
システム監査技術者試験とは?難易度・合格率・試験方式と、どんな人に向いている資格か
システム監査技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。情報システムを、つくる側・使う側から離れた立場で点検し、評価する人のための試験です。
この記事では、IPAの公式情報をもとに、システム監査技術者試験の内容と難易度、他の資格との違い、向いている人を整理します。IPAの試験全体の位置づけを先に知りたい方は、応用情報技術者試験とはもあわせてご覧ください。
IPAは、この試験の対象者を次のように示しています(要旨)。
ポイントは「独立した立場」です。システムをつくる人や運用する人とは別の立場から、「このシステムは、きちんと管理されているか」「リスクへの備えは十分か」を確かめます。
IPAが挙げている「期待する技術水準」を、やさしく言い換えると次のようになります。
| 求められる力 | わかりやすく言うと |
|---|---|
| システムと、その企画・開発・運用・保守・廃棄までの幅広く深い知識 | システムが生まれてから使い終わるまでを、一通りわかっている |
| 業務や経営上のリスクを評価し、判断の基準を自分でつくる力 | 「何が問題か」を自分で見極められる |
| 法令やガイドライン、社内規程に沿った監査計画を立てる力 | どこを、どの順番で調べるかを決められる |
| 監査の要点を決め、適切な方法で調べる力 | 確認すべき点を絞り、証拠を集められる |
| 証拠にもとづいて報告書をまとめ、改善を提案する力 | 調べた結果を、相手が納得できる形で伝えられる |
技術の知識だけでなく、リスクを考える力と、文章で伝える力が求められる試験だとわかります。
ここからは、システム監査の仕事を一般的な形で紹介します。会社によって呼び方や役割の分け方は違うため、求人を見るときは仕事内容の説明をよく読むことが大切です。
IT統制とは、システムが正しく動き、データが正しく扱われるようにするための社内の決まりと仕組みのことです。たとえば、次のようなものがあります。
システム監査では、こうした仕組みが「決められているか」だけでなく、「実際に守られているか」を、記録や証拠をもとに確かめます。
アクセス権、変更作業の手順、バックアップ、障害対応の記録。これらは、インフラの運用・保守の現場で毎日のように扱うものです。運用の現場を知っている人は、「この手順は現場で本当に守れるか」「記録はどこに残るか」を具体的に考えられます。
運用・監視の仕事内容は、監視業務とはで詳しく紹介しています。また、運用の決まりごとを体系的に学ぶなら、ITILとはも参考になります。
キャリアカンパニーの現場から|インフラ運用の経験が活きる場面
アクセス権限の管理、ログの管理、変更管理、バックアップ、障害対応などの運用経験は、IT統制の評価や監査の場面で役立ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施する機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
| 試験のレベル | 高度試験(IPAの試験の中で最も高いレベル) |
| 試験方式 | CBT方式(試験会場のパソコンで解答) |
| 実施時期 | 後期(2027年2月〜3月) |
| 受験手数料 | 7,500円(税込) |
| 合格発表 | 後期試験は2027年6月頃の予定 |
IPAによると、2026年度から応用情報技術者試験と高度試験は、紙の試験(ペーパー方式)からCBT方式に変わりました。これまでの「春期・秋期」ではなく、「前期・後期」の期間内に、空席のある会場と日時を選んで受験します。システム監査技術者試験は、令和7年度までは秋期に行われていましたが、2026年度は後期に実施されます。
あわせて、科目の呼び方も変わりました。「午前Ⅰ」は「科目A-1」、「午前Ⅱ」は「科目A-2」、「午後Ⅰ」は「科目B-1」、「午後Ⅱ」は「科目B-2」です。過去問題や参考書を使うときは、名前の違いに気をつけてください。
| 科目 | 試験時間 | 出題形式と問題数 |
|---|---|---|
| 科目A-1 | 50分 | 多肢選択式(四肢択一):30問出題・30問解答 |
| 科目A-2 | 40分 | 多肢選択式(四肢択一):25問出題・25問解答 |
| 科目B-1 | 90分 | 記述式:3問出題・2問解答 |
| 科目B-2 | 120分 | 論述式:2問出題・1問解答 |
科目A群(A-1・A-2)と科目B群(B-1・B-2)は、別の日に行われます。IPAの試験要綱では、A-1とA-2の間、B-1とB-2の間に、それぞれ最長10分の休憩を取れるとされています。
| 項目 | 期間 |
|---|---|
| 申込受付期間 | 2027年1月27日(水)〜2027年2月27日(土) |
| 科目A群の実施期間 | 2027年2月20日(土)〜2027年3月2日(火) |
| 科目B群の実施期間 | 2027年3月16日(火)〜2027年3月28日(日) |
| 合格発表 | 2027年6月頃(予定) |
申込みのときに、科目A群と科目B群の受験日を同時に予約します。会場ごとに予約枠があるため、希望の日時が埋まる前に早めに申し込むと安心です。日程は変わる場合もあるので、申込み前にIPAの公式ページで最新の情報を確認してください。
IPAの試験要綱では、次のいずれかにあてはまると、その後2年間、高度試験の科目A-1が免除されます。
2026年度の免除の対象者については、IPAの日程のページに案内があります。対象になるかどうかは、申込み前に公式ページで確認しましょう。
IPAは、現在の試験制度を2026年度の試験で終え、2027年度から新しい試験制度に移る予定だと公表しています。2026年3月31日に公表された検討状況(案)では、応用情報技術者試験と高度試験をまとめて組み直し、「プロフェッショナルデジタルスキル試験」(仮称)として「マネジメント領域」「データ・AI領域」「システム領域」の三つの区分を設ける案が示されています。
この案は、今後変わる場合があるとされています。「システム監査技術者試験」という名前で受けられるのは、現在の制度では2026年度(後期)が最後になる予定です。受験を考えている方は、IPAの「試験制度の見直し」のページで最新の情報を確認してください。
IPAが公表している統計では、システム監査技術者試験の合格率は次のとおりです。
| 年度 | 応募者数 → 受験者数 → 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|
| 令和5年度秋期 | 2,851人 → 2,039人 → 335人 | 16.4% |
| 令和6年度秋期 | 3,118人 → 2,278人 → 381人 | 16.7% |
| 令和7年度秋期 | 3,183人 → 2,245人 → 362人 | 16.1% |
合格率は、ここ3年はおおむね16%台です。受験した人のおよそ6人に1人が合格している計算になります。また、応募した人のうち、実際に受験したのは約7割でした(令和7年度秋期の受験率70.5%)。
同じ令和7年度の、ほかの高度試験の合格率も見てみましょう。
| 試験 | 実施時期 | 合格率 |
|---|---|---|
| システム監査技術者 | 令和7年度秋期 | 16.1% |
| プロジェクトマネージャ | 令和7年度秋期 | 14.3% |
| データベーススペシャリスト | 令和7年度秋期 | 18.4% |
| 情報処理安全確保支援士 | 令和7年度秋期 | 22.3% |
| システムアーキテクト | 令和7年度春期 | 15.5% |
| ネットワークスペシャリスト | 令和7年度春期 | 17.8% |
高度試験の合格率は、どれも10%台から20%台前半です。システム監査技術者試験だけが特別に低いわけではなく、高度試験の中では標準的な水準だといえます。ただし、高度試験を受ける人の多くは、すでに応用情報技術者試験などに合格しているか、実務経験がある人です。そのうえでの合格率である点に注意が必要です。
IPAの試験要綱に示されている合格基準は、次のとおりです。
4つの科目すべてが基準を満たすと合格です。科目B-2の論述式は点数ではなく、A〜Dの4段階のランクで評価され、Aだけが合格です。IPAは評価の視点として、設問に答えているか、具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、表現力などを挙げています。
なお、IPAは標準的な勉強時間を公表していません。必要な勉強時間は、これまでの経験や持っている資格によって大きく変わります。
高度試験は、それぞれ「どの立場で仕事をする人か」が違います。
技術の専門家を目指すならネットワークスペシャリスト試験やデータベーススペシャリスト試験、マネジメントを目指すならプロジェクトマネージャ試験、セキュリティなら情報処理安全確保支援士試験が近い試験です。どの試験を選ぶかは、「将来どの立場で仕事をしたいか」で考えると整理しやすくなります。
システム監査の資格としては、国際的な団体ISACAが認定するCISA(Certified Information Systems Auditor:公認情報システム監査人)もよく知られています。ISACAの公式サイトでは、CISAの試験分野として次の5つが挙げられています。
また、認定を受けるには、実務経験の要件を満たしていることを示す申請が必要とされています。
| 項目 | システム監査技術者 | CISA |
|---|---|---|
| 実施・認定する団体 | IPA(日本の国家試験) | ISACA(国際的な団体) |
| 合格・認定の考え方 | 試験に合格すれば合格者になる | 試験に加えて、実務経験の要件を満たして申請する |
| 公式に確認できる情報 | 日程・科目・合格率などをIPAが公表 | 試験分野などをISACAが公表 |
CISAの受験料、受験できる言語、必要な経験年数などは、この記事では扱いません。最新の情報はISACAの公式サイトで確認してください。
キャリアカンパニーは、未経験・若手のインフラエンジニアの転職を専門に支援しています。そのうえで、システム監査技術者試験については、次のように考えています。
当社の面談では、最初の3年は現場経験を積み、1〜2年での早い転職は避けるようお伝えしています。システム監査技術者試験は、その経験を積んだ先で検討する資格です。
| 今の状況 | 先に考えたい資格・行動 |
|---|---|
| IT未経験・これからインフラを目指す | CCNA・LinuCなど、仕事に直結する資格。または基本情報技術者試験 |
| 運用・監視で働き始めた | 現場経験を積みながら、応用情報技術者試験など幅広い知識の資格 |
| 構築・設計や管理の経験がある | 高度試験を検討。監査に関心があればシステム監査技術者試験も候補 |
未経験から目指すときの資格の考え方は、IT転職に有利な資格と基本情報技術者試験の難易度で詳しく解説しています。運用から担当を広げる道筋は、運用・監視から構築・設計へをご覧ください。
キャリアカンパニーの現場から|資格を持つ方の転職での評価
IT監査や内部統制に関する専門知識を示す資格として評価されます。監査の実務経験があれば、さらに強みになります。
キャリアカンパニーの現場から|監査・IT統制の求人の傾向
IT監査、内部統制、リスク管理、セキュリティ管理などの経験を求める求人が多く、まったくの未経験向けの求人は限られる傾向です。
ここでは、一般的な勉強の進め方を紹介します。
まず、IPAが公開している試験要綱とシラバス(出題範囲を示した資料)を読みましょう。どんな力が問われるのかを先に知ると、勉強の方向がぶれにくくなります。
IPAは過去問題を公開しています。科目A-1・A-2は多肢選択式なので、過去問題を繰り返し解き、用語と出題の傾向に慣れておきましょう。応用情報技術者試験に合格していれば、2年間は科目A-1が免除になるため、科目A-2以降に時間を回せます。
記述式の科目B-1では、事例を読んで、どこにリスクがあるか、何を確かめるべきかを答えます。解答例を読むだけでなく、自分で書いてから比べると、考え方の違いに気づけます。
論述式の科目B-2では、自分の経験をもとに書く力が問われます。これまでに関わったシステムや業務で、次のような経験を書き出しておくと、論文の材料になります。
書き出した材料を使って、時間を計って書く練習をしましょう。書いたものを、第三者に読んでもらうのも効果的です。
2026年度からはパソコンで解答します。論述もパソコンで入力する形になるため、IPAの案内を確認し、画面での入力に慣れておくと安心です。
IPAの統計では、令和7年度秋期の合格率は16.1%(受験者2,245人、合格者362人)です。令和5年度は16.4%、令和6年度は16.7%で、ここ数年は16%台が続いています。
科目A-1・A-2・B-1は、それぞれ100点満点中60点以上が基準です。論述式の科目B-2は点数ではなくA〜Dのランクで評価され、Aが合格です。4科目すべてが基準を満たすと合格になります。
2026年度は後期に実施されます。申込受付は2027年1月27日〜2月27日、科目A群は2027年2月20日〜3月2日、科目B群は2027年3月16日〜3月28日です。合格発表は2027年6月頃の予定です。最新の情報はIPAの公式ページで確認してください。
受験手数料は7,500円(税込)です。
IPAは、現在の試験制度を2026年度で終え、2027年度から新しい制度に移る予定だと公表しています。新しい制度の区分は検討中の案として公表されている段階なので、IPAの「試験制度の見直し」のページで最新の情報を確認してください。
当社では、インフラ未経験の方が最初に取る資格としてはおすすめしていません。監査はシステムの企画・開発・運用の経験が土台になる仕事です。未経験の方は、CCNAやLinuC、基本情報技術者試験など、仕事に直結する資格から始めるのが現実的です。
システム監査技術者試験はIPAが実施する日本の国家試験で、CISAは国際的な団体ISACAが認定する資格です。CISAは、試験に加えて実務経験の要件を満たして申請する仕組みです。受験料や言語などの詳細は、ISACAの公式サイトで確認してください。
資格選びは、今の経験と、将来どの立場で働きたいかによって変わります。迷ったときは、お気軽にご相談ください。
試験の日程・方式・受験手数料・合格基準・合格率は、上記のIPA公式ページと統計資料(推移表)で2026年11月4日に確認した内容です。CISAについては、ISACA公式サイトで確認できた範囲(正式名称・試験分野・実務経験の申請が必要なこと)だけを記載しています。システム監査の仕事内容は一般的な説明であり、会社によって役割や呼び方は異なります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
株式会社エンデバース 代表取締役
キャリアカンパニー責任者
百瀬 将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。