
IT転職は、収入と選択肢の面で、基本的には「在職中に活動を始める」のがおすすめです。ただし、学習に集中したい方や、現職の負担が大きい方は、退職後に進める選択もあります。この記事では、在職中と退職後の違い、向いている人、在職中の進め方(スケジュールと面接の調整)、現職に知られないための注意、退職後に進めるときの注意、内定から入社までの流れをまとめました。
この記事のポイント
| 項目 | 在職中に活動 | 退職後に活動 |
|---|---|---|
| 収入 | 途切れない | 途切れる(貯蓄や、失業給付の確認が必要) |
| 時間 | 平日は限られる。夜間や週末が中心 | 自由に使える。学習と面接に集中しやすい |
| 面接の日程調整 | 仕事との調整が必要。有給や時間の工夫が要る | ほぼ自由。複数社を並行しやすい |
| 気持ちの余裕 | 焦らず、条件を比べて選びやすい | 貯蓄が減ると焦りやすい。妥協しがち |
| 職歴の空白 | なし | 期間が長いと、面接で理由を説明する必要がある |
| 現職との関係 | 知られないよう、注意が必要 | すでに退職しているため、気にしなくてよい |
結論として、「収入が途切れない」「焦らず選べる」の2点で、在職中のほうが有利です。一方で、時間の制約が大きいため、仕事との両立の工夫が必要になります。
在職中が向いている人
退職後が向いている人
⚠ 注意
心身の負担が大きいときは、無理に在職中に続けなくて大丈夫です。ただし、退職後は「いつまでに内定を取るか」という期限を、先に決めておきましょう。期限がないと、焦りや不安が大きくなります。
STEP1
書類作成
履歴書・職務経歴書を作成・添削(1〜2週間)
STEP2
応募・選考
書類選考 → 面接1〜3回(2〜4週間)
STEP3
内定・条件確認
内定の確認、条件の確認(3〜5日)
STEP4
退職手続き
退職交渉と引き継ぎ(1〜2か月)
STEP5
入社
入社前の準備、入社後のフォロー
全体では、活動開始から入社まで、およそ3〜4か月を見ておくと余裕があります。キャリアカンパニーで2025年8月〜2026年7月に入社が決まった方の自社集計では、面談から内定までの期間は中央値で40日、内定までに応募した会社数は平均5社、内定をいただいた会社数は平均4社でした。
内定の承諾期限は、3〜5日と短い企業が多くあります。そのため、選考は、複数社を並行して進めるのが基本です。1社ずつ進めると、不合格のたびに最初からやり直しになり、期間が延びてしまいます。
| 場面 | 注意すること |
|---|---|
| パソコン・メール | 社用PC、社用メール、社内ネットワークは使わない。履歴書の作成や連絡は、個人の機器で行う |
| 転職サイト | 登録時、現職の会社名を非公開・ブロック設定にできるか確認する |
| SNS | 転職活動をほのめかす投稿はしない。繋がりのある同僚に見えることがある |
| 同僚・友人 | 信頼できる人でも、内定が出る前に話さない。うわさは広がりやすい |
| 面接の連絡 | 電話やメールの着信が、勤務中に鳴らないように設定する |
| 退職の申し出 | 内定後、条件を確認してから、直属の上司に伝える(職場の状況や就業規則によって異なる) |
特に、内定が出る前に退職を伝えないことが重要です。選考に落ちた場合、現職に居づらくなる可能性があります。退職を伝えるのは、条件を確認した内定後です。
未経験からIT転職を目指す場合、書類や面接の準備と、資格学習を同時に進める必要があります。次は、在職中の週間スケジュール例です。
| 曜日 | 学習・転職活動の内容 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 平日(月〜金) | 資格の学習(動画・問題集)。通勤時間も活用 | 毎日30分〜1時間 |
| 平日(週1〜2回) | 書類の作成・修正、企業研究、面接練習 | 30分〜1時間 |
| 土曜 | まとまった学習(演習、検証環境の構築) | 2〜3時間 |
| 日曜 | 面接(オンライン)、振り返り、1週間の予定の整理 | 2時間程度 |
毎日、短くても学習を続けると、継続力として面接でも評価されます。学習の事実は、自己PRでも、強みを裏づける根拠になります。
「何から始めればよいか分からない」という方のために、最初の1か月の動き方をモデルにしました。仕事が忙しい方でも進められるよう、1週間あたりの作業量を抑えています。
| 週 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1週目 | エージェントとの面談。経歴の棚卸し、希望条件の整理。IT業界・職種の説明を受ける | 「譲れない条件」と「柔軟にできる条件」を分ける。夜勤・勤務地の可否も伝える |
| 2週目 | 履歴書・職務経歴書の作成。応募の方向性(職種・企業のタイプ)を決める | 最初は6割の完成度でよい。エージェントに見せて直していく |
| 3週目 | 書類の仕上げ、最初の数社に応募。志望動機・自己PRの文章を作る | 複数社に並行して応募する。応募先を一覧表で管理する |
| 4週目 | 面接対策。模擬面接で、経歴の伝え方と志望動機を練習する | 面接日程は、候補日をまとめて出す。有給の取り方を決める |
✔ ポイント
最初の1か月で、全部を完璧にしようとしなくて大丈夫です。書類は「6割の完成度」で出して、直しながら進めるほうが、結果的に早く、質も上がります。
在職中ならではの質問もあります。あらかじめ答えを準備しておきましょう。
| 質問 | 答えの方向性 |
|---|---|
| なぜ、在職中に転職活動をしているのですか? | 現職への責任は果たしながら、将来のキャリアを考えて行動している、と前向きに話す |
| 入社可能な時期はいつですか? | 「内定後、引き継ぎを含めて〇か月後を想定しています」と具体的に話す。曖昧にしない |
| 現職には、もう伝えていますか? | 「内定をいただいてから、条件を確認のうえ、伝える予定です」と答える(職場の状況により異なることも補足) |
| 面接の日程は、柔軟に調整できますか? | 候補日を具体的に示し、有給の取得も含めて調整できることを伝える |
| 現職の業務は、どのように引き継ぎますか? | 手順書の整備、後任への説明など、責任を持って引き継ぐ姿勢を話す |
「入社可能時期」は、特に重要です。企業は、採用計画に合わせて入社日を考えているため、退職までに必要な期間を、根拠とともに伝えると、信頼されます。
引き止めや、退職日の延期を求められた場合は、感情的にならず、「転職先が決まっており、入社日も決まっています」と、事実を伝えます。難しいときは、エージェントや、会社の人事・外部の労働相談窓口に相談しましょう。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1か月目 | エージェントとの面談、書類作成、資格学習の開始 | 生活リズムを崩さず、毎日学習する時間を決める |
| 2か月目 | 複数社に応募、面接。模擬面接で練習 | 応募先を並行して進め、選考の機会を増やす |
| 3か月目 | 内定の比較、条件の確認、入社準備 | 期限(3か月)を目安に、条件をすり合わせる |
退職後の活動は、時間があるぶん、生活リズムが崩れやすくなります。毎日の学習・応募の作業を、スケジュールに固定することが、継続のコツです。貯蓄が減ってくると、焦って条件を妥協しやすくなるので、期限は早めに決めましょう。
| よくある失敗 | 防ぎ方 | |
|---|---|---|
| 在職中 | 忙しくて活動が止まり、数か月が過ぎる | 1週間ごとに「やること」を3つに絞り、終わったら次の週へ進める |
| 在職中 | 内定前に、同僚や上司に話してしまう | 内定が出て、条件を確認するまでは、誰にも話さない |
| 在職中 | 面接の日程が合わず、チャンスを逃す | 候補日をまとめて出す。エージェントに日程調整を任せる |
| 退職後 | 期限を決めず、活動が長引く | 「〇か月以内」と決め、1か月ごとに振り返る |
| 退職後 | 貯蓄が減り、焦って条件を妥協する | 最初に、何か月生活できるかを計算し、余裕のある時期に決める |
| 退職後 | ブランクの理由を、うまく説明できない | 職務経歴書に、空白期間の理由と、その間の学習を書く |
在職中・退職後のどちらでも、書類の準備と面接対策は同じです。職務経歴書の書き方と、面接の質問と答え方を、あわせて確認してください。
迷っている方は、次の5つの質問に答えてみてください。「はい」が多いほうが、向いている進め方の目安です。
| 質問 | 「はい」の場合の目安 |
|---|---|
| 貯蓄は、無収入で3か月以上生活できる額がありますか? | 退職後でも進めやすい |
| 現職の負担が大きく、心身の余裕がありませんか? | 早めに退職して、環境を変える選択も検討 |
| 平日夜や週末に、週に5時間以上、学習・活動の時間を確保できますか? | 在職中でも進めやすい |
| 面接のための有給・半休を、月に2〜3回取れますか? | 在職中でも進めやすい |
| 「内定が出るまでは、収入を確保したい」と強く思いますか? | 在職中に進めるのが安心 |
どちらを選んでも、正解・不正解はありません。大切なのは、「自分の状況に合った進め方」を、あらかじめ決めておくことです。決めずに始めると、途中で迷って、活動が止まりやすくなります。
生活に関わる転職は、一人で決めずに、家族やパートナーに相談しておくと安心です。伝えるときは、次の3点を共有すると、納得を得やすくなります。
特に、未経験からIT職に転職する場合は、入社直後の年収が前職と近い、またはやや下がるケースもあります。年収の考え方は、IT転職の年収交渉の進め方で整理しています。
退職願は、会社の指定の形式があればそれに従います。指定がない場合の、一般的な例(架空)です。
退職の理由は、「一身上の都合」と書くのが一般的で、詳しい理由を書く必要はありません。提出する日付と、退職希望日は、必ず上司と相談したうえで決めましょう。
| ケース | おすすめの進め方 |
|---|---|
| 夜勤・シフト勤務 | 面接はオンライン中心にし、シフトの希望休を早めに出して、面接日を確保する |
| 繁忙期で、残業が多い | 活動を始める時期を、繁忙期が落ち着く時期に合わせる。または、書類作成の期間を長めにとる |
| 地方在住で、勤務地が離れている | オンライン面接の企業を中心に探し、最終面接のみ来社にするなど、回数を減らす |
| 家庭があり、時間が限られる | 家族と、活動の期間・時間のルールを事前に共有する。退職前に収入の見込みを立てる |
内定が出てから入社するまでには、退職手続きと引き継ぎがあります。法律上は、期間の定めのない雇用契約は、民法627条により、退職の申し出から2週間で終了できるとされています。ただし、実務では、就業規則に沿って、1〜2か月かけて引き継ぎを行うのが一般的です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 内定の通知 | 条件(業務内容、勤務地、給与、入社日など)を確認する |
| 内定後〜1週間以内 | 承諾の返事をする。直属の上司に、退職の意思を伝える |
| 退職の申し出後 | 就業規則に沿って、退職日と引き継ぎ計画を決める |
| 引き継ぎ期間 | 後任への業務の引き継ぎ、有給の消化、貸与物の返却 |
| 入社直前 | 入社手続きの書類の準備、入社前の学習 |
退職日と入社日の調整は、エージェントにも相談できます。退職理由や、引き止めへの対応はIT転職の退職理由の伝え方で解説しています。
dodaの「転職求人倍率レポート」(2026年6月)では、全体の求人倍率が2.55倍であるのに対し、ITエンジニアの職種は11.06倍と、求職者1人あたりの求人数が多い状況が示されています。ただし、この倍率は、経験者を含む全体の数字です。未経験歓迎の求人は、経験者向けの求人とは状況が異なります。
そのため、「求人が多いから、いつでも決まる」と考えるのではなく、在職中にしっかり準備して、納得できる求人を選ぶことをおすすめします。
✅ 在職中の転職活動チェックリスト
在職中の転職は、一人で進めるとスケジュール管理が大変です。キャリアカンパニーでは、面談で全体の流れを共有し、日程調整や面接対策を、エージェントが一緒に進めています。
在職中の面接で、服装をどう整えるかは、こちらで解説しています。
▶ 中途採用の面接の服装|スーツ・私服・オンラインの選び方
在職中の転職活動では、「辞める」と決めてから動く必要はありません。当社の面談では、次の進め方をお伝えしています。
最終的に、現職に残ると決めても、問題ありません。転職活動は、今の自分の立ち位置を知るためにも、役立ちます。
次にやること
あわせて読みたい:IT転職の退職理由の伝え方|面接で好印象にするポイントと例
前職がIT以外の方が多く、在職中に転職活動を進める方も少なくありません。キャリアカンパニーで2025年8月〜2026年7月に入社が決まった201名の集計です。
出典:キャリアカンパニー自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった201名。定着率は、入社後1年以内に退職しなかった方の割合(201名が対象))
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 前職がIT以外だった方の割合(全体201名) | 90% |
| 面談から内定までの期間(中央値) | 40日 |
| 内定までに応募した会社数/内定をいただいた会社数(1人あたり平均) | 5社/4社 |
| 入社後1年以内の定着率(201名が対象) | 98% |
※自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった方。定着率は、入社後1年以内に退職しなかった方の割合(201名が対象))。年収は中央値で、個人が特定されない形で集計しています。
転職活動を勤務先に伝えるかどうかは、自分で判断できます。個人情報の取り扱いが明確なエージェントを選び、連絡方法や時間帯を事前に伝えておくと安心です。
応募先によって見方は異なりますが、離職期間の理由と、その間の取り組みを説明できれば問題にならないことも多いです。説明を準備しておきましょう。
エージェントを通じて、日程の調整やオンライン面接を相談できる場合があります。
労働条件を書面で確認し、承諾する場合は、現在の勤務先へ退職を申し出ます。入社日は、引き継ぎ期間を考慮して調整します。
条件は、離職理由や雇用保険の加入期間などで異なります。詳細はハローワークで確認してください。
内定後の退職の伝え方は、IT転職の内定が複数出たときの選び方もあわせてご覧ください。
この記事の内容をふまえて、自分の場合はどうなのかを知りたい方は、キャリアカンパニーの無料相談をご利用ください。経験や希望に合わせて、キャリアアドバイザーがご相談に対応します。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。