
システムエンジニア(SE)は、「やめとけ」と言われる理由が実際にある職種です。ただし、すべての会社・すべての人に当てはまるわけではありません。つらさの原因は、職種そのものより、「会社の選び方」と「向き不向き」にあることが、多くあります。この記事では、「やめとけ」と言われる7つの理由、実態を見る数字、向いている人・向いていない人、避けるための会社選び、つらいときの選択肢、将来性までを、公的データと自社データをもとに整理しました。
この記事のポイント
「SEはやめとけ」と言われる背景には、納期前の長時間労働や、多重下請けの構造など、実際に起きている問題があります。一方で、IT人材を求める企業は、多くあります。転職サービスdodaの転職求人倍率レポート(2026年6月)では、IT関連の求人倍率は11.06倍で、全体の2.55倍を大きく上回っています。
つまり、「SEという職種が悪い」のではなく、「どんな会社で、どんな工程を、どんな条件で担当するか」で、働きやすさが決まります。やめとけと言われる理由を、事前に知り、避ける方法を持っていれば、リスクを大きく減らせます。
SEの仕事内容は、システムエンジニア(SE)とはで、プログラマーとの違いは、エンジニアとプログラマーの違いで解説しています。
| 理由 | 何が起きているか | 避ける・和らげる方法 |
|---|---|---|
| 長時間労働・納期のプレッシャー | 納期前や、障害対応で、残業が増える | 残業の実態と、固定残業代の有無を、入社前に確認する |
| 多重下請け(商流が深い) | 二次受け・三次受けが多く、単価が下がり、給与が上がりにくい | 商流・配属先の決まり方・還元の説明を確認する |
| 技術の変化が速い | 新しい技術を、学び続ける必要がある | 研修・資格支援のある会社を選ぶ。学習の習慣をつける |
| コミュニケーションの負担 | 顧客・チーム・他部署との調整が多い | 役割と、調整の範囲を、面接で確認する |
| 給与への不満 | 仕事量に対して、給与が見合わないと感じる | 評価の仕組みと、昇給の実績を確認する |
| 障害対応・夜間の呼び出し | システム障害時に、時間外の対応が必要になる | 待機・呼び出しの有無と、手当を確認する |
| 将来性への不安 | AIで、仕事がなくなるのではと、不安になる | 上流工程や、専門性(クラウド・セキュリティなど)へ広げる |
この7つの理由は、会社や配属によって、程度が大きく違います。たとえば、ブラックな会社を避ける確認方法は、ブラックなIT企業の見分け方で、詳しく解説しています。入ってはいけない企業の特徴は、「入ってはいけないIT企業」とは?をご覧ください。
| タイプ | 特徴 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| SIer(受託開発) | 顧客のシステムを、設計から運用まで請け負う | 上流工程や、大規模な開発を経験したい人 | 元請けか、下請けかで、担当工程と働き方が変わる |
| SES(客先常駐) | 顧客先に常駐して、開発や運用を担当する | 多様な現場を、経験したい人 | 商流・配属先の決まり方・育成の体制を確認する |
| 自社開発 | 自社のサービスや製品を、開発・改善する | プロダクトに、長く関わりたい人 | 未経験の採用枠は、少ない場合がある |
| 社内SE | 自社のシステムの運用・問い合わせ対応を担当する | 安定した働き方を望む人 | スキルが止まりやすい面がある。上流を経験してから進むほうがよい |
どのタイプにも、メリットと注意点があります。自分が何を重視するか(成長、安定、年収、働き方)を決めてから、タイプを選んでください。自社開発については、自社開発はやめとけと言われる理由は?も、あわせてご覧ください。
転職サービスdodaの「平均年収ランキング(2025年版、2024年9月〜2025年8月)」では、SE/プログラマの平均年収は435万円でした。IT・通信の技術系全体は469万円、プロジェクトマネージャは707万円です。年代別(技術系全体)では、20代398万円、30代519万円、40代649万円と、経験を積むほど上がる傾向があります。
| 職種 | 平均年収(doda、2025年) |
|---|---|
| プロジェクトマネージャ | 707万円 |
| ITコンサルタント | 601万円 |
| サーバーエンジニア | 469万円 |
| ネットワークエンジニア | 455万円 |
| SE/プログラマ | 435万円 |
| 運用監視・保守 | 389万円 |
「給与が安い」と感じる場合は、職種の違い(運用・保守か、設計・上流か)と、会社の商流が、影響している可能性があります。給与の仕組みは、エンジニアの給料は安すぎる?でも、解説しています。
時間外労働の上限は、原則として、月45時間・年360時間と定められています(労働基準法、特別な事情がある場合の例外あり)。求人や面接で、残業の実態が、この水準と大きく違う場合は、注意が必要です。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 物事を論理的に整理し、原因を順に調べるのが苦にならない | 曖昧な指示のまま、進めることが苦手で、確認を避ける |
| 顧客やチームと、調整しながら進められる | 人との調整・報告が、大きな負担になる |
| 新しい技術を、少しずつ学び続けられる | 学び続けることに、強い負担を感じる |
| 地道な確認・テストを、丁寧にできる | 確認を後回しにして、スピードだけを優先したい |
| 長期的なキャリアを、描いて動ける | 短期間で、成果が目に見えることだけを求める |
向き不向きは、経験する前には、完全には分かりません。ただ、「調べる」「確認する」「報告する」の3つに、抵抗がなければ、未経験からでも、十分に適性があります。
| 確認点 | 見るポイント | 質問の例 |
|---|---|---|
| 研修の内容 | 期間・内容・研修後のフォロー | 研修は何か月で、どんな内容ですか |
| 配属と担当工程 | 入社後の配属先、上位の工程へ進んだ実績 | 未経験で入社した方は、その後どんな工程を担当していますか |
| 残業と働き方 | 月平均と繁忙期の残業、夜勤・待機 | 残業は月に何時間ですか。繁忙期は |
| 商流 | 直接契約か、何次受けか | 配属先は、どのような契約形態ですか |
| 評価と昇給 | 評価基準と、昇給の実績 | 3年目の方の、役割と年収のモデルを教えてください |
SESの見極め方は、SESはやめとけ?未経験が後悔しないための事実とキャリア戦略で、解説しています。当社の面談では、「マージンの○割を還元」と強くうたう会社は、基本的に注意が必要だとお伝えしています。キャリアとして評価し、育てる会社のほうが、長く続けやすい傾向があります。
| 感じていること | 考えられる原因 | 試してみること |
|---|---|---|
| 毎日、疲れ果てている | 残業・夜勤が、多い。または工程が合っていない | 残業の実態を整理し、上司に相談する。会社・工程を変える選択肢を検討する |
| 成長している感じがしない | 同じ作業が、続いている | 担当を広げる相談をする。資格や学習で、スキルを足す |
| 人間関係が、つらい | 相談しにくい。役割が曖昧 | 役割の整理を相談する。環境を変える選択肢を検討する |
| 給与に、納得できない | 商流が深い。評価の仕組みが、不明確 | 評価の基準を確認する。商流の浅い会社も、比べる |
症状は同じでも、原因は人によって違います。「何が、つらいのか」を書き出して、原因を整理することが、次の一手を決める第一歩です。
これらが揃っているなら、環境を変えずに、もう少し続けて、経験を積むことも、選択肢のひとつです。迷う場合は、第三者に相談してください。
| 選択肢 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 会社を変える | 同じSEの仕事を、別の会社で続ける | 仕事内容は合っているが、会社の働き方・給与が合わない |
| 工程を変える | 運用・保守から、構築・設計・要件定義へ。または上流から、PMへ | 同じ工程が続き、成長を感じられない |
| 専門を変える | クラウド・セキュリティ・データなど、需要の高い分野へ | 将来性に不安があり、専門性を広げたい |
転職を考える場合は、「何が合わなかったか」を整理してから、次の会社を選ぶことが、同じ失敗を繰り返さないために重要です。当社の面談では、次のようにお伝えしています。商流の浅い会社(SESやSIer)で、上流工程を目指すと、コンサルやPM系へ進む道も開け、年収が上がりやすくなります。社内SEは、最終着地になりやすいため、構築・設計・要件定義を一通り経験してから進むほうが、キャリアが伸びやすい傾向があります。社内SEについては、未経験から社内SEに転職できる?をご覧ください。
また、転職は、1〜2年での早い転職は避け、3年ほど経験を積んでから、より上の領域へ進むほうが、評価されやすい傾向があります。
SEの仕事は、工程によって、負荷のかかり方が違います。どの工程で、つらさが出やすいかを知っておくと、対処しやすくなります。
| 工程 | 主な仕事 | つらさが出やすい場面 | 対処のヒント |
|---|---|---|---|
| 要件定義 | 顧客の要望を聞き取り、整理する | 要望が変わる、曖昧な指示が続く | 確認事項を文書に残し、合意の記録を取る |
| 設計 | システムの構成や、画面・データを設計する | 設計書の量が多い、レビューでの指摘 | レビューの観点を、事前に整理する |
| 開発(実装) | プログラムを作る | 納期前の残業、仕様変更 | 小さく作って、早めに確認する |
| テスト | 動作を確認し、不具合を直す | 不具合が多い、期限が短い | テストの計画を、早めに立てる |
| リリース・運用 | 本番に反映し、稼働を見守る | 夜間・休日の作業、障害対応 | 手順書と、役割分担を整える |
運用・保守から入る場合の、1日の流れはインフラエンジニアへ未経験で転職する方法で紹介しています。
これらは、求人票だけでは分かりません。面接や、転職エージェントを通じて、具体的に確認してください。
「AIで、SEの仕事がなくなる」という不安は、よく聞かれます。米国労働統計局(BLS)の見通しでは、コンピュータープログラマーの雇用は、2024年から2034年にかけて、6%減少するとされています。一方で、調査会社のガートナーは、2028年までに、企業のソフトウェアエンジニアの75%が、AIコーディングアシスタントを使うようになると予測しています。
これらから言えるのは、「コードを書く作業」は、AIに置き換わる部分が増えるということです。一方で、顧客の課題を整理し、要件を決め、設計し、品質に責任を持つ仕事は、人が担う役割として、残ると考えられます。SEは、上流工程や、専門性を高める方向へ、役割を広げていくことが大切です。詳しくは、プログラマーの仕事は本当になくなる!?をご覧ください。
当社で2025年8月〜2026年7月に入社した201名のうち、前職がIT以外の方は90%でした(自社集計)。多くの方が、運用・監視やヘルプデスクなど、手順が決まった業務から経験を積み、構築・設計へ進んでいます。運用・監視の経験を3年程度積み、資格を持つ20名のうち19名(95%)が、入社後半年程度で、構築・設計を担当しています。
入社後1年以内の定着率は、98%です(201名が対象、自社集計)。未経験からの進め方は、インフラエンジニアへ未経験で転職する方法で、詳しく解説しています。
| 分類 | 具体例 | 身につけ方 |
|---|---|---|
| 技術 | プログラミング、データベース(SQL)、ネットワーク、クラウド | 仕事を通じて学ぶ。資格の学習で、体系的に補う |
| 設計・上流 | 要件の整理、設計書の作成、レビュー | 設計書を読み、レビューを受ける経験を積む |
| コミュニケーション | 聞き取り、説明、報告・相談 | 要点を絞って、簡潔に伝える練習をする |
| 進め方 | スケジュール管理、優先順位、リスクの見通し | 小さな作業から、計画を立てて、実行する |
SEは、技術だけでなく、聞く・伝える・進める力も、評価されます。前職での経験(調整、報告、管理など)は、SEの仕事に、活かせる場面があります。自己PRの書き方は、IT転職の自己PRの書き方で、紹介しています。
| 段階 | 主な役割 | 進み先の例 |
|---|---|---|
| メンバー | 設計・開発・テスト・運用を担当 | 専門技術を深める。上流工程へ進む |
| サブリーダー・PL | チームの進捗・品質を管理 | プロジェクトの管理を学ぶ |
| PM・PMO | プロジェクト全体の管理 | dodaの調査では、PMの平均年収は707万円 |
| 専門職・コンサル | クラウド・セキュリティ・データ・ITコンサルなど | 専門性を活かして、上流の仕事へ |
上流工程や、管理・コンサルの仕事へ進むと、年収が上がりやすくなります。PMを目指す場合は、プロジェクトマネージャ試験の学習も、役立ちます。
急いで辞めるより、整理してから動くほうが、次の会社の選び方も、的確になります。転職活動の進め方は、IT転職エージェントの登録から内定までの流れをご覧ください。
キャリアカンパニーは、未経験・若手のITエンジニアを専門に支援しています。企業側と求職者側の両方を担当する「両面型」のため、企業ごとの研修や配属の実態を踏まえて、ご案内しています。面接対策は、企業ごとに個別に行い、模擬面接も、ご希望の回数だけ実施します。入社後も、1か月・3か月の面談で、状況を確認しています。
「今の会社が、自分に合っているか分からない」「SEとして、この先どう進むべきか」といった相談だけでも、お受けします。お気軽にご相談ください。
転職・入社前のチェックリスト
これらを、箇条書きでかまわないので、メモにしておくと、相談がスムーズに進みます。完璧に整理されていなくても、問題ありません。
一概には言えません。長時間労働や多重下請けなど、実際の問題はありますが、会社・配属・工程によって、働き方は大きく変わります。向き不向きと、会社の選び方を確認したうえで、判断してください。
dodaの平均年収ランキング(2025年版)では、SE/プログラマは435万円、IT・通信の技術系全体は469万円、プロジェクトマネージャは707万円でした。経験者を含む全体の平均です。
会社や案件によって、大きく異なります。時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です(労働基準法)。入社前に、残業の実態を、具体的に確認してください。
なれます。当社で2025年8月〜2026年7月に入社した201名のうち、前職がIT以外の方は90%でした(自社集計)。運用・監視などから経験を積み、構築・設計へ進む流れが、一般的です。
コードを書く作業は、AIに置き換わる部分が増えると考えられますが、課題の整理、要件定義、設計、品質への責任といった仕事は、人が担う役割として残ると考えられます。上流工程や専門性を広げることが、大切です。
会社を変える、工程を変える、専門を変える、の3つの選択肢があります。何が合わなかったかを整理してから、次の会社を選んでください。法令に反する働かせ方がある場合は、労働基準監督署などに相談してください。
働き方が安定する場合がありますが、スキルが止まりやすい面もあります。構築・設計・要件定義を一通り経験してから進むほうが、年収もキャリアも伸びやすい傾向があります。
SEとして、この先どう進むか迷ったときは、お気軽にご相談ください。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。