 受験日を決めないまま、学習を続ける | 先に受験日を予約し、そこから逆算して計画を立てる |
LPIC-1を目指す方の多くは、いまの仕事を続けながら学習しています。時間をつくるには、次のような工夫が役立ちます。
学習の記録は、転職の選考でも役立ちます。「何を、どのくらい続けてきたか」を具体的に話せると、資格の名前以上に、学ぶ姿勢が伝わります。
Linuxの資格には、LPICのほかに、日本のLPI-Japanが運営するLinuC(リナック)や、LPIの入門資格であるLinux Essentialsがあります。
| 資格 | 運営 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Linux Essentials | LPI | Linuxにまだ触れたことがなく、入門から始めたい人 |
| LPIC-1 | LPI(国際的な団体) | 国際的な資格で学びたい人。LPICの教材で学習を進めたい人 |
| LinuCレベル1 | LPI-Japan | 日本国内の市場に合わせた内容で学びたい人 |
Linuxにまったく触れたことがなく、LPIC-1の範囲に不安がある方は、入門のLinux Essentialsから始める方法もあります。試験は1つで、有効期限もありません。ただし、インフラエンジニアの求人で目安にされやすいのはLPIC-1やLinuCレベル1なので、転職を目指す場合は、最終的にはそちらを目標にするとよいでしょう。
日本国内の求人では、LPICとLinuCのどちらも、Linuxを学んだ証明として評価されるという見方が一般的です。そのうえで、当社の面談では、迷っている方にはLPICをおすすめしています。LPICは国際的な資格のため、外資系の企業や、将来クラウドの仕事に進むときにも通じやすいからです。
2つの資格の違いは、LinuCとLPICの違いを徹底比較で詳しく比べています。LinuCの試験内容は、LinuC(リナック)の難易度は?で解説しています。
LPIC-1は、Linuxの基本操作とシステム管理を学んだことを示す資格です。インフラエンジニアの未経験求人では、「Linuxを学び、実際に手を動かしている」ことを伝える材料になります。
一方で、採用する側が知りたいのは、なぜインフラエンジニアを目指すのかと、入社後も学び続けられるかです。資格の名前だけでなく、学習の中で何を試したか(例:自分の環境でWebサーバーを動かした)まで話せると、評価につながりやすくなります。
会社によっては、資格手当や受験料の補助の制度がある場合もあります。応募先の制度は、面接や求人票で確認しましょう。
キャリアカンパニーのキャリアアドバイザー(CA)が、面談で見ている実態です。
インフラエンジニアを目指す方からは、「CCNAとLPIC、どちらが先か」という相談をよくいただきます。サーバーの仕事に関心があるならLPIC(Linux)、ネットワークの仕事に関心があるならCCNA、と目指す仕事に近いほうから始めるのが基本です。まだ決めていない場合は、どちらの仕事でも使うLinuxの操作から始める方法もあります。
| 目指す方向 | LPIC-1の次の例 | 参考記事 |
|---|---|---|
| ネットワークも扱えるようになる | CCNA | CCNAとは? |
| クラウドの基礎を学ぶ | AWSの入門資格など | AWS資格ロードマップ |
| 実務で構築・設計に進む | 運用・監視の経験を積みながら、LPIC-2など | 運用・監視から構築・設計へ進む方法 |
「インフラエンジニアを目指して、LPIC-1の学習を始めました。自分のパソコンにLinuxの環境をつくり、教材の内容を実際に入力して確認しています。101試験には合格し、いまは102試験に向けて、シェルスクリプトを書く練習をしています。入社後は、運用・監視の仕事を通じて、学んだことを実務で使えるようにしたいと考えています。」
このように、学習の方法・いまの進み具合・入社後にどう活かすかの3つを、具体的に伝えるのがポイントです。
LPICの学習と、転職の進め方を相談したい方へ
学習の状況と希望をお聞きして、受験の時期と、応募を始めるタイミングを、キャリアアドバイザーと一緒に整理できます(オンライン・60分)。
日程を選んで無料相談を予約するインフラエンジニアへ未経験で転職する流れ全体は、インフラエンジニアへ未経験で転職する方法で解説しています。
LPIC-1には前提条件がなく、未経験からでも受験できます。コマンドを入力する穴埋め問題があるため、自分のパソコンにLinuxの環境をつくり、手を動かしながら学ぶことをおすすめします。
LPIは、合格率や合格者数を公表していません。合格の基準は、200〜800点のスコアで500点以上です。必要な正解の数は出題の組み合わせで変わるため、出題範囲を一通り学び、問題演習で弱い範囲を確認することが大切です。
資格だけで採用が決まるわけではない、という意味では当たっています。ただし、未経験からインフラエンジニアを目指す方にとって、LPIC-1はLinuxを学んだことを具体的に示せる材料です。学習の中で試したことと合わせて伝えれば、選考で活かせます。
LPIの公式サイトに掲載されている日本向けの価格は、1試験15,000円です。LPIC-1は101試験と102試験の2つが必要です。消費税の扱いを含め、申し込みの前に公式サイトで確認してください。
日本国内の求人では、どちらもLinuxを学んだ証明として評価されるという見方が一般的です。当社の面談では、迷っている方には、国際資格で、外資系の企業や将来のクラウドの仕事でも通じるLPICをおすすめしています。
LPIC-1とLPIC-2の有効期間は5年間で、延長する方法も用意されています。入門資格のLinux Essentialsは生涯有効です。
受験の順番は問われません。101試験はLinuxの基本操作、102試験は運用・管理の内容が中心なので、未経験の方は101試験から始めると、学習の流れをつくりやすくなります。
LPIC-1は、実務経験がない方でも、Linuxを学んだことを示す材料になります。資格の名前だけでなく、学習の中で何を試したかを具体的に話せると、評価につながりやすくなります。
LPICをいつ受けるか、どの職種から応募を始めるかは、いまの経験や希望によって変わります。自分の場合の進め方を、キャリアアドバイザーに無料で相談できます(オンライン・60分)。
出典・公式情報(確認日:2026年10月29日):LPI公式サイト(LPIC-1/LPIC-2/LPIC-3/Linux Essentials/試験価格/認定更新/FAQ(スコアと合格点))。
株式会社エンデバース 代表取締役
キャリアカンパニー責任者
百瀬 将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。