
ITパスポートとは?難易度・合格率・勉強時間と、転職での活かし方【未経験向け】
ITパスポート試験は、ITを使うすべての人に向けた、情報処理技術者試験の入口となる国家試験です。IPA(情報処理推進機構)の公表では、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の合格率は48.6%でした。
この記事では、試験の内容・合格率・勉強の進め方と、未経験からIT転職を目指す方が、ITパスポートをどう活かせばよいかを整理します。
ITパスポート試験は、「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家試験で、情報処理技術者試験の試験区分のひとつです。エンジニアだけでなく、ITを使って働くすべての人に向けて、ITの基礎知識に加えて、経営・法務・プロジェクト管理などの知識を幅広く問います。
情報処理技術者試験の中では、最も基礎的な位置づけです。エンジニアとして働くための知識を学ぶ試験としては、その一つ上に基本情報技術者試験があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施方式 | CBT方式(パソコンで解答)。年間を通じて随時実施 |
| 試験時間 | 120分 |
| 出題数 | 100問(うち、総合評価に使われるのは92問。残り8問は今後出題する問題の評価に使われる) |
| 出題形式 | 四肢択一式 |
| 出題分野 | ストラテジ系(経営全般)35問程度/マネジメント系(IT管理)20問程度/テクノロジ系(IT技術)45問程度 |
| 採点方式 | IRT(項目応答理論)に基づいて評価点を算出 |
| 合格基準 | 総合評価点600点以上(1,000点満点)、かつ、3分野それぞれの分野別評価点が300点以上(各1,000点満点) |
| 受験料 | 7,500円(消費税込み) |
| 受験資格 | 特になし |
出題範囲は、IPAが公開している「シラバス」で定められています。2026年1月には、法改正などを反映したシラバス(Ver.6.5)が公開されています。また、IPAは2027年度から始まる予定の新しい試験制度のシラバス案も公表しています(内容は変わる可能性があるとされています)。受験の前に、最新の情報を公式サイトで確認してください。
ITパスポート試験の出題範囲は、3つの分野に分かれています。分野ごとに基準点(300点)があるため、それぞれの分野で何が問われるかを、先に把握しておきましょう。
| 分野 | 主な出題の範囲(IPAの出題範囲の分類) |
|---|---|
| ストラテジ系(経営全般) | 企業と法務(企業活動・法務) 経営戦略(経営戦略マネジメント・技術戦略マネジメント・ビジネスインダストリ) システム戦略(システム戦略・システム企画) |
| マネジメント系(IT管理) | 開発技術(システム開発技術・ソフトウェア開発管理技術) プロジェクトマネジメント サービスマネジメント(サービスマネジメント・システム監査) |
| テクノロジ系(IT技術) | 基礎理論(基礎理論・アルゴリズムとプログラミング) コンピュータシステム(コンピュータ構成要素・システム構成要素・ソフトウェア・ハードウェア) 技術要素(情報デザイン・情報メディア・データベース・ネットワーク・セキュリティ) |
会社の仕組み、会計、法律(知的財産・個人情報の保護など)、経営の考え方が出題されます。用語が日常で使う言葉と近いため、なんとなく分かった気になりやすい分野です。用語の意味を、具体的な例と一緒に説明できるかを確認しながら学びます。
システムを作る流れ、プロジェクトの進め方、ITサービスの運用と監査が出題されます。手順の順番や、それぞれの工程の目的を問う問題が多いため、流れ図のように順番で覚えると整理しやすくなります。
コンピュータの仕組み、ネットワーク、セキュリティ、データベース、簡単な計算やアルゴリズムが出題されます。問題数が最も多い分野です。ITに触れたことが少ない方は、ここに最も時間を使う計画にするとよいでしょう。セキュリティとネットワークは、インフラエンジニアを目指す場合に、入社後もそのまま役立つ知識です。
IPAが公表している試験結果から、受験者の区分ごとの合格率を見てみます。
| 区分 | 令和7年度(2025年4月〜2026年3月) | 令和8年度(2026年4月〜9月の累計) |
|---|---|---|
| 全体 | 48.6%(受験者271,352人・合格者132,012人) | 48.9%(受験者109,986人・合格者53,815人) |
| 社会人 | 50.9% | 52.1% |
| うちIT系の仕事 | 48.9% | 50.9% |
| うちIT系以外の仕事 | 51.4% | 52.4% |
| 学生 | 41.0% | 38.9% |
表から分かるのは、次の2点です。
なお、エンジニア向けの基本情報技術者試験の合格率は、令和7年度で38.3%(IPA公表)でした。ITパスポートは、その手前の基礎を学ぶ試験と考えると、位置づけがつかみやすくなります。
合計点が600点以上でも、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系のどれかが300点に届かないと、不合格になります。得意な分野だけを伸ばすのではなく、3分野をまんべんなく学ぶ必要があります。
ストラテジ系では、経営戦略・会計・法務(知的財産や個人情報の保護など)が出題されます。ITの技術に関心があって受験する方ほど、この分野でつまずきやすくなります。反対に、ITに触れたことが少ない方は、テクノロジ系(ネットワーク・セキュリティ・データベースなど)の用語に苦労しやすい傾向があります。
出題範囲が広いため、覚える用語が多くなります。また、AIやセキュリティ、法改正など、新しい内容もシラバスに追加されます。古い教材だけで学ぶと、最新の出題範囲とずれることがあります。
IPAは、合格に必要な勉強時間の目安を公表していません。必要な時間は、ITや仕事での経験によって大きく変わります。たとえば、事務職でパソコンを日常的に使っている方と、パソコンにほとんど触れない方とでは、テクノロジ系の理解にかかる時間が違います。
ここでは、ITの仕事の経験がない社会人が、平日に少しずつ学ぶ場合の計画の一例を紹介します。自分の理解度に合わせて、期間を調整してください。
| 時期(一例) | 学ぶこと | ポイント |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | テクノロジ系の基礎(コンピュータの仕組み、ネットワーク、セキュリティ) | 用語は、仕組みとあわせて理解する |
| 3週目 | マネジメント系(プロジェクト管理、サービス管理、システム監査) | 流れ・手順で覚える |
| 4週目 | ストラテジ系(経営戦略、会計、法務) | 法律や会計は、出題されやすい用語から |
| 5週目 | 過去問題(公開問題)を、分野ごとに解く | 間違えた分野の教材に戻る |
| 6週目 | 過去問題を、本番と同じ120分で解く | 3分野すべてで基準点を超えているか確認する |
勉強時間をつくるコツは、「毎日決まった時間に、短くても続ける」ことです。通勤時間に用語を覚え、休日に問題をまとめて解く、という分け方もおすすめです。
試験時間は120分で、出題は100問です。単純に割ると、1問あたり1分強の計算になります。
CBTの操作に不安がある方は、IPAの疑似体験用ソフトウェアで、本番と同じ画面の動きに慣れておくと安心です。
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 得意な分野だけ勉強して、苦手な分野が基準点に届かない | 3分野それぞれの得点を、模擬問題で確認する |
| 古い教材で勉強して、新しい出題範囲とずれる | 最新のシラバスに対応した教材を選ぶ |
| 用語を覚えただけで、問題の形式に慣れていない | 公開問題を、本番と同じ時間で解く |
| 受験日を決めずに、学習がだらだら続く | 先に受験日を予約し、そこから逆算して計画を立てる |
| 「簡単な試験」と考えて、準備が足りない | 合格率が約5割であることを前提に、計画的に準備する |
ITパスポートは、ITの基礎を一通り学んだことを示す資格です。未経験からIT業界を目指す方にとっては、「ITの学習を、実際に始めている」ことを示す材料になります。
一方で、エンジニアの採用では、ITパスポートだけで評価が大きく変わることは多くありません。採用する側が知りたいのは、なぜITの仕事に就きたいのかと、入社後も学び続けられるかです。ITパスポートは、その学習の成果を示す材料のひとつとして使いましょう。
キャリアカンパニーのキャリアアドバイザー(CA)が、面談で見ている実態です。
書類や面接では、資格の名前だけでなく、いつから勉強しているか・1日の勉強時間・勉強してみての感想・エンジニアへの意欲の4つを伝えるよう、お伝えしています。
| 目指す方向 | ITパスポートの次の例 | 参考記事 |
|---|---|---|
| インフラエンジニア(サーバー・ネットワーク) | CCNA(ネットワーク)、LPIC/LinuC(Linux) | CCNAとは?/LinuC(リナック)の難易度は? |
| 開発・ITの基礎をさらに深める | 基本情報技術者試験 | 基本情報技術者試験の難易度は? |
| まずITの現場に入る(ヘルプデスクなど) | 入社後の実務と並行して学ぶ | ITヘルプデスクとは? |
資格の全体的な順番は、IT資格ロードマップでまとめています。インフラエンジニアへの転職の流れ全体は、インフラエンジニアへ未経験で転職する方法で解説しています。
ITパスポートの次に学ぶ方へ:無料の学習カリキュラム
キャリアカンパニーでは、CCNA・LPICなどの無料学習カリキュラムを用意しています。インフラエンジニアを目指す方は、ITパスポートで学んだ基礎の次に、ネットワーク(CCNA)やLinux(LPIC)を順に学べます。転職の相談とあわせて利用できます。
オンライン IT スクールを見る合格している場合は、資格欄に「ITパスポート試験 合格」と、合格年月をあわせて書きます。正式な書き方、合格前(受験予定・学習中)の書き方、面接での伝え方の例文は、ITパスポートは転職で評価される?履歴書の書き方・面接での伝え方で詳しく解説しています。
書類全体の書き方は、IT業界の職務経歴書の書き方も参考にしてください。
ITパスポートの次に、何から始めるか相談したい方へ
いまの経験と目指す仕事をお聞きして、次に学ぶ資格と、応募を始めるタイミングを、キャリアアドバイザーと一緒に整理できます(オンライン・60分)。
日程を選んで無料相談を予約するはい、目指せます。IPAの公表では、令和7年度のIT系以外の仕事をしている社会人の合格率は51.4%で、IT系の仕事をしている社会人(48.9%)と同じくらいでした。ただし、受験者の約半分は不合格なので、3分野をまんべんなく学ぶ準備が必要です。
IPAの公表では、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の合格率は48.6%でした。令和8年度は、4月〜9月の累計で48.9%です。最新の数字は、IPAの公式サイトで確認してください。
IPAは、勉強時間の目安を公表していません。必要な時間は、ITや仕事での経験によって変わります。この記事では、ITの仕事の経験がない社会人が、6週間で学ぶ計画の一例を紹介しています。
ITの全体像から始めたい場合は、ITパスポートが入りやすいです。エンジニアを目指すなら、基本情報技術者のほうが、実務に近い基礎を学べます。知識に自信があれば、基本情報から挑戦しても構いません。
総合評価点が1,000点満点中600点以上で、かつ、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の分野別評価点がそれぞれ1,000点満点中300点以上で合格です。合計点が足りていても、1つの分野が300点に届かないと不合格になります。
CBT方式で、年間を通じて随時実施されています。公式サイトから、受験したい日と会場を選んで申し込みます。不合格だった場合も、再受験までの待機期間や回数の制限はありません。
ITパスポートは、ITの学習を始めていることを示す材料になりますが、それだけで採用が決まるわけではありません。志望の理由と、次に何を学んでいるかをあわせて伝えることが大切です。
ITパスポートの次に何を学ぶか、どの職種から目指すかは、いまの経験や希望によって変わります。自分の場合の進め方を、キャリアアドバイザーに無料で相談できます(オンライン・60分)。
出典・公式情報(確認日:2026年10月29日):IPA「ITパスポート試験」公式サイト(試験内容・出題範囲/受験要領/統計情報(試験結果:令和8年3月度・令和8年9月度)/FAQ/過去問題)。基本情報技術者試験の合格率はIPA公表の令和7年度の値。
株式会社エンデバース 代表取締役
キャリアカンパニー責任者
百瀬 将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。