
運用・監視から構築・設計へ進むには、「運用・監視の実務経験を3年程度積むこと」と「資格で、構築に必要な知識を示すこと」の2つがポイントです。キャリアカンパニーでは、この条件を満たす20名のうち19名(95%)が、入社後半年程度で構築・設計を担当しています(自社集計)。この記事では、進み方の手順、3年間の過ごし方、学ぶ分野と資格の選び方、職務経歴書と面接での伝え方、転職先のチェックポイントまでまとめました。
この記事のポイント
対象:運用・監視の経験が3年程度あり、CCNP・LPICレベル3・AWS SAA・Azure AZ-104などの資格を取得している20名。入社後半年程度で構築・設計を担当した方の割合。
出典:キャリアカンパニー自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった方)
運用・監視は、システムの安定稼働を支える大切な仕事です。そこで得た障害対応の経験は、構築・設計で「運用しやすい環境をつくる」ために役立ちます。ただし、運用・監視を続けているだけで、自動的に構築・設計へ進めるわけではありません。経験に加えて、学習と資格で、構築に必要な知識を示すことが重要です。
| 運用・監視で得るもの | 構築・設計で活きる場面 |
|---|---|
| 障害の一次切り分け・原因の特定 | 「どこが壊れやすいか」を想定して、冗長化や構成を決められる |
| 手順書の読み書き・改善 | 運用担当が迷わない手順書・設計書を作れる |
| 監視ツールの運用(アラート設計の勘所) | 監視項目や閾値を、最初から設計に組み込める |
| 変更作業・リリース時の慎重な確認 | 構築時のレビュー、テスト項目の洗い出しに活かせる |
| 関係者への報告・エスカレーション | 要件定義や顧客との調整でも、状況整理と報告が武器になる |
設計者が現場の運用を知らないと、運用しづらいシステムになりがちです。そのため、運用経験者が構築・設計に進むこと自体は、現場で価値が高いと言えます。大切なのは、その経験を言葉にして、応募先に伝えることです。
STEP1
運用・監視の経験を積む
障害の一次対応、手順書の整備、変更作業への参加
STEP2
構築の知識を学ぶ
ネットワーク、サーバー(Linux/Windows)、クラウド、自動化の基礎
STEP3
資格で示す
CCNP、LPICレベル3、AWS SAA、Azure AZ-104など
STEP4
構築・設計の求人に応募
経験・学習・資格をまとめて伝える
「3年」はただ時間が経てばよいのではなく、中身が大切です。次の表を目安に、年次ごとの目標を決めましょう。
| 時期 | 目標 | 具体的な行動例 |
|---|---|---|
| 1年目 | 基本業務を正確にこなす | 手順書通りの作業、アラート対応、エスカレーションの型を身につける。基礎資格(CCNAやLinuCなど)の学習を始める |
| 2年目 | 担当範囲を広げる | 障害の一次切り分けを任される。手順書の改善提案、定型作業の自動化(スクリプトなど)に取り組む |
| 3年目 | 構築・設計の準備 | 小規模な変更・構築作業に参加を申し出る。上位資格(CCNP、LPICレベル3、AWS SAA、Azure AZ-104など)を取得し、構築の知識を示す |
✔ ポイント
運用の現場で、「手順書の改善」「作業の自動化」「小さな構築への参加」のいずれかを経験しておくと、職務経歴書に書ける「構築に近い経験」になります。資格だけでなく、実際の行動を添えましょう。
| 分野 | 学ぶこと | 資格の例 |
|---|---|---|
| ネットワーク | ルーティング、スイッチング、VPNなど | CCNA、CCNP |
| サーバー | Linuxの構築・運用、サービスの設定 | LPIC/LinuC |
| クラウド | AWS・Azureの基本サービス、構成設計 | AWS ソリューションアーキテクト アソシエイト、Azure AZ-104 |
| 自動化 | シェルスクリプト、構成管理ツールの基礎 | (資格より、実際に作った成果物が評価されやすい) |
ネットワーク寄り(オンプレ・社内ネットワーク)
クラウド寄り(AWS・Azure)
資格の選び方は、IT資格のロードマップや、AWS資格のロードマップも参考になります。迷ったら、今の運用の現場で触れている技術に近い分野から選ぶと、学習が続きます。
運用・監視の職務経歴書は、「やっていた作業の羅列」になりがちです。構築・設計を目指す場合は、「運用で見えた課題 → 自分が行った改善 → 構築でやりたいこと」のつながりを意識して書き換えます。
| 書き換え前 | 書き換え後 |
|---|---|
| サーバー・ネットワーク機器の監視業務を担当 | サーバー・ネットワーク機器の監視・障害一次対応を3年間担当。障害の再発防止のため、切り分け手順をフロー図にして共有 |
| 手順書に沿った定期作業 | 定期作業の手順書を見直し、作業の抜け漏れを防ぐチェックリストを作成。一部作業をシェルスクリプト化 |
| AWSの資格を取得 | AWS SAAを取得し、検証環境でVPC・EC2・RDSを構築して構成を学習中(構築内容を具体的に記載) |
書き方全体は、IT転職の職務経歴書の書き方で、見本つきで解説しています。
| 質問 | 答えの方向性 |
|---|---|
| なぜ運用から構築・設計に進みたいのですか? | 運用で見えた課題(設計段階で防げた問題)を、具体例で話す。単に「年収を上げたい」だけにしない |
| 構築の実務経験はありますか? | 正直に範囲を伝え、検証環境での構築や、運用中に関わった変更作業を具体的に話す |
| 資格の学習は、どう進めましたか? | 学習時間、教材、検証で試したことを話す。資格を取った後に、何に活かしたかも添える |
| 今の職場で構築に進めないのはなぜですか? | 不満ではなく、「経験できる範囲」の事実と、挑戦したい理由を話す |
| 入社後、どんな成長を目指しますか? | 半年・1年・3年の段階で、担当したい範囲を具体的に話す |
面接全体の準備は未経験IT転職の面接でよく聞かれる質問と答え方も参考になります。
運用・監視と、構築・設計では、「時間の使い方」と「求められる力」が変わります。違いを理解したうえで、自分が何を目指すのかを決めておきましょう。
| 運用・監視 | 構築・設計 | |
|---|---|---|
| 主な仕事 | 稼働状況の確認、アラート対応、定期作業、障害の一次対応 | 要件の整理、構成の設計、機器・サーバーの構築、テスト、移行 |
| 時間の使い方 | 日々の定常作業が中心。突発対応がある | プロジェクトのスケジュールに沿って進める。ドキュメント作成も多い |
| 求められる力 | 正確さ、報告の速さ、手順を守る力 | 全体を見通す力、技術の深い知識、顧客や関係者との調整力 |
| 成果の見え方 | 「止まっていない」ことが成果 | 構築物・設計書という形で成果が残る |
構築・設計では、技術だけでなく、顧客や他チームと調整する力・ドキュメントを書く力も重視されます。運用の現場で、報告書や手順書を書く機会を意識的に増やしておくと、移行がスムーズになります。
転職活動で一番困るのが、「構築の実務経験がない」という壁です。今の運用の仕事の中でも、次のような行動で、構築に近い経験を作ることができます。
| 方法 | 具体例 | 職務経歴書での書き方 |
|---|---|---|
| 検証環境で構築を試す | 自宅や会社の検証環境に、仮想サーバー・ネットワークを構築する | 「〇〇を検証環境に構築し、△△の設定を確認」と環境と内容を書く |
| 変更作業の手順書づくりに関わる | 変更作業の手順書を作成・レビューする | 「変更手順書の作成を担当」と書く |
| 監視の設定を追加・改善する | 監視項目や閾値を見直し、誤検知を減らす | 「監視項目の見直しで、不要なアラートを削減」と、実際の変化を書く |
| 作業を自動化する | 定型作業をシェルスクリプトなどで自動化する | 「〇〇作業をスクリプト化」と、対象と効果を書く |
| 障害の再発防止策を提案する | 障害の原因を整理し、構成や手順の改善案を出す | 「再発防止策を提案し、〇〇が採用された」と、結果を書く |
✔ ポイント
5つすべてをやる必要はありません。1つでも、「自分で考えて、改善・構築に近いことをした」事実があると、面接での説得力が大きく変わります。数字や成果は、実際にあるものだけを書きましょう。
| 今の状況 | まずやること | 転職のタイミング |
|---|---|---|
| 運用・監視の経験が3年未満 | 基本業務を固め、1〜2年目のロードマップを実行する。基礎資格の学習を開始 | 経験が3年に近づく前に、情報収集として相談しておくとよい |
| 3年程度の経験はあるが、資格がない | ネットワーク寄り・クラウド寄りのどちらかを決め、資格取得を最優先にする | 資格取得の見込みが立った時点で、応募を始める |
| 3年程度の経験があり、資格も取得済み | 構築に近い経験(検証環境・改善・自動化)を職務経歴書に整理する | 準備が整っているため、構築・設計の求人に応募してよい時期 |
| 夜勤・シフトで、学習時間が取りにくい | 学習を「毎日30分」に分け、通勤や休憩時間に動画・問題集を活用する | 無理に急がず、学習が続けやすい環境(日勤中心の職場)も選択肢に入れる |
自社集計の「19名/20名」は、経験3年程度に加えて、資格を取得している方の結果です。経験や資格が足りない状態で、無理に構築・設計の求人に応募しても、書類で通過しにくくなることがあるため、準備の状況に合わせて動くことが大切です。
学習が続かない最大の原因は、「大きな目標だけを置いて、毎日の行動が決まっていない」ことです。資格学習の進め方は、IT資格のロードマップも参考にしてください。
運用・監視3年の方が、構築・設計の求人に応募する想定の抜粋です。人物・会社・環境は架空の例です。
この見本のポイントは、「構築そのものの実務」がなくても、「検証環境での構築」「ドキュメント化」「改善の取り組み」を具体的に書くことで、構築への準備ができていることを示せる点です。
一律に「だめ」ということはありません。ただ、自社集計の傾向では、3年程度の経験と資格がそろった方が、構築・設計に進みやすくなっています。3年未満の場合は、小さな構築や改善の経験を作ってから進めると、書類が通過しやすくなります。
今の運用の現場で触れている技術に近いものから選ぶのがおすすめです。ネットワーク機器が中心ならCCNA→CCNP、Linuxサーバーが中心ならLPIC/LinuC、クラウドが関わるならAWS SAAやAzure AZ-104が目安です。
実務経験がなくても、検証環境での構築、ドキュメント作成、運用で行った改善の事実があれば、準備の姿勢を評価されます。大切なのは、「何をどこまでやったか」を、正直に具体的に話すことです。
職種別の平均では、運用・監視よりネットワークやサーバーなどの職種のほうが高い傾向がありますが、個別の年収は企業・経験・スキルで大きく異なります。入社時の条件は、面談で個別に確認しましょう。
構築・設計を目指す転職では、「どの会社に入るか」で結果が大きく変わります。次の点を、面談や逆質問で確認しましょう。
✅ 転職先の確認ポイント
求人票には書かれにくい情報(配属予定チームの様子、実際の案件の流れ)は、エージェントを通じて確認するのが確実です。運用・監視そのものへの不安は、運用保守はやめとけと言われる理由も読んでみてください。
職種によって、平均年収に差があります。次はdodaの「平均年収ランキング2025」(集計期間:2024年9月〜2025年8月)にある職種別の平均年収です。個別の年収を保証するものではなく、あくまで目安です。
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 運用/監視/保守 | 389万円 |
| ネットワークエンジニア | 455万円 |
| サーバーエンジニア | 469万円 |
| セキュリティエンジニア | 497万円 |
出典:doda「平均年収ランキング2025」。運用・監視から、ネットワークやサーバーなど構築側の職種へ進むと、平均では年収の水準が上がる傾向が示されています。ただし、年収は経験・スキル・企業により大きく異なります。
キャリアカンパニーでは、運用・監視から構築・設計への転職について、経歴の整理と、構築に進める企業の紹介を行っています。
構築・設計へ進むときに役立つLinuCの内容は、こちらで解説しています。
▶ LinuC(リナック)とは?レベル別の内容・難易度・勉強法
未経験からインフラエンジニアへ転職する流れは、こちらで解説しています。
▶ インフラエンジニアへ未経験で転職する方法
次にやること
あわせて読みたい:転職エージェントに断られた・求人を紹介されないときの原因と対処【IT転職】
インフラ職の転職実績です。キャリアカンパニーで2025年8月〜2026年7月に入社が決まった201名の集計です。
出典:キャリアカンパニー自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まったインフラ職170名。年収は中央値)
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 前職がIT以外だった方の割合(全体201名) | 90% |
| インフラ職で入社した方(170名)の入社時年収(中央値) | 320万円(転職前は300万円) |
| インフラ職で年収が上がった方の割合 | 60% |
| 運用・監視の経験が3年程度あり、資格を取得している方(20名)のうち、入社後半年程度で構築・設計を担当した方 | 19名(95%) |
| 入社後1年以内の定着率(201名が対象) | 98% |
※自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった方。定着率は、入社後1年以内に退職しなかった方の割合(201名が対象))。年収は中央値で、個人が特定されない形で集計しています。
一律の年数はありませんが、キャリアカンパニーでは、経験が3年程度あり、資格を取得している方の多くが、構築・設計に進んでいます(20名中19名、自社集計)。
進める場合もありますが、資格は知識を客観的に示す手段になります。実務経験と学習内容を具体的に伝えることが、より重要です。
目指す分野で変わります。ネットワークならCCNA→CCNP、サーバーならLPIC、クラウドならAWS・Azureの資格が目安です。
求人や会社によって異なります。キャリアカンパニーの集計では、入社後半年程度で構築・設計を担当した方が多くなっています。応募前に、配属予定の業務を確認しましょう。
業務が定型化しやすく、上流工程に関わる機会が限られやすいという構造的な理由があります。詳しくは運用保守はやめとけと言われる理由と、そこから抜け出す方法で整理しています。
運営の考え方を学ぶ資格として、ITIL(ITIL 4 Foundation)とはも紹介しています。
運用・監視から構築・設計へ進んだ方の割合など、数字は、インフラエンジニア転職の実態データ(入社201名の自社集計)で公開しています。
この記事の内容をふまえて、自分の場合はどうなのかを知りたい方は、キャリアカンパニーの無料相談をご利用ください。経験や希望に合わせて、キャリアアドバイザーがご相談に対応します。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。