
公務員・教員を辞めたい人の転職先|IT・インフラエンジニアという選択肢と進め方
公務員や教員を辞めたいと感じるのは、決して珍しいことではありません。住民や子どもたちのために働く仕事は、やりがいが大きい一方で、責任も重く、気持ちが追いつかなくなることがあります。
この記事では、公務員・教員を辞めたいときの判断軸、転職先の選択肢、IT・インフラエンジニアに進む場合の進め方を順番に解説します。
公務員と教員は、どちらも社会を支える大切な仕事です。だからこそ「辞めたい」と思う自分を責めてしまう方もいます。まずは、よく聞かれる理由を整理してみましょう。
| よくある理由 | 中身の例 | まず考えたいこと |
|---|---|---|
| 業務量が多い | 書類作成、会議、行事の準備などが重なる | 部署や学校が変われば軽くなるものか |
| 人間関係がつらい | 上司・同僚・保護者・住民との関係 | 相手が変われば続けられそうか |
| 成長を感じにくい | 異動が多く、専門性が身につきにくいと感じる | 身につけたい専門性は何か |
| 評価や給与の仕組み | 年功で決まる部分が大きいと感じる | 何を基準に評価されたいか |
| 心と体の疲れ | 眠れない、休日も仕事が頭から離れない | まず休むことが必要ではないか |
表の最後の行に当てはまる方は、転職を考える前に、まず休むことや、医療機関・所属先の相談窓口に相談することを考えてください。疲れ切った状態では、転職先を冷静に選ぶのが難しくなります。
公務員の仕事では、法令や前例に沿って正確に進めることが求められます。その丁寧さが仕組みとして大切な一方で、「もっと早く進めたい」「自分の工夫を活かしたい」と感じる方もいます。また、数年ごとの異動で仕事内容が大きく変わり、専門性を積み上げている実感を持ちにくいという声もあります。
教員の仕事は、授業だけではありません。生徒指導、部活動、保護者対応、校務分掌など、仕事の幅がとても広いのが特徴です。子どもたちの成長に関われる喜びがある一方で、時間に追われ続けることに限界を感じる方もいます。
「辞めたい」と思ったときに、すぐに退職届を出す必要はありません。次の判断軸で、今の気持ちを整理してみましょう。
| 判断軸 | 自分への問い |
|---|---|
| 理由の種類 | 仕事そのものがつらいのか、今の環境がつらいのか |
| 続けた場合 | 異動や転勤、配置換えで解決しそうか |
| 辞めた場合 | 次にやりたいこと、身につけたい力は何か |
| 生活 | 収入が一時的に変わっても生活できるか |
| 時期 | 今の仕事に区切りをつけやすい時期はいつか |
辞めたい理由が特定の上司や学校、部署にある場合は、異動や配置換えで状況が変わることもあります。仕事の内容そのものは好きなのであれば、辞めずに環境を変える道も考えてみてください。
一方で、「仕事の内容そのものを変えたい」「専門性を身につけて働きたい」という気持ちが強いなら、転職を前向きに考えてもよいでしょう。大切なのは、「何から離れたいか」だけでなく、「次に何をしたいか」まで言葉にできるかです。この答えは、そのまま転職の面接で話す内容にもなります。
公務員・教員の退職では、退職手当や共済組合、年金、退職の申し出の時期など、民間企業とは違う制度や手続きがあります。条件は所属先によって違うため、くわしい内容は所属先の人事担当や公的機関の窓口で確認してください。この記事では、具体的な条件や金額には触れません。
公務員・教員からの転職先には、いくつかの方向があります。それぞれの特徴を整理しました。
| 転職先の方向 | 経験の活かし方 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 教育関連の企業(塾、教材、研修など) | 教える力、教材づくりの経験 | 勤務時間帯や雇用形態 |
| 行政との関わりが深い企業 | 制度や手続きへの理解 | 仕事内容が前職と近すぎないか |
| 別の公務員・団体職員 | 公共の仕事の経験 | 試験や採用の時期 |
| 事務・人事・総務など | 書類作成、調整、正確な事務処理 | 専門性が身につくか |
| IT・インフラエンジニア | 手順を守る力、説明する力、調整力 | 夜勤・シフト、学習を続けられるか |
どれが正解ということはありません。たとえば、教えることそのものが好きなら教育関連の企業、手続きの知識を活かしたいなら行政と関わる企業が候補になります。一方で、「手に職をつけたい」「経験を積むほど専門性が上がる仕事がしたい」という方には、IT・インフラエンジニアも選択肢の一つになります。
インフラエンジニアは、サーバーやネットワークなど、システムを動かす土台を支える仕事です。最初は運用・監視(システムが正常に動いているかを見守り、異常があれば手順に沿って対応する仕事)から始めることが多く、経験を積むと構築・設計へと担当を広げていきます。運用・監視の求人は、プログラミングを書く仕事ではありません。仕事の中身は監視業務とはでくわしく紹介しています。
インフラの分野では、未経験から採用する求人があります。当社の紹介実績でも、インフラ職に入社した178名のうち140名は、前職がIT以外の方でした。前職ごとの人数は集計していませんが、さまざまな仕事からインフラ職へ移っています。当社の公開インタビューでは、塾講師から事務を経てインフラ職へ転職した方の事例も紹介しています(文系・異業種からインフラエンジニアへの事例の表に掲載)。
公務員や教員の仕事で身につけた力は、インフラの仕事でも活かせる部分があります。
| 公務員・教員での経験 | インフラの仕事での活かし方 |
|---|---|
| 法令・規則・手順に沿った事務処理 | 手順書どおりに作業し、違いがあればすぐ報告する |
| 正確な書類作成・記録 | 作業記録や障害報告を、誰が読んでもわかるように書く |
| 住民・保護者への説明 | 専門的な内容を、相手に合わせてかみくだいて伝える |
| 授業の準備・教えること | 手順書づくりや、後輩への引き継ぎ |
| 関係者との調整 | 障害時に、関係部署や取引先と連絡を取り合う |
特に「手順を守ること」と「正確に記録すること」は、運用・監視の仕事の基本です。公務員・教員として当たり前にしてきたことが、そのまま強みになる場合があります。
当社の面談・選考の支援で、公務員・教員出身の方について評価につながりやすいと感じているのは、次の点です。
どれも、手順書に沿った作業、障害時の報告、関係部署との連絡といった、インフラの仕事の基本につながる力です。
ITに転職すれば悩みがすべて解決する、というわけではありません。合う・合わないを事前に考えておきましょう。
「ITは合わないかもしれない」と相談を受けたとき、当社では、ITへの興味、学習への抵抗感、希望する働き方の3点を確認しています。そのうえで、IT以外にも事務、教育関連、人事、営業などの仕事と比べ、ご本人の適性と希望に合う道を一緒に考えます。ITを選ばないことも、立派な判断です。
合いにくい項目に当てはまっても、すぐにあきらめる必要はありません。日勤中心の求人や、学習の進め方を工夫することで、続けられる場合もあります。向き・不向きはインフラエンジニアに向いている人でもくわしく解説しています。
転職サービスのdodaが公開している「平均年収ランキング2025」で、インフラに関わる職種の平均年収は次のとおりです。
| 職種(doda) | 平均年収 |
|---|---|
| 運用/監視/保守 | 389万円 |
| ネットワークエンジニア | 455万円 |
| サーバーエンジニア | 469万円 |
| (参考)全職種 | 429万円 |
これは経験者も含めた平均です。未経験で入社した直後の年収とは違うので注意してください。
当社の紹介実績では、前職がIT以外でインフラ職に入社した未経験者140名の、入社時の想定年収の中央値は320万円でした(前職の中央値は300万円)。
公務員・教員の方は、今の給与と比べて、入社時の年収が下がる場合もあります。今の給与と比べる前に、「数年後にどんな仕事ができるようになりたいか」まで含めて考えることが大切です。入社1年目の年収は未経験インフラエンジニアの初年度年収でくわしく解説しています。
公務員と教員では、転職活動で気をつけたい点が少し違うと一般的に言われます。ただし、状況は所属先や個人によって違うので、あくまで目安として読んでください。
| 項目 | 公務員の場合 | 教員の場合 |
|---|---|---|
| 退職の時期 | 部署の繁忙期を避けたいと考える方が多いと言われる | 担任や授業があるため、年度の途中は辞めにくいと言われる |
| 民間の選考 | 民間の面接や書類の形に慣れていない方が多いと言われる | 同じく、職務経歴書の書き方に迷いやすいと言われる |
| 時間の確保 | 部署によって残業の多さが大きく違う | 平日の日中に面接の時間をとりにくいと言われる |
教員の方は、担任や授業を受け持っているため、年度の途中で辞めることに強い抵抗を感じる方が多いと言われます。退職の時期をどうするかは、所属先の規則や、管理職との相談で決まります。そのうえで、区切りの時期から逆算して、学習や応募の準備を始めると進めやすくなります。
公務員の採用試験と、民間企業の選考は、進め方が違います。民間では、職務経歴書や面接で「これまで何をしてきたか」「入社後に何ができるか」を具体的に伝えることが求められます。早めに準備を始めておくと安心です。
公務員・教員からIT・インフラエンジニアを目指すときの進め方を、4つのステップで紹介します。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 理由と目標を整理する | 辞めたい理由と、ITで何をしたいかを言葉にする |
| 2. 学習を始める | ITパスポート・CCNA・LinuCなどの勉強を始める |
| 3. 書類を整える | 公務員・教員の経験を、民間に伝わる言葉に置き換える |
| 4. 応募・面接 | 在職中に応募し、退職の時期と入社日を調整する |
まずは、この記事の「判断軸」の表を使って、辞めたい理由と、次にやりたいことを書き出してみましょう。面接では「なぜ公務員(教員)を辞めて、ITなのか」を聞かれることが多いため、ここが話の土台になります。
未経験からの転職では、ITの学習を始めた事実が、意欲を伝える材料になります。ITの全体像をつかみたい方はITパスポート、ネットワークを学びたい方はCCNA、サーバーを学びたい方はLinuCなどが候補です。資格は、合格していなくても「勉強中です」と伝えられます。キャリアカンパニーでは、CCNA・LPICなどの無料学習カリキュラムも用意しています。
職務経歴書では、「窓口業務を担当」「学級担任」と書くだけでは、IT企業に仕事の中身が伝わりにくいことがあります。次の章の例を参考に、民間に伝わる言葉に置き換えてみましょう。インフラ職向けの書き方はインフラエンジニアの職務経歴書でくわしく解説しています。
公務員・教員の方は、在職中に転職活動を進めることを考えてみてください。収入が途切れないので、焦って応募先を決めずにすみます。在職中と退職後の進め方の違いは、在職中と退職後、どちらで転職活動するかで解説しています。
当社の紹介実績では、面談から内定までの中央値は40日でした。ただし、これは当社の紹介実績で、人によって変わります。退職の時期が決まっている方は、余裕をもって準備を始めましょう。
CAの現場から:当社では、在職中にITの学習と転職活動を始め、内定が出てから退職することを基本としておすすめしています。あわせて、退職の申し出に必要な期間と引き継ぎの内容を所属先で確認し、入社できる日を企業に正確に伝えるようお伝えしています。
公務員・教員からの転職を相談したい方へ
辞めるか続けるかの整理から、IT・インフラの仕事が合うかどうか、在職中の進め方まで、キャリアアドバイザーと一緒に整理できます(オンライン・60分)。
日程を選んで無料相談を予約する| よくある書き方 | IT企業に伝わる書き方(一例) |
|---|---|
| 窓口で住民対応をしていました | 制度や手続きを、相手に合わせてわかりやすく説明していました |
| 学級担任をしていました | 保護者や同僚と連絡を取り合い、課題を早めに共有していました |
| 書類の審査をしていました | 規則に沿って書類を確認し、不備を見つけて差し戻していました |
面接では、今の職場への不満だけを話すのは避けましょう。不満があること自体は自然なことです。大切なのは、「その経験から、次に何をしたいと考えたか」まで話すことです。退職理由の伝え方はIT転職での退職理由の伝え方でくわしく紹介しています。
志望動機の例文(一例)
「教員として授業や校務を担当する中で、校内のパソコンやネットワークのトラブルに対応する機会があり、仕組みを理解して支える仕事に関心を持ちました。現在はCCNAの勉強を進めています。貴社の運用・監視の仕事では、手順を守って正確に作業する力と、状況をわかりやすく伝える力を活かしたいと考えています。将来は、ネットワークの構築にも携われるエンジニアを目指しています。」
例文はそのまま使わず、ご自身の経験に合わせて書き直してください。志望動機の作り方はインフラエンジニアの志望動機でも紹介しています。
CAの現場から|面接での話し方:評価されやすいのは、前の仕事で身につけた強みと、ITを志望する理由を、具体的な場面とあわせて説明できる方です。反対に、前の職場への不満だけを退職理由として話すのは避けましょう。不満の話は短くし、これから実現したいことを中心に伝えるようお伝えしています。
当社の面談でもお伝えしている注意点をまとめました。
20代は、未経験からの転職で選べる求人が比較的多い時期です。新卒で公務員や教員になり、数年で「合わない」と感じることも珍しくありません。厚生労働省の公表では、令和5年3月に大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に離職した人は31.2%でした。早く辞めること自体を、必要以上に責めなくてよいのです。20代の進め方は20代未経験からインフラエンジニアへで解説しています。
30代は、これまでの経験をどう活かすかが、より問われやすくなります。調整力や説明する力、後輩を指導した経験など、公務員・教員として積んできたことを具体的に伝えましょう。30代の進め方は30代未経験からインフラエンジニアへでまとめています。
甘えではありません。責任の重い仕事だからこそ、疲れたり迷ったりするのは自然なことです。まずは辞めたい理由を「仕事そのもの」と「今の環境」に分けて整理し、心身の疲れが大きい場合は、休むことや相談窓口の利用を先に考えてください。
転職できる可能性はあります。インフラの分野には、未経験から採用する求人があります。当社の紹介実績では、インフラ職に入社した178名のうち140名が前職IT以外の方でした。手順を守る力や、正確に記録する力は、運用・監視の仕事でも活かせます。
退職の時期は、所属先の規則や管理職との相談で決まります。担任や授業があるため、年度の途中は辞めにくいと一般的に言われます。くわしい手続きは所属先の窓口で確認し、区切りの時期から逆算して転職の準備を進めると進めやすくなります。
今の給与や応募先によって変わります。当社の紹介実績では、前職がIT以外の未経験者140名の入社時の想定年収の中央値は320万円で、前職の中央値は300万円でした。入社時の年収だけでなく、経験を積んだ後の道筋も含めて考えましょう。
文系の方も目指せます。運用・監視の求人は、プログラミングを書く仕事ではありません。学習を続ける姿勢や、手順を守って正確に作業する力が大切です。
収入が途切れず、焦らずに応募先を選べるため、在職中に進めることを考えてみてください。ただし、心身の疲れが大きい場合は、休むことを優先する選択もあります。自分の状況に合わせて決めましょう。
評価される部分はあります。規則や手順に沿った事務処理、正確な書類作成、相手に合わせた説明、関係者との調整などは、インフラの仕事でも使う力です。経験を民間に伝わる言葉に置き換えて伝えることが大切です。
同じ公務員でも、自衛官の方は自衛隊からIT業界へ転職で、退職の時期と活かせる経験をまとめています。
公務員・教員の違いは一般的に言われている点をまとめたもので、所属先や個人によって状況は違います。退職の手続きや制度は、所属先・公的機関の窓口で確認してください。働き方の注意点は、キャリアカンパニーの面談でお伝えしている内容で、集計した数字ではありません。自社集計の数字は当社の紹介実績であり、業界全体の数字ではありません。例文は一例です。
株式会社エンデバース 代表取締役
キャリアカンパニー責任者
百瀬 将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。