
転職エージェントのデメリットは、「担当者による質のばらつき」「紹介される求人が、そのエージェントの取り扱いに限られる」「早く決めるよう促されることがある」の3つです。どれも、仕組みを知り、使い方を工夫すれば避けられます。この記事では、エージェントの仕組み、デメリット7つと対策、メリット、向き不向き、要注意なエージェントの見分け方、面談で確認する質問、担当者が合わないときの対処までまとめました。
この記事のポイント
デメリットを正しく理解するには、まず、エージェントがどうやって収益を得ているかを知ることが大切です。
求職者
無料で利用
面談、求人紹介、書類・面接のサポートを、費用なしで受けられる
エージェント
橋渡しをする
求職者と企業の間に立ち、紹介・日程調整・条件確認を行う
企業
成功報酬を支払う
採用が決まったときに、エージェントへ報酬を支払う
厚生労働省の案内では、有料職業紹介事業者は、求職者から手数料を取ることはできません。もし費用を求められたら、利用をやめて、許可の有無を確認してください。許可を受けた事業者かどうかは、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で確認できます。また、令和7年4月からは、職業紹介事業者に対して、紹介手数料の実績の公開や、違約金の規約を明示することが求められるようになっています。
この仕組みは、求職者には費用がかからない大きなメリットがある一方で、エージェントが「企業が求める条件に合う人」を紹介する立場にあるという前提も生みます。これが、後で説明するデメリットの背景です。
| デメリット | なぜ起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| ① 担当者の質・相性にばらつきがある | 担当者の経験・知識・業界理解は人によって異なる | 最初の面談で、IT業界の理解や提案の質を見極める。合わなければ担当変更を依頼する |
| ② 紹介される求人が、取り扱い求人に限られる | エージェントごとに、取引のある企業が異なる | 複数のエージェントを併用し、求人の母数を増やす |
| ③ 早く決めるよう促されることがある | 成功報酬の仕組み上、採用が決まるほど収益になる | 「いつまでに決める」という自分の基準を持ち、迷う理由は正直に伝える |
| ④ 希望と違う求人を紹介される | 希望条件が曖昧で、エージェント側が推測で提案する | 譲れない条件と、柔軟にできる条件を、最初に明確に伝える |
| ⑤ 連絡が多い・遅い | 担当者が多数の求職者を抱えている場合がある | 連絡手段・頻度を、最初に相談して決める |
| ⑥ 内定後、辞退や条件交渉がしづらい | 担当者との関係から、断りにくいと感じることがある | 辞退は、早めに、理由を添えて伝える。例文は後述 |
| ⑦ 個人情報の扱いに不安がある | 履歴書や面談内容が、複数の企業に共有される | プライバシーポリシーと、情報を企業に出す前の確認ルールを、確認する |
それぞれを、もう少し詳しく見ていきます。
同じエージェントでも、担当者によって、サポートの質は大きく変わります。特にIT業界は、職種や雇用形態(SES・SIer・自社開発など)の構造が複雑なため、IT業界の理解が浅い担当者だと、希望と合わない求人を提案されやすくなります。最初の面談で、「IT業界の職種の違いを、説明してもらえるか」を確認しましょう。
エージェントが紹介できるのは、取引のある企業の求人です。1社だけでは、選択肢が限られることがあります。そのため、目的の違う2〜3社を併用するのが一般的です。たとえば、「IT特化型」と「総合型」の組み合わせなどです。
エージェントは、採用が決まって初めて報酬が発生します。そのため、「内定承諾の返事を急がれる」と感じることがあります。ただし、内定承諾の期限が3〜5日と短い企業は多く、企業側の事情も背景にあります。迷っているときは、迷っている理由を正直に伝え、期限の延長が可能か相談しましょう。誠実なエージェントは、あなたの軸に立ち返って選ぶサポートをしてくれます。
転職サイトに登録すると、複数のエージェントから連絡が来て、何社目か、分からなくなる方も、少なくありません。当社の面談では、次のようにお伝えしています。
当社の「定着率98%」は、入社後1年以内の定着の数字です(自社集計)。当社では、入社後の定着まで見据えて、志望度が高く、入社後のキャリアが描ける会社を、一緒に選びます。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 非公開求人に出会える | 一般には公開されない求人や、求人票に載らない情報を知れる |
| 書類・面接の対策を受けられる | 職務経歴書の添削や、企業ごとの面接対策、模擬面接を受けられる |
| 日程調整・条件確認を任せられる | 在職中でも、企業とのやり取りを代行してもらえる |
| 市場の状況を教えてもらえる | 求人の動向、職種ごとの特徴、今の自分の市場価値の目安が分かる |
| 費用がかからない | 求職者は無料で利用できる(有料職業紹介で、求職者から手数料は取れない) |
向いている人
合わない可能性のある人
エージェントが紹介する求人でも、最終的に判断するのは自分です。特に未経験からのIT転職では、求人票の見方を知っておくと、ミスマッチを減らせます。
| 確認する項目 | 見るポイント | 気になるときの質問 |
|---|---|---|
| 雇用形態・企業の種類 | 正社員か。SES・SIer・自社開発など、事業の形態はどうか | 「この会社の事業形態と、主な取引先を教えてください」 |
| 仕事内容 | 「運用・監視」「構築」など、具体的な業務が書かれているか | 「入社後、最初の半年に担当する業務は何ですか」 |
| 研修・教育 | 研修の期間・内容・資格取得支援は、具体的か | 「研修の内容と、期間を教えてください」 |
| 配属・案件 | 配属先や、案件の選び方に、本人の希望は反映されるか | 「配属の希望は、どう聞いてもらえますか」 |
| 勤務時間・夜勤 | 夜勤・シフトの有無、残業時間の実績 | 「実際の残業時間と、夜勤の頻度を教えてください」 |
| 給与・評価 | 想定年収の内訳(固定残業代の有無)、評価・昇給の仕組み | 「固定残業代は含まれていますか。評価の基準は何ですか」 |
| キャリアパス | 運用から構築・設計へ進んだ実績があるか | 「過去に、運用から構築へ進んだ方はいますか」 |
質問に対して、具体的に答えてくれるかどうかが、エージェントの誠実さを見る材料にもなります。曖昧な返事が続く場合や、「大丈夫です」としか言われない場合は、他のエージェントにも同じ求人について聞いてみるのも一つの方法です。
✔ ポイント
エージェントは「あなたの代わりに転職してくれる人」ではなく、「一緒に進めるパートナー」です。主導権は自分が持ち、情報を共有しながら進めると、満足度の高い転職につながりやすくなります。
併用は一般的で、基本的に問題ありません。ただし、同じ企業に、複数のエージェントから二重で応募してしまうと混乱します。応募状況の表を作り、「他にも利用している」ことを隠さず伝えると、スムーズです。
登録しても、応募を強制されることはありません。迷っている段階でも、情報収集として面談を受けられます。ただし、面談後の連絡が負担になる場合は、連絡の頻度を相談しましょう。
エージェントを使うこと自体が、年収を上げるわけではありません。年収は、経験・スキル・企業の求人条件で決まります。未経験からの転職では、年収が前職と近い、または少し下がるケースもあるため、年収交渉の進め方もあわせて確認してください。
ほとんどのエージェントは誠実に運営されていますが、次のようなサインがある場合は、注意が必要です。
✅ 要注意なエージェントのサイン
⚠ 注意
1つでも強く当てはまる場合は、登録・面談を進める前に、一度立ち止まることをおすすめします。特に、費用の請求がある場合は、厚生労働省の案内で、有料職業紹介事業者が求職者から手数料を取ることはできないとされています。
| 質問 | 何を見るか |
|---|---|
| IT業界の職種(インフラ・開発・ヘルプデスクなど)の違いを、説明してもらえますか? | IT業界への理解の深さ。説明が具体的で、分かりやすいか |
| 私の経歴で、紹介できる求人の傾向を教えてください | 現実的な見通しを示してくれるか。過度に良いことだけを言わないか |
| 紹介の理由を、1件ずつ説明してもらえますか? | 「なぜその企業か」を、自分の希望から説明できるか |
| 面接対策は、企業ごとに個別にしてもらえますか? | 対策の手厚さ。模擬面接の回数の制限はないか |
| 担当者は、IT企業の採用に関わった経験がありますか? | 採用側の視点を持っているか |
| 連絡手段・頻度は、どうなりますか? | 自分に合う連絡スタイルか |
| 内定後の条件交渉は、サポートしてもらえますか? | 内定後のフォローの範囲 |
| 入社後の相談や、フォローはありますか? | 入社後の定着へのサポートの有無 |
| 個人情報は、企業に出す前に確認してもらえますか? | 個人情報の取り扱いの姿勢 |
| 合わなかった場合、担当変更はできますか? | 相性が合わないときの対応のしやすさ |
「合わない」と感じたら、我慢せず、早めに動くのがおすすめです。次の順番で対処しましょう。
辞退は、決めたら、できるだけ早く伝えるのがマナーです。理由は、簡潔に、「他社への入社を決めた」「条件が合わなかった」などで十分です。
複数のエージェントを併用するときは、同じ求人に二重応募しないよう、応募状況を表で管理します。
| 企業名 | 経由したエージェント | 応募日 | 選考状況 | 次のアクション | 承諾期限 |
|---|---|---|---|---|---|
| (例)A社 | エージェントX | 10/1 | 一次面接 通過 | 二次面接の日程調整 | — |
| (例)B社 | エージェントY | 10/3 | 書類選考中 | 結果待ち | — |
| (例)C社 | エージェントX | 9/20 | 内定 | 条件確認、返事 | 10/12 |
この表を、エージェントの担当者と共有すると、スケジュール調整が楽になります。併用の考え方は、転職エージェントに断られた・紹介されないときの原因と対処にも書いています。
履歴書や職務経歴書には、氏名・住所・連絡先・職歴など、重要な個人情報が含まれます。エージェントを選ぶときは、次の点を確認しましょう。
特に、応募する企業に書類を出す前に、必ず自分に確認が来るかは重要です。勝手に応募されたり、書類が複数の企業に共有されたりしないよう、面談の段階で確認しておきましょう。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| エージェント経由 | 書類・面接の対策、日程調整、非公開求人 | 担当者の質に左右される。紹介が限定される |
| 求人サイトで直接応募 | 自分のペースで、自由に応募できる | 対策・条件交渉をすべて自分で行う |
| スカウト(企業から連絡) | 経験・スキルが評価されると、声がかかる | 未経験者には、スカウトが届きにくい |
| 知人の紹介 | 社風が事前に分かりやすい | 断りにくく、条件の交渉もしづらい |
どれが正解というわけではなく、目的に合わせて、組み合わせるのが現実的です。たとえば、書類・面接の準備はエージェントで進め、気になる企業には直接応募する、といった使い方です。
キャリアカンパニーは、求職者・企業の両方を担当する「両面型」のエージェントです。担当者が両方を見ているため、求人票に載らない情報(配属予定のチーム、実際の残業の状況など)を踏まえた紹介ができます。また、求人票をそのまま渡すのではなく、「なぜその企業なのか」を、求職者の5年後・10年後のキャリアから逆算して説明しています。
エージェントの選び方全体は未経験からのIT転職エージェントおすすめで、IT業界向けの比較はインフラエンジニア向け転職エージェントの選び方で解説しています。合わないと感じたときの見直し方は、IT転職エージェントが合わないと感じたら見直したいことも参考にしてください。
✅ エージェントを使う前のチェックリスト
30代が転職エージェントを選ぶときの注意点は、こちらでも解説しています。
▶ 30代未経験からIT転職は可能?年収・職種・企業選びと成功のコツ
エージェントを使って、企業の実態を確認する方法は、こちらでも解説しています。
▶ ブラックなIT企業の見分け方|求人票・面接・口コミで確認するポイントと質問例
次にやること
あわせて読みたい:転職エージェントに断られた・求人を紹介されないときの原因と対処【IT転職】
前職がIT以外の方が多く、書類や面接の準備でエージェントを活用される方もいます。キャリアカンパニーで2025年8月〜2026年7月に入社が決まった201名の集計です。
出典:キャリアカンパニー自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった201名。定着率は、入社後1年以内に退職しなかった方の割合(201名が対象))
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 前職がIT以外だった方の割合(全体201名) | 90% |
| 面談から内定までの期間(中央値) | 40日 |
| 内定までに応募した会社数/内定をいただいた会社数(1人あたり平均) | 5社/4社 |
| 入社後1年以内の定着率(201名が対象) | 98% |
※自社集計(2025年8月〜2026年7月に入社が決まった方。定着率は、入社後1年以内に退職しなかった方の割合(201名が対象))。年収は中央値で、個人が特定されない形で集計しています。
求職者が手数料を支払う必要はないとされています(有料職業紹介事業者は、求職者から手数料を取ってはならないとされています)。登録前に、条件の説明を確認しましょう。
連絡してほしい方法・時間帯・頻度を、エージェントに伝えましょう。それでも改善しない場合は、担当者の変更や、利用の見直しを検討できます。
問題ありません。理由を添えて伝えると、次の紹介の精度が上がります。
複数のエージェントを使うことは一般的です。同じ企業に重複して応募しないよう、応募状況は自分で管理しましょう。
やめて問題ありません。担当者の変更や、別のエージェントへの切り替えを検討しましょう。見直しのポイントはIT転職エージェントが合わないと感じたら見直したい5つのポイントで整理しています。
この記事の内容をふまえて、自分の場合はどうなのかを知りたい方は、キャリアカンパニーの無料相談をご利用ください。経験や希望に合わせて、キャリアアドバイザーがご相談に対応します。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。