
IT転職の退職理由は、「事実を曲げずに、何を実現したくて転職するのかという前向きな目的で伝える」と、面接で好印象になります。不満をそのまま話すと、「同じ理由でまた辞めるのでは」と受け取られかねません。この記事では、面接官の意図、伝え方の型、本音の言い換え表、状況別の回答例8本(架空の例)、NGと深掘り質問、履歴書の書き方、退職手続きの基本までまとめました。
この記事のポイント
同じ理由で、また辞めないか 定着の見込み
退職理由が、今回の応募先でも起きうる内容なら、不安を持たれます。応募先では解消される理由かを確認されます。
他責ではないか 責任の捉え方
会社や上司のせいだけにしていないか。自分に反省点があれば、それを認めて話せるか。
志望との一貫性 軸のブレがないか
退職理由と、志望動機・将来像がつながっているか。話が途中で変わっていないか。
特に、IT職への転職では、「現職の職種では叶えられないが、エンジニアなら叶えられる」という根拠が見られます。理由が単なる不満だと、IT業界でも同じ不満が出たときに辞めると受け取られてしまいます。
この2つは似ていますが、聞かれる意図が異なります。状況に応じて、どちらを聞かれても答えられるようにしておきましょう。
| 退職理由 | 転職理由(転職したい理由) | |
|---|---|---|
| 主に聞かれる人 | すでに退職している人 | 在職中の人 |
| 聞かれていること | なぜ前の会社を辞めたのか | なぜ今、転職したいのか |
| 答えのポイント | 事実と、そこから得た学び | 現職では叶わず、応募先で叶えたいこと |
⚠ 注意
「現職でシステムに触れて興味を持ち、エンジニアになりたいと思いました」だけでは、今の職種を辞める理由になっていません。「エンジニアになって違うことに興味が出たら、また転職するのでは」と受け取られます。現職の仕事で叶えられないことと、エンジニアなら叶えられることを、セットで話しましょう。
STEP1
事実
何が起きたかを、簡潔に事実で話す(感情や悪口は入れない)
STEP2
目的
その結果、何を実現したいと考えたのか(前向きな目的)
STEP3
一貫性
その目的が、今回の応募先・職種で叶う理由につなげる
ここで大切なのは、嘘をつくのではなく、同じ事実を「何を実現したいか」の視点で話し直すことです。本音が「変化のない日常でやりがいを感じられなかった」でも、「専門性を高めて、長期的に市場価値を上げたい」という目的として話すことができます。
| 本音(不満) | 言い換えの方向(事実は変えない) |
|---|---|
| 給料が上がらない | 成果や専門性が正当に評価され、スキルに応じて収入が伸びる環境で働きたい |
| 残業が多く、休めない | 業務の効率化や、長く働き続けられる働き方を重視して、キャリアを築きたい |
| 仕事に変化がなく、やりがいがない | 専門的なスキルを身につけ、成長を実感できる仕事に挑戦したい |
| 人間関係が合わない | チームで協力し、お互いに学び合える環境で、力を発揮したい |
| 会社の将来性に不安がある | 成長している業界で、長期的に市場価値を高められる仕事に就きたい |
| やりたい仕事と違う業務を任された | 自分が目指す専門領域に絞って、経験を積みたい |
| 評価基準が不明確で、納得できない | 成果や行動が明確に評価され、改善点が分かる環境で成長したい |
言い換えるときの条件は、事実と矛盾しないことです。実際は人間関係が原因なのに、「スキルアップのため」とだけ話すと、深掘りされたときに説明に詰まります。面接官は、話の筋が通っているかを見ています。
状況:営業職として働き、専門的なスキルが身につかないことに不安を持った
ポイントは、「不安」を「スキルを可視化できる仕事への関心」につなげている点です。
状況:営業で提案する仕事に、モヤモヤがあった
「今の職種では叶えられないこと」と「エンジニアなら叶えられること」を、セットで話しています。反省も入れることで、他責に聞こえません。
状況:評価基準が変わり、給与が下がった
不満の「事実」は簡潔に、「今後求める環境」を中心に話します。会社への批判を長く話さないことが大切です。
状況:長時間労働が続いていた
「残業が嫌だった」ではなく、「その経験から何を学び、どう働きたいか」を話します。
状況:上司との関係がうまくいかなかった
悪口は一切言わず、自分が改善のために行動した事実を入れます。他責にならないことが重要です。
状況:契約期間が満了した/会社の事情で離職した
会社都合でも、「その後、何をしたか」を話すことが大切です。事実を簡潔に述べ、前向きな行動につなげます。
状況:入社後、想像と現実にギャップがあった
「なんとなく合わなかった」と軽く話すと印象が悪くなります。事実・反省・今回の対策を、簡潔に伝えます。
状況:現職で、将来像を描きにくくなった
在職中の転職理由は、現職への責任感を示しつつ、「応募先で叶えたいこと」を中心に話します。
退職理由は、内容だけでなく、話し方でも印象が変わります。次の3点を意識して、声に出して練習しましょう。
| 項目 | 意識すること |
|---|---|
| 長さ | 30秒〜1分。長く話すほど、不満の話が増えやすい |
| 声のトーン | 落ち着いて、前向きに。過去を責める口調にならない |
| 締め方 | 必ず「だから、応募先で〇〇を実現したい」で終わる(過去の話で終わらない) |
話し終えたあとに、「それは改善しようとしましたか?」と聞かれる前提で、自分が試みた行動を1つ準備しておきましょう。これがあるだけで、他責にならず、前向きな人という印象に変わります。
| NG | なぜ避けるべきか |
|---|---|
| 前職・上司・同僚の悪口 | 協調性に不安を持たれる。事実でも、感情的な言い方は避ける |
| 「なんとなく」「合わなかった」 | 理由が不明確で、また同じことが起きると思われる |
| 「ITが成長しているから」だけ | 今の職種を辞める理由になっておらず、志望が弱い |
| 志望動機と矛盾する | 「安定したい」と言いながら「挑戦したい」を強調するなど、軸がずれる |
| 深掘りの質問 | 答えの方向性 |
|---|---|
| それは、改善しようとしましたか? | 自分が行った行動(相談、提案、工夫)を具体的に話す |
| その理由は、うちの会社でも起こりませんか? | 応募先の環境と比べて、解消される理由を、調べた事実から話す |
| 辞める前に、できたことはありませんか? | 反省点を認めたうえで、今回はどう変えているかを話す |
| 次の会社を、どのように選んでいますか? | 転職の軸(成長・専門性・長期就業)を、一貫して話す |
面接で話す退職理由は、次の3ステップで準備すると、本音を整理しながら、前向きな言葉にできます。実際に紙に書き出してみてください。
| 書き出し(本音) | 事実に分ける | 目的に変換する |
|---|---|---|
| 毎日同じ作業ばかりで、つまらない | 担当業務が固定されており、新しい業務に関われる機会が少なかった | 専門性を高められる仕事で、継続的に成長したい |
| 頑張っても給料が変わらない | 評価の基準が明確に示されず、昇給の仕組みも分かりにくかった | 成果や学びが、評価・待遇に反映される環境で働きたい |
| 上司が話を聞いてくれない | 報告・相談の場が限られていた | 報連相を大切にして、チームで成果を出せる環境で貢献したい |
| 評価されやすい | されにくい |
|---|---|
| 専門性・スキルを高めたい(具体的に学習の事実がある) | 「ITは将来性があるから」だけ(根拠がない) |
| 現職では経験できない業務に挑戦したい(応募先で叶える理由が明確) | 「今の仕事がつらいから」だけ(逃げに見える) |
| 長期的にキャリアを築きたい(資格・学習の継続がある) | 「楽な仕事がしたい」「残業が少なければどこでも」(意欲が見えない) |
| 自分の反省点も認めたうえで、改善を試みた | 環境・他人のせいだけで話す |
退職の申し出は、上司に直接、落ち着いて伝えます。次は、伝え方と引き止めへの対応の例(架空)です。
「忙しいから」「後任がいないから」と、退職日を延ばされ続けるケースもあります。その場合は、就業規則と民法の規定を確認し、人事部や、第三者(エージェント・労働相談窓口)にも相談しましょう。
ハラスメントや体調など、話しにくい理由で退職した場合は、次の点に注意してください。
こうした話は、個別の事情によって最適な伝え方が変わります。無理に面接で全てを説明しようとせず、事前にエージェントと伝え方を決めておくのが安全です。
| 状況 | 履歴書での書き方の例 |
|---|---|
| 自己都合の退職 | 「一身上の都合により退職」と記載するのが一般的 |
| 会社都合(倒産・解雇など) | 「会社都合により退職」と記載(詳細は面接で簡潔に説明) |
| 契約期間の満了 | 「契約期間満了により退職」と記載 |
| 在職中 | 「現在に至る」と記載 |
詳しい退職理由は、書類ではなく、面接で聞かれたときに話すのが一般的です。書類全体の書き方は、IT転職の職務経歴書の書き方を参考にしてください。
退職の手続きで押さえておきたい基本です。法律上のルールと、実務上の進め方を分けて考えましょう。
引き止めに遭ったときは、感情的にならず、「転職先が決まっており、お世話になった分、引き継ぎは最後まで責任を持って行います」と、決意を伝えます。退職日と引き継ぎ計画は、エージェントにも相談できます。在職中の進め方の全体像は、IT転職は在職中と退職後のどちらがよい?で解説しています。
✅ 退職理由の最終チェック
退職理由は、一人で整理すると不満の感情が混ざりがちです。キャリアカンパニーでは、面談で本音まで聞き取ったうえで、事実を曲げずに前向きな目的へ整理する作業を、面接対策の中で一緒に行っています。面接全体の準備は未経験IT転職の面接でよく聞かれる質問と答え方もご覧ください。
次にやること
あわせて読みたい:IT転職は在職中と退職後のどちらがよい?メリットと進め方
前職がIT以外の方が多く、前職の経験をふまえた退職理由の伝え方が重要です。キャリアカンパニーで2025年8月〜2026年7月に入社が決まった201名の集計です。
出典:キャリアカンパニー自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった201名。定着率は、入社後1年以内に退職しなかった方の割合(201名が対象))
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 前職がIT以外だった方の割合(全体201名) | 90% |
| 面談から内定までの期間(中央値) | 40日 |
| 入社後1年以内の定着率(201名が対象) | 98% |
※自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった方。定着率は、入社後1年以内に退職しなかった方の割合(201名が対象))。年収は中央値で、個人が特定されない形で集計しています。
事実を変えずに、前向きな目的につなげて伝えるのが基本です。事実と異なる内容は避けましょう。
不満そのものではなく、「次の職場で何を実現したいか」に重点を置いて伝えます。批判的な表現は避けましょう。
事実を簡潔に述べ、その経験から学んだことと、今後の方針を伝えます。同じことを繰り返さない取り組みも添えると前向きな印象になります。
一貫した内容で、落ち着いて答えましょう。事実と目的が整理できていれば、深掘りされても同じ説明ができます。
相談できます。伝え方の整理を手伝ってもらえる場合があります。個人が特定される情報の共有は、必要な範囲にとどめましょう。
退職を考えるタイミングは、エンジニアの転職タイミングはいつ?何年目・何月がよいかで解説しています。
この記事の内容をふまえて、自分の場合はどうなのかを知りたい方は、キャリアカンパニーの無料相談をご利用ください。経験や希望に合わせて、キャリアアドバイザーがご相談に対応します。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。