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COLUMN

IT転職の年収交渉の進め方|エージェント経由で失敗しないポイント

IT転職の年収交渉の進め方|エージェント経由で失敗しないポイント
更新日:2026.10.18

目次

IT転職の年収交渉は、経験者は「内定後・承諾前に、根拠を示して、エージェント経由で」進めるのが基本です。一方、未経験の場合は、入社時の年収があらかじめ決まっていることが多く、交渉の余地は多くありません。この記事では、未経験と経験者の違い、希望年収の答え方、相場の目安、交渉の進め方と例文、年収以外に確認すべき条件、入社後に年収を上げる考え方までまとめました。

この記事のポイント

  • 経験者は交渉できる。未経験は、基本的に入社時の年収が決まっている
  • 希望年収を聞かれたら、求人票とかけ離れない範囲で、「規定に従う」+根拠を伝える
  • 交渉の時期は、内定後・承諾前。エージェントを通して、根拠とともに伝える
  • 年収以外に、固定残業代・賞与・入社日・研修・資格支援の確認も大切

自社集計|入社時の年収の実態

まず、実際の入社時の年収の実態を見てみましょう。キャリアカンパニーで2025年8月〜2026年7月に入社が決まった方のうち、インフラ分野の170名では、入社時の年収の中央値は320万円で、転職前(300万円)より高い結果でした。年収が上がった方は60%でした。

開発分野で入社した20名でも、入社時の年収の中央値は320万円で、転職前の300万円を上回っています(自社集計)。ただし、これは「入社時の条件」で、個人によって上下し、全員が上がるわけではありません。

未経験と経験者で、交渉のしやすさが違う

未経験での転職経験者の転職
入社時の年収企業の規定により、あらかじめ決まっていることが多い経験・スキルに応じて、幅がある
交渉の余地基本的に少ないある。根拠があれば、交渉しやすい
交渉で使える材料学習の事実・資格・前職の経験現年収、経験年数、保有資格、実績、他社の選考状況
年収を上げる主な手段入社後の昇給・資格手当・配属先の広がり入社時の条件交渉+入社後の昇給
エージェントの役割条件の確認・入社後の見通しの共有条件交渉の代行またはサポート

未経験の方は、入社時の年収で勝負するのではなく、入社後に、経験と資格で年収を上げていく道筋を見て選ぶことが大切です。運用・監視から構築・設計に進む道筋は、運用・監視から構築・設計へ進む方法で解説しています。

参考|職種別の平均年収の目安

dodaの「平均年収ランキング2025」(集計期間:2024年9月〜2025年8月)では、IT関連の職種の平均年収は、次のようになっています。個別の年収を保証するものではなく、あくまで目安です。

職種平均年収
セキュリティエンジニア497万円
サーバーエンジニア469万円
ネットワークエンジニア455万円
運用/監視/保守389万円
ヘルプデスク362万円

出典:doda「平均年収ランキング2025」。技術系全体の平均は469万円、全体の平均は429万円です。経験・スキル・企業によって、年収は大きく異なります。

「希望年収は?」と聞かれたときの答え方

面接や、エージェントとの面談で、希望年収を聞かれる場面があります。ポイントは、求人票の条件と、かけ離れた金額を言わないことです。

状況答え方のポイント
未経験・求人票に年収が明記されている「御社の規定に従います」と答える。一日も早く貢献することが最優先、と添える
経験者・年収に幅がある求人現年収と、希望の幅(下限〜上限)を、根拠とともに伝える
現年収より下がる場合入社後の昇給・成長の見通しを確認し、納得できるかを自分で判断する
回答例|未経験(架空の例)

基本的には、御社の規定に従いたいと考えております。今回は未経験の領域への挑戦ですので、まずは実務を通して、一日も早く貢献できるようになることを最優先にしています。そのうえで、これまでの社会人経験や、取得した資格も考慮していただければ幸いです。

回答例|経験者(架空の例)

現在の年収は〇〇万円です。運用で3年の経験があり、AWSの資格も取得しています。構築・設計の業務で貢献したいと考えており、〇〇万円〜〇〇万円の範囲を希望しております。ただし、業務内容や評価の仕組みも含めて、総合的に判断したいと考えています。

⚠ 注意

「できるだけ高く」「いくらでも構いません」と答えるのは、どちらも避けましょう。根拠のない高い金額も、なげやりな回答も、評価を下げることがあります。

年収交渉の進め方|5ステップ

内定の承諾期限は3〜5日と短い企業も多いため、内定が出る前に、希望の条件と根拠を整理しておくとスムーズです。交渉は、承諾の返事を出す前に行います。承諾したあとに、条件を変えることは難しくなります。

交渉で使える根拠と、使えない根拠

使える根拠使えない根拠
現在の年収(源泉徴収票などで確認できる実績)「生活が苦しいから」など、個人的な事情
業務に直結する資格(AWS、CCNPなど)「友人がもっともらっているから」という比較
経験年数・担当した業務の範囲・実績根拠のない「このくらいほしい」という希望額
他社の選考状況・提示条件(事実の範囲で)事実と異なる、他社の条件や実績の誇張

エージェントへの伝え方の例文

条件交渉をお願いするメッセージ(架空の例)

お世話になっております。〇〇です。内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。

御社への入社を前向きに考えております。1点、年収についてご相談させてください。

  • 現在の年収:〇〇万円
  • 保有資格:AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト
  • 経験:サーバー・ネットワークの運用3年

これらを踏まえ、〇〇万円での条件をご検討いただけないか、企業様にご確認いただけますでしょうか。難しい場合は、その理由もお伺いできれば幸いです。

交渉が難しい場合でも、理由を聞いておくと、入社後の昇給の見通しや、次の転職の参考になります。

年収以外に確認・交渉できる項目

項目確認すること
固定残業代年収に、何時間分の固定残業代が含まれているか。超過分は支給されるか
賞与支給の有無、回数、評価との関係、入社初年度の扱い
各種手当資格手当、通勤手当、住宅手当、夜勤手当など
試用期間期間の長さ、その間の給与・条件が変わるか
入社日引き継ぎ期間を考慮した、現実的な入社日
研修・資格支援研修の内容、受験費用の補助、学習時間の確保
配属・業務入社後に担当する業務、配属の希望の聞かれ方

労働基準法15条により、企業は労働者に対して、賃金や労働時間などの労働条件を明示する必要があります。内定後は、労働条件通知書を、必ず書面で確認し、口頭の説明と食い違いがないか確認しましょう。

内定後に確認したい質問10個

条件面は、内定後に確認するのが一般的です。聞きにくいと感じても、入社後のミスマッチを防ぐために、必要な質問です。エージェント経由で確認すると、角が立ちません。

質問確認する理由
年収の内訳(基本給・固定残業代・手当)を教えてください「額面は高いが、固定残業代が大きい」という場合があるため
固定残業代は何時間分で、超過分は支給されますか実際の働き方と、収入の関係を知るため
賞与の支給実績と、初年度の扱いを教えてください年収に占める賞与の割合を把握するため
昇給の時期と、評価の基準を教えてください入社後の年収の伸びを見通すため
資格手当の対象となる資格と、金額を教えてください学習の目標と、収入の関係を把握するため
試用期間の長さと、その間の条件を教えてください試用期間中の給与や待遇が違う場合があるため
夜勤・シフトの頻度と、夜勤手当を教えてください働き方と収入の両面を把握するため
入社後の研修内容と、資格受験費用の補助はありますか成長のための支援を確認するため
入社後、最初に配属される業務と、その後の道筋を教えてくださいキャリアパスの実態を知るため
入社日は、いつまで調整できますか現職の引き継ぎ期間を確保するため

複数内定が出たときの比較の軸

複数の内定が出た場合は、年収だけでなく、自分の転職の軸に立ち返って比較します。次の表のように、軸ごとに点数をつけると、判断しやすくなります。

比較の軸A社B社C社
入社時の年収(固定残業代を除く)〇△〇
昇給・資格手当の仕組み△〇〇
研修・学習支援〇〇△
構築・設計へ進める実績△〇〇
働き方(夜勤・残業・勤務地)〇△〇
社風・チームの雰囲気(面接での印象)〇〇△

「入社時の年収だけが一番高い」会社が、必ずしも最適とは限りません。5年後・10年後の姿から逆算して、「成長できる環境」「昇給の見通し」「自分の軸に合う働き方」を総合して選びましょう。

企業の担当者との交渉の会話例

エージェントを通さず、企業の担当者と直接条件を話す場面もあります。そのときの会話の例です(架空)。

条件面談の会話例(架空の例)

求職者:本日はお時間をいただき、ありがとうございます。入社を前向きに考えております。1点、年収についてご相談させてください。

担当者:どのようなご希望でしょうか。

求職者:現在の年収は〇〇万円です。運用の経験に加え、AWSの資格も取得しています。今回の提示額から、〇〇万円ほど上げていただくことは可能でしょうか。難しい場合は、昇給の時期や評価の基準も教えていただけると助かります。

担当者:確認して、〇日までにご連絡します。

会話では、要望を伝えたあとに、「難しい場合の代替(昇給時期の確認など)」も聞くと、建設的な話し合いになります。「ダメなら辞退します」といった言い方は、避けたほうが賢明です。

年収に関わる資格と、取得の目安

分野資格の例役立つ場面
ネットワークCCNA、CCNPネットワークの運用・構築の業務。資格手当の対象になる会社もある
サーバーLPIC、LinuCLinuxサーバーの構築・運用
クラウドAWS ソリューションアーキテクト アソシエイト、Azure AZ-104クラウドの構築・設計。需要が増えている分野
セキュリティ情報処理安全確保支援士などセキュリティ関連の業務。平均年収が高い傾向

資格手当の有無や金額は、会社によって異なります。資格の選び方はIT資格のロードマップが参考になります。

現年収の伝え方|額面・手取り・残業代の違い

現年収を聞かれたとき、人によって「額面」「手取り」「残業代の有無」の認識がばらばらになりがちです。次の点を整理して、源泉徴収票など、確認できる数字で伝えるのが基本です。

項目意味伝え方
額面年収税金・社会保険料を引く前の年間の収入(賞与・各種手当を含む)基本は、額面で伝える。源泉徴収票の「支払金額」で確認できる
手取り年収税金・社会保険料を引いた後の金額求められない限り、手取りは伝えない(比較しづらくなる)
残業代時間外労働に対する賃金含めるかを、先に明確にする。「残業代込みで〇〇万円」と伝える

伝える数字は、実際より高く言わないことが大切です。入社後に提出する書類(源泉徴収票など)で、事実が確認されることもあります。

年収交渉が向かない・慎重にすべきケース

  • 未経験での転職:企業の規定で、入社時の年収が一律に決まっていることが多い。交渉より、入社後の昇給・資格取得に注目する
  • 募集要項に、年収が一律で明記されている:変更が難しい前提で、条件に納得できるかを判断する
  • 経験・実績が、応募職種と関係が薄い場合:根拠が弱いため、年収より、経験を積める環境を優先する
  • 交渉の根拠を、事実で示せない場合:無理に交渉せず、入社後の評価で伸ばす

交渉できるかどうかは、「自分に力があるか」だけでなく、企業の制度・採用の枠組みにも左右されます。難しいと感じたときも、自信をなくす必要はありません。

よくある疑問と答え

Q. 現年収を伝えたくないのですが、伝えなくてもよいですか?

伝えなくても進められることもありますが、経験者の条件交渉では、現年収が重要な基準になります。伝えたくない場合は、理由を添えて、希望の年収の幅だけを伝える方法もあります。エージェントに相談して、伝え方を決めましょう。

Q. 内定後に、もっと高い条件を出す企業が見つかったら、どうすればよいですか?

承諾前であれば、他社の状況も踏まえて、エージェントに相談できます。ただし、承諾したあとで、他社を理由に条件を変えることは、信頼を損なう可能性があります。迷っている段階で、早めに状況を共有しましょう。

Q. 年収が下がる転職は、やめたほうがよいですか?

一概には言えません。未経験からの転職では、入社時の年収が前職より低くなることもありますが、資格取得や担当範囲の拡大で、数年後に上がる道筋があるかを確認することが大切です。自社集計では、インフラ分野で入社した170名のうち、年収が上がった方が60%でした(2025年8月〜2026年7月入社)。

Q. エージェントは、年収の高い求人を優先して紹介しますか?

エージェントは、求職者の希望や経歴に合う求人を紹介します。年収の高さだけでなく、成長できる環境や、長く働ける条件も含めて提案してくれるかが、誠実さの目安です。面談で、「なぜその求人なのか」を毎回確認しましょう。

✔ ポイント

交渉の結果がどうであっても、最終的に判断する基準は「5年後に、自分が成長しているか」です。年収・研修・昇給・配属・働き方を総合して、納得できる条件を選びましょう。迷ったときは、条件を書き出して、エージェントと一緒に整理するのがおすすめです。

年収が下がる転職を、どう考えるか

未経験からのIT転職では、入社時の年収が前職と近い、またはやや下がることもあります。判断のポイントは、「いま」ではなく、「3年後、5年後にどうなっているか」です。

時期年収を上げる主な要因
入社後1年業務に慣れ、評価・昇給の対象になる。資格手当の対象となる資格を取得する
2〜3年目運用から、保守・障害対応など、担当範囲を広げる。上位資格を取得する
3年目以降構築・設計に進む。キャリアアップの転職、または社内での昇格

入社先を選ぶときは、「入社時の年収」だけでなく、「資格手当」「昇給の実績」「構築・設計へ進んだ人の実績」を確認しましょう。

よくある失敗

  • 承諾後に、条件の交渉をしようとする:承諾後は、変更が難しい。必ず承諾前に行う
  • 根拠なしに、高額を要求する:相場とかけ離れた要求は、内定取り消しのリスクにもつながる
  • 年収だけで企業を選ぶ:固定残業代、評価、成長機会を含めて判断する
  • 口頭の条件だけを信じる:必ず、書面(労働条件通知書)で確認する
  • 交渉を、一人で抱える:エージェントを通すと、関係性を損なわずに伝えやすい

面接の中で聞かれる希望年収の答え方は、未経験IT転職の面接でよく聞かれる質問と答え方の「Q10」でも紹介しています。在職中の内定後の動きはIT転職は在職中と退職後のどちらがよい?も参考にしてください。

年収交渉のチェックリスト

✅ 年収交渉のチェックリスト

  • ☐  未経験か経験者かで、交渉の余地が違うことを理解した
  • ☐  希望年収の答えを、求人票の条件とかけ離れない範囲で準備した
  • ☐  交渉の根拠(現年収・資格・経験・実績)を整理した
  • ☐  承諾前に交渉することを理解している
  • ☐  固定残業代・賞与・手当・試用期間を確認する
  • ☐  労働条件通知書を、書面で確認する
  • ☐  入社後の昇給・資格手当・キャリアの道筋を確認した
  • ☐  交渉は、エージェント経由で依頼する

キャリアカンパニーでは、内定後の条件面(年収・入社時期など)の確認や交渉を、エージェントがサポートしています。未経験の方は入社時の年収が決まっていることが多いため、入社後の昇給や、運用から構築へ進む道筋を含めて、一緒に考えています。

この記事のまとめ

  • 経験者は交渉できる。未経験は、入社時の年収があらかじめ決まっていることが多い
  • 希望年収は、求人票とかけ離れず、「規定に従う」+根拠で答える
  • 交渉は、内定後・承諾前に、エージェント経由で行う
  • 固定残業代・賞与・手当・試用期間も、書面(労働条件通知書)で確認する
  • 入社時の年収だけでなく、入社後の昇給・資格手当・キャリアの道筋で選ぶ

次にやること

  1. 交渉の根拠(現年収・資格・経験・実績)を整理する
  2. 内定後に確認したい質問10個を、メモにする
  3. 複数内定の比較の軸を、表にする

あわせて読みたい:IT転職は在職中と退職後のどちらがよい?メリットと進め方

キャリアカンパニーの支援実績(自社集計)

インフラ職の転職実績です。キャリアカンパニーで2025年8月〜2026年7月に入社が決まった201名の集計です。

項目結果
前職がIT以外だった方の割合(全体201名)90%
インフラ職で入社した方(170名)の入社時年収(中央値)320万円(転職前は300万円)
インフラ職で年収が上がった方の割合60%
面談から内定までの期間(中央値)40日

※自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった方。定着率は、入社後1年以内に退職しなかった方の割合(201名が対象))。年収は中央値で、個人が特定されない形で集計しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 年収交渉は、いつ行えばよいですか?

内定が出て、条件が提示された段階で行うのが一般的です。エージェントを通じて、希望と根拠を伝えます。

Q2. 未経験でも、年収交渉はできますか?

できますが、未経験の場合は、前職の年収より上がらないこともあります。年収だけでなく、入社後の成長や昇給の見通しも含めて判断しましょう。

Q3. エージェントを通すと、交渉しやすいですか?

自分で言いにくい点を、整理して企業に伝えてもらえる場合があります。希望と根拠を、事前に共有しておきましょう。

Q4. 年収以外に、何を確認すべきですか?

業務内容、配属先、残業・夜勤の有無、研修、資格取得支援、昇給・評価制度などです。入社後のミスマッチを避けるために、書面で確認しましょう。

Q5. 相場は、どこで調べればよいですか?

doda「平均年収ランキング」や、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)などで、職種別の目安を確認できます。

複数の内定が出たときの比べ方は、IT転職の内定が複数出たときの選び方もご覧ください。

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この記事の監修者
百瀬将悟 プロフィール写真

アドバイザー

百瀬将悟

大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。

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