
Zabbix(ザビックス)とは?監視ツールの仕組みと、未経験の運用・監視エンジニアが覚えること
Zabbix(ザビックス)は、サーバーやネットワーク機器、アプリケーションなどの状態を集めて、異常があれば知らせてくれるオープンソースの監視ツールです。運用・監視の求人で名前を見かけることが多いツールの一つです。

この記事では、監視ツールとは何か、Zabbixの概要と仕組み、主な用語、現場での使われ方、学び方、転職での伝え方までを順番に解説します。
監視ツールとは、サーバーやネットワーク機器などが正しく動いているかを自動で確かめ続け、異常があれば人に知らせるためのソフトウェアです。
システムは24時間動いていることが多く、人が画面の前でずっと見張るのは現実的ではありません。そこで監視ツールが、決めた間隔でデータを集め、「CPUの使用率が高すぎる」「ディスクの空きが少ない」「機器から応答がない」といった状態を見つけて、画面の表示やメールなどで知らせます。
監視する項目は会社やシステムによって変わります。以下は一般的な例です。
| 見るもの | 監視の例 |
|---|---|
| 生きているか(死活) | サーバーや機器が応答するか |
| 性能 | CPU・メモリ・ディスクの使用率、通信量 |
| サービス | Webサイトやアプリケーションが動いているか |
| ログ | エラーを示す記録が出ていないか |
| 容量 | ディスクやデータベースの空きが十分か |
監視の仕事そのものの内容は、監視業務とはで詳しく解説しています。この記事では、その監視で使われる道具の一つであるZabbixに絞って説明します。
Zabbixは、ネットワークやサーバー、仮想マシン、アプリケーション、サービス、データベース、Webサイト、クラウドなどの状態を監視できるツールです。Zabbixの公式ドキュメントでは、企業向けのオープンソースの分散監視ソリューションと説明されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | ザビックス |
| 種類 | オープンソースの監視ツール |
| 作った人・開発元 | Alexei Vladishev氏が作り、Zabbix SIA(本社はラトビア)が開発・サポート |
| ライセンス | 7.0以降はGNU AGPLv3、6.4までの版はGNU GPLv2 |
| 費用 | ソフトウェアは無料で使える(公式ドキュメントに記載)。有償のサポートやトレーニングもある |
「オープンソース」とは、プログラムの中身(ソースコード)が公開されていて、ライセンスの条件の範囲で誰でも使えるソフトウェアのことです。無料で使えるため、検証用の環境で試しやすい点も、未経験の方にとっての利点です。
Zabbixには、長く使うことを前提にしたLTS(Long-Term Support:長期サポート)版と、新しい機能を早く取り入れる標準版があります。公式の「ライフサイクルとリリースポリシー」のページでは、次のように説明されています。
| 種類 | 出る間隔 | サポートの期間 |
|---|---|---|
| LTS版 | 約1年半ごと | 合計5年(フルサポート3年+限定サポート2年) |
| 標準版 | 6か月ごと | 合計12か月(フルサポート6か月+限定サポート6か月以上) |
2026年11月4日に確認した時点では、最新のLTS版はZabbix 7.0 LTS(2024年6月4日リリース)で、公式ドキュメントの最新版は7.4でした。次のLTS版として、Zabbix 8.0 LTSが2026年の第4四半期に予定されています。
LTS版はサポートの期間が長いのが特徴です。現場でどの版を使っているかは会社によって違うため、入社後は「いま使っている版はいくつか」を最初に確かめておくと、調べものがしやすくなります。

Zabbixは、いくつかの部品(コンポーネント)が役割を分けて動きます。公式ドキュメントの説明をもとに、主な構成要素を整理します。
| 構成要素 | 役割 |
|---|---|
| Zabbix server | 中心となる部品。エージェントやプロキシとやりとりし、データを集め、トリガーを評価し、通知を送る |
| Zabbix agent | 監視される側のサーバーなどに入れる部品。その機器の資源やアプリケーションの状態を調べて、サーバーに送る |
| Zabbix proxy | Zabbix serverの代わりにデータを集める部品。サーバーの負担を減らすために使う |
| データベース | 設定の内容と、集めたデータをすべて保存する |
| Webの画面(フロントエンド) | ブラウザから設定や監視の状況を見るための画面 |
流れを簡単にまとめると、次のようになります。
なお、Zabbix agentには「Zabbix agent」と「Zabbix agent 2」の2種類があると公式ドキュメントに書かれています。また、エージェントを入れられないネットワーク機器などは、別の方法で監視することもあります。現場の構成は会社ごとに違うため、入社後に構成図で確かめましょう。
Zabbixを使う現場では、独特の用語がよく出てきます。公式ドキュメントの定義をもとに、未経験の方が最初に覚えたい用語をまとめます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ホスト | 監視する対象。物理サーバー、仮想マシン、アプリケーション、サービスなど |
| アイテム | ホストから集める1つの値(例:CPUの使用率、ディスクの空き容量) |
| トリガー | アイテムの値を評価する条件。しきい値を超えると障害(Problem)の状態になり、戻るとOKになる |
| イベント | トリガーの状態が変わったときなどに記録される出来事 |
| アクション | イベントに対して行う動き。条件と操作(例:通知を送る)を組み合わせて設定する |
| テンプレート | アイテムやトリガーなどをまとめたひな形。複数のホストにまとめて当てはめられる |
| ダッシュボード | ウィジェットで監視の状況をまとめて表示する画面 |
一例として、「Webサーバーのディスクがいっぱいになりそう」という場面を考えてみます。
監視の担当者は、ダッシュボードや障害の一覧でこの状態に気づき、手順書に沿って対応します。テンプレートを使うと、同じ種類のサーバーに同じ監視の設定をまとめて当てはめられるため、設定の手間と漏れを減らせます。
未経験から運用・監視の仕事に入った場合、いきなりZabbixの設定を任されることは多くありません。最初は、Zabbixが出したアラートを見て、決められた手順で対応するところから始まるのが一般的です。
| 段階 | やること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1. アラートの確認 | 障害の一覧や通知を見て、どのホストで何が起きたかを確かめる | 発生した時刻と重要度を記録する |
| 2. 一次切り分け | 手順書に沿って、機器の状態やログを確かめ、影響の範囲を調べる | 手順書にない操作は勝手に行わない |
| 3. エスカレーション | 決められた連絡先(上位の担当者や顧客)に報告する | 「何が・いつから・どこまで」を簡潔に伝える |
| 4. 記録と復旧の確認 | 対応した内容を記録し、障害が回復したか(OKに戻ったか)を確かめる | 同じ障害がくり返していないかも見る |
この流れの中で特に大切なのは、見たことを正確に伝えることです。アラートの名前、ホスト名、時刻、画面に出ている値を、そのまま記録して報告できるだけでも、現場では頼りにされます。
経験を積むと、監視項目の追加、トリガーのしきい値の見直し、テンプレートの作成など、監視の設定側の仕事を任される場合があります。ここまでできるようになると、構築の仕事にも近づきます。運用・監視から構築・設計への進み方は、運用・監視から構築・設計へで解説しています。
なお、監視の仕事は24時間の体制で行うことが多く、夜勤やシフト勤務がある場合があります。当社の面談では、夜勤の一例として「夕方17〜18時から翌朝9〜10時まで勤務し、翌日は休み」という形をお伝えしています。夜勤について詳しくはインフラエンジニアの夜勤をご覧ください。
キャリアカンパニーの現場から|監視ツールで最初に戸惑いやすい点
監視ツールはZabbixだけではありません。名前の例としては、Nagios、Prometheus、Datadog、Mackerelなどがあります。オープンソースのものもあれば、クラウドのサービスとして提供されるものもあります。
ツールが違っても、監視の対象を決める・値を集める・条件にあてはまれば知らせる・人が対応するという基本の考え方は共通しています。Zabbixで用語と流れを理解しておくと、ほかのツールを使う現場に入っても、考え方を応用しやすくなります。求人票に書かれているツール名が知らないものでも、「監視ツールを使ってアラートに対応する仕事」と読み替えて考えるとよいでしょう。

Zabbixは無料で使えるため、自分のパソコンで試しながら学べます。ただし、いきなりZabbixから始めると、Linuxやネットワークがわからずにつまずきやすくなります。次の順番で進めるのがおすすめです。
| ステップ | 学ぶこと | ポイント |
|---|---|---|
| 1. Linuxの基本 | ファイル操作、サービスの起動・停止、ログの見方 | Zabbix serverはLinux上で動かすことが多い |
| 2. ネットワークの基本 | IPアドレス、ポート、通信の流れ | 監視の通信の仕組みを理解する土台になる |
| 3. 仮想マシンを用意する | 自分のパソコンに仮想化ソフトを入れ、Linuxを動かす | 本番の環境を壊す心配がない |
| 4. Zabbixを入れて試す | 公式ドキュメントの手順に沿って入れ、ホストを1台登録する | 版(バージョン)と手順書の版をそろえる |
| 5. わざと異常を起こす | 自分の検証環境で負荷をかけ、障害が出る様子を見る | 検証環境以外では行わない |
仮想マシンの仕組みはサーバー仮想化とは、ネットワークの基礎はTCP/IPとはで解説しています。インフラの学習全体の進め方はインフラエンジニアの勉強法をご覧ください。
Zabbixの公式サイトでは、公式トレーニングと試験を通じて認定を受ける仕組みが案内されています。2026年11月4日に確認した時点で、公式トレーニングのページには次の認定の名前が載っていました。
| 認定の名前 | 公式トレーニングのページでの位置づけ |
|---|---|
| Zabbix Certified User | 1日のコース |
| Zabbix Certified Specialist | 3日または5日のコース |
| Zabbix Certified Professional | 3日のコース |
| Zabbix Certified Expert | 5日のコース |
受講の費用や日程、試験の受け方は変わることがあるため、公式サイトで最新の情報を確認してください。
未経験から運用・監視を目指す段階では、Zabbixの認定よりも先に、LinuxやネットワークのIT資格で基礎を固めるほうが、学んだことを幅広く伝えやすい場合があります。LinuxはLinuCとは、ネットワークはCCNAとはで解説しています。キャリアカンパニーでは、CCNA・LPICなどの無料学習カリキュラムを用意しています(無料学習カリキュラム)。
運用・監視の求人では、Zabbixなどの監視ツールの名前が「使用ツール」や「歓迎する経験」として書かれていることがあります。未経験の方は、触ったことがないことを心配しすぎる必要はありません。運用・監視の仕事は、入社後に手順書や研修で覚えていく部分も大きいからです。当社の面談でも、運用・監視の求人はプログラミングを書く仕事ではないとお伝えしています。
キャリアカンパニーの現場から|監視ツールの経験はどう評価されるか
実務でのZabbixの経験は、監視・運用の求人で評価されやすいです。自宅での学習もプラスの材料になりますが、実務の経験と同じには扱われません。
すでに監視の仕事をしている方は、ツールの名前だけでなく、何を・どこまで担当したかを具体的に書くと伝わりやすくなります。
一例として、「Zabbixで社内のサーバー群を監視。アラートの一次切り分けと上位の担当者へのエスカレーションを担当し、よく出るアラートの対応手順を手順書にまとめました」のように書きます。監視した台数などは、実際の数を入れるとより具体的になります。未経験の方が自分で検証環境を作った場合は、「仮想マシンにZabbixを入れ、ホストの登録とトリガーの動作を確かめた」と、学習した内容として書けます。書き方の全体はインフラエンジニアの職務経歴書をご覧ください。
キャリアカンパニーの現場から|職務経歴書での書き方
ツールの名前だけでなく、監視の対象、担当した業務、アラートへの対応、障害の切り分け、設定の変更などを具体的に書くよう助言しています。自宅での学習は「自己学習」と明記します。
参考として、dodaの平均年収ランキング(調査期間2024年9月〜2025年8月・経験者を含む平均)では、運用・監視・保守の平均年収は389万円、サーバーエンジニアは469万円、ネットワークエンジニアは455万円でした。監視から構築へと担当が広がるほど、平均年収は高くなる傾向が見られます。年収について詳しくはインフラエンジニアの年収で解説しています。
サーバーやネットワーク機器、アプリケーションなどの状態を集めて、異常があれば知らせてくれるオープンソースの監視ツールです。Zabbix SIAが開発・サポートしており、ソフトウェアは無料で使えます。
公式ドキュメントでは、Zabbixは無料で使えると説明されています。7.0以降の版はGNU AGPLv3というライセンスで公開されています。会社向けの有償のサポートやトレーニングも用意されています。
監視される側に入れたZabbix agentが値を調べ、中心のZabbix serverに送ります。拠点が多い場合はZabbix proxyが間に入ります。Zabbix serverは値をデータベースに保存し、条件にあてはまれば障害として表示・通知します。設定や状況はWebの画面で確認します。
未経験から始められる運用・監視の求人はあります。最初はZabbixが出したアラートを見て、手順書に沿って切り分けと連絡を行うところから始まるのが一般的です。LinuxやネットワークとZabbixの用語を少し学んでおくと、仕事を覚えやすくなります。
ソフトウェアは無料で使えるため、自分のパソコンに仮想マシンを用意して試せます。Linuxとネットワークの基本を学んでから、公式ドキュメントの手順に沿って入れ、ホストを1台登録してみるところから始めるとよいでしょう。
公式サイトでは、公式トレーニングと試験を通じた認定として、Certified User・Certified Specialist・Certified Professional・Certified Expertが案内されています。費用や日程は変わることがあるため、公式サイトで最新の情報を確認してください。
Nagios、Prometheus、Datadog、Mackerelなどがあります。ツールが違っても、値を集めて条件にあてはまれば知らせるという考え方は共通しているため、Zabbixで学んだことは応用できます。
Zabbixの概要・仕組み・用語・ライセンス・サポート期間・認定の名前は、上記の公式ページで2026年11月4日に確認した内容をもとにしています。版やサポートの予定、トレーニングの内容は変わることがあります。現場での仕事の流れや学び方は一般的な説明で、会社やシステムによって異なります。ほかの監視ツールの名前は例として挙げたもので、特定の製品をすすめるものではありません。例文は一例です。
株式会社エンデバース 代表取締役
キャリアカンパニー責任者
百瀬 将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。