
ネットワークスペシャリスト試験(NW)は、ネットワークの設計・構築・運用の技術力を問う、情報処理技術者試験の高度試験です。IPAの統計では、令和7年度春期の合格率は17.8%でした。この記事では、試験の概要、2026年度の日程と申込み、合格率から見る難易度、出題分野、午後問題の対策、学習計画、転職での活かし方までまとめました。
この記事のポイント
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークの設計・構築・運用に必要な技術を、体系的に問う試験です。午後の問題では、実際のネットワーク構成を読み取り、障害の原因や、設計の理由を、記述で答える力が求められます。
未経験の方が最初に受ける試験ではありません。まず、基本情報技術者試験などで基礎を固め、運用・監視や、ネットワークの運用の実務を経験しながら、中盤のキャリアで目指すのが、現実的な流れです。インフラの仕事に就く方は、インフラエンジニアへ未経験で転職する方法もあわせてご覧ください。
一方で、ネットワークの基礎は、インフラの仕事全体の土台です。試験の内容を早めに知っておくことは、学習の目標を立てるうえで役に立ちます。
IPAは、ネットワークスペシャリスト試験の対象者像を、「ネットワークに関する固有技術を活用し、情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守の中心的役割を担い、情報セキュリティを含む技術支援を行う高度IT人材」としています。
ネットワークエンジニアとして、設計・構築・運用の中心を担う方が、主な対象です。ネットワークエンジニアの仕事内容は、ネットワークエンジニアとはでも解説しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
| 略称 | NW(Network Specialist Examination) |
| 試験の区分 | 情報処理技術者試験の「高度試験」のひとつ |
| 対象者像 | ネットワークの技術を活用して、システム基盤の設計・構築・運用の中心を担う人 |
| 受験の資格 | 年齢・学歴・経験の制限はない |
IPAの公式ページでは、試験の科目は、次のように表記されています。従来の「午前I・午前II・午後I・午後II」と、対応します。
| 科目 | 従来の呼び方 | 試験時間 | 形式 | 出題数と解答数 |
|---|---|---|---|---|
| 科目A-1 | 午前I | 50分 | 多肢選択式(四肢択一) | 30問出題・30問解答 |
| 科目A-2 | 午前II | 40分 | 多肢選択式(四肢択一) | 25問出題・25問解答 |
| 科目B-1 | 午後I | 90分 | 記述式 | 3問出題・2問解答 |
| 科目B-2 | 午後II | 120分 | 記述式 | 2問出題・1問解答 |
午前I(科目A-1)には、一定の条件を満たす場合に、受験が免除される制度があります。条件や期間は、IPAの「科目A-1試験免除」のページで案内されています。受験の前に、自分が対象かを確認してください。
IPAの案内では、ネットワークスペシャリスト試験は、2026年度はCBT方式により、前期に実施されます。令和8年度前期の高度試験の日程は、次のとおりです。
| 項目 | 日程(令和8年度前期・高度試験) |
|---|---|
| 申込受付期間 | 2026年10月6日(火)10時〜10月24日(土)17時 |
| 科目A-1・A-2の実施期間 | 2026年10月17日(土)〜10月27日(火) |
| 科目B-1・B-2の実施期間 | 2026年11月11日(水)〜11月23日(月) |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
⚠ 注意
申込受付の期限は、2026年10月24日(土)17時です(IPA、2026年10月時点)。申込みを考えている方は、IPAの公式サイトで、最新の案内と、申込みの手順を、すぐに確認してください。日程や受験料は、変更される場合があります。
IPAは、現行の試験制度を、2026年度の実施をもって終了し、2027年度から新試験制度へ移行する予定としています。新制度の区分や形式は、検討の段階であり、今後変わる可能性があります。今回の試験は、現行の制度で受験できる、最後の機会にあたります。
IPAが公表した令和7年度春期の統計では、ネットワークスペシャリスト試験の状況は、次のとおりです。
| 項目 | 令和7年度春期のネットワークスペシャリスト試験 |
|---|---|
| 応募者数 | 17,297人 |
| 受験者数 | 11,948人 |
| 合格者数 | 2,126人 |
| 合格率 | 17.8% |
| 合格者の平均年齢 | 34.1歳 |
同じ令和7年度春期の、他の試験の合格率と並べると、次のようになります(IPA)。
| 試験 | 合格率(令和7年度春期) |
|---|---|
| 応用情報技術者試験 | 22.1% |
| 情報処理安全確保支援士試験 | 19.0% |
| ネットワークスペシャリスト試験 | 17.8% |
| システムアーキテクト試験 | 15.5% |
| ITストラテジスト試験 | 15.0% |
| ITサービスマネージャ試験 | 14.7% |
ネットワークスペシャリスト試験は、高度試験の中では、合格率が比較的高い部類です。ただし、合格率が高いことは、易しい試験という意味ではありません。受験者は、ネットワークの実務や学習を、すでに積んでいる方が多いと考えられます。
| ポイント | 理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 午後の長文の読解 | ネットワークの構成図と、長い事例文を読み、設問の根拠を探す必要がある | 構成図に、本文の情報を書き込みながら読む練習をする |
| 技術の範囲の広さ | TCP/IP、ルーティング、無線LAN、VPN、セキュリティ、クラウドなど、範囲が広い | 出題分野ごとに、基本の仕組みを整理し、重点分野から学ぶ |
| 記述の字数と表現 | 設問が指定する字数や観点に、合わせて書く必要がある | 過去問題で、模範解答の表現と、字数の使い方を確認する |
| 実機の経験の差 | 実務経験が少ないと、現象のイメージが湧きにくい | シミュレーターで、ネットワークを組み、動作を確認する |
出題の範囲は、ネットワークの基本から、設計・運用・セキュリティまで、幅広い分野に及びます。主な分野と、押さえたい用語を、整理しました。
| 分野 | 押さえたい内容 | 用語の例 |
|---|---|---|
| ネットワークの基礎 | 通信の仕組みと、各層の役割 | TCP/IP、OSI参照モデル、TCPとUDPの違い、IPアドレス、サブネット |
| スイッチング | LAN内の通信の制御 | VLAN、スパニングツリー、リンクアグリゲーション |
| ルーティング | 異なるネットワークの間の経路の制御 | スタティックルーティング、OSPF、BGP、デフォルトゲートウェイ |
| アドレスと名前解決 | アドレスの割り当てと、名前の変換 | DHCP、DNS、NAT、IPv6 |
| 無線LAN | 無線での接続と、その安全性 | アクセスポイント、SSID、WPA、認証の方式 |
| VPN・リモート接続 | 離れた拠点や、在宅からの安全な接続 | IPsec、SSL-VPN、拠点間接続、リモートアクセス |
| セキュリティ | ネットワークの防御と、検知 | ファイアウォール、WAF、IDS/IPS、認証(RADIUSなど)、ログの管理 |
| クラウド・仮想化 | クラウド上のネットワークの設計 | 仮想ネットワーク、ロードバランサー、SDN、クラウドと拠点の接続 |
| 運用・管理 | 監視と、障害時の切り分け | SNMP、ログ、パケットの確認、構成管理 |
サブネットや、ルーティングの基本は、サブネットとは、ルーティングとはでも解説しています。基礎が不安な方は、あわせてご覧ください。
午後は、記述式です。ネットワークの構成図と、長い事例文が与えられ、障害の原因や、設計の理由などを、設問に沿って記述します。午後I(科目B-1)は3問から2問を、午後II(科目B-2)は2問から1問を選んで、解答します。
ポイント
午後は、「知っている知識を書く」試験ではなく、「本文に書かれている根拠から、答えを作る」試験です。本文の言葉を使って、設問に沿って書く練習が、得点につながります。
ネットワークの障害では、「どこで通信が止まっているか」を、順番に確認していくことが基本です。午後問題の「原因を答える」設問でも、実務の障害対応でも、同じ考え方が使われます。
| 確認したいこと | よく使うコマンド・方法 | 分かること |
|---|---|---|
| 相手に届くか | ping | 通信の可否と、応答にかかる時間 |
| 途中の経路 | traceroute(Windowsではtracert) | どの機器で、通信が止まっているか |
| 名前の解決 | nslookup、dig | ドメイン名が、正しいIPアドレスに変換されるか |
| 自分の設定 | ip addr(Windowsではipconfig) | IPアドレス、サブネット、ゲートウェイの設定 |
| 通信の中身 | パケットキャプチャ(tcpdumpなど) | 実際に流れている通信の内容 |
この手順を、自分でネットワークを組んだ環境で、何度も試しておくと、午後問題で、構成図を見たときに、「どの層を疑うか」を、素早く判断できるようになります。
仕事をしながら受験を目指す場合の、16週間の例です。生活に合わせて、調整してください。
| 期間 | 学ぶこと | やること |
|---|---|---|
| 1〜4週目 | ネットワークの基礎、スイッチング、ルーティング | 午前の過去問題を解き、用語を分野ごとに整理する |
| 5〜8週目 | アドレス、無線LAN、VPN、セキュリティ | 午前の過去問題を、分野別に解く。シミュレーターで、簡単な構成を試す |
| 9〜12週目 | 午後Iの読み方と、解き方 | 午後Iの過去問題を、1問ずつ、時間を計って解く |
| 13〜15週目 | 午後IIの解き方と、総復習 | 午後IIの過去問題を解く。間違えた問題を、分野ごとに復習する |
| 16週目 | 直前の確認 | 苦手分野の見直しと、試験会場・持ち物の確認 |
学習時間の目安は、公式には定められていません。経験や知識の量で、大きく変わります。まず、午前の過去問題を解いて、現在の力を確認してから、計画を立てましょう。
ネットワークは、頭の中だけで理解しようとすると、つまずきやすい分野です。実際に機器を設定し、通信を確認することで、仕組みが理解できます。自宅に機器がなくても、ネットワークシミュレーターを使えば、構成を組んで、動作を確認できます。
pingなどで、通信が通るかを確認するこの「わざと壊して、原因を探す」練習は、午後問題の「障害の原因を答える」設問に、直結します。実際の運用でも、役に立つ力です。
ネットワークの資格として、よく並べて比較されるのが、CCNA(シスコ技術者認定)です。違いは、次のとおりです。
| 項目 | ネットワークスペシャリスト試験 | CCNA |
|---|---|---|
| 運営 | IPA(国の試験) | シスコシステムズ(ネットワーク機器の企業) |
| 位置づけ | ネットワークの設計・運用を、幅広く問う高度試験 | ネットワーク機器の設定・運用の基礎を、問う認定 |
| 出題の特徴 | ベンダーに依存しない、一般的な技術の知識と、記述の力 | 機器の設定やコマンドを含む、実践的な内容 |
| 向いている時期 | ネットワークの経験を積んだあと、中盤のキャリアで | 入門〜初級の段階で、基礎を固めたいとき |
未経験の方は、まずCCNAや、基本情報技術者試験で、基礎を固めるのが一般的です。ネットワークの経験を積んだあとに、ネットワークスペシャリスト試験で、体系的な知識と、設計の力を証明する流れが、現実的です。IT資格のロードマップで、全体の進め方を整理しています。
転職サービスdodaの「平均年収ランキング(2025年版、2024年9月〜2025年8月)」では、ネットワークエンジニアの平均年収は455万円、IT・通信の技術系全体の平均は469万円でした。セキュリティコンサルタントは649万円と、さらに高い水準です。ネットワークの専門性は、セキュリティなど、上位の領域へ広げることで、年収が上がっていく可能性があります。
ただし、資格だけで、採用が決まるわけではありません。採用側が見るのは、「どのようなネットワークの運用・構築を経験したか」です。資格は、その経験を、体系的に理解していることの裏付けになります。
| 状況 | 資格の位置づけ | 進め方 |
|---|---|---|
| 未経験〜1、2年目 | 基礎資格を優先 | 基本情報、CCNAなどで基礎を固め、運用・監視の実務で経験を積む |
| ネットワークの運用経験が数年ある | 経験の裏付けとして、効果が高い | 午後問題の学習を、日々の業務と結び付ける。構築・設計の担当を、増やしていく |
| 設計・構築の経験が豊富 | 専門性の客観的な証明 | 資格の取得に加え、職務経歴書で、規模・構成・役割を具体的に示す |
当社の自社集計(2025年8月〜2026年7月入社)では、インフラ分野に入社した170名の入社時年収は、中央値で320万円でした。運用・監視の経験を3年程度積み、資格を持つ20名のうち19名(95%)が、入社後半年程度で、構築・設計を担当しています。進み方の詳しい手順は、運用・監視から構築・設計へ進む方法で解説しています。
| 段階 | 主な役割 | 身につけたいこと |
|---|---|---|
| 運用・監視 | ネットワークの稼働監視、障害の一次対応 | 通信の基礎、ログの読み方、報告・連絡 |
| 運用・保守 | 設定変更、障害の切り分け、機器の更新 | ルーティング、VLAN、機器の設定 |
| 構築・設計 | ネットワークの設計・構築、プロジェクトの担当 | 設計書の作成、セキュリティ、クラウドとの接続 |
| 専門性の強化 | セキュリティ、クラウド、プロジェクト管理など | 専門資格、チームのリーダーシップ |
キャリアカンパニーでは、未経験・若手のITエンジニアの転職を支援しています。「ネットワークの仕事に進みたい」「将来は設計・構築まで担当したい」という方には、運用・監視から経験を積み、上位の工程へ進める企業を、ご案内しています。資格の学習と転職活動の両立も、面談で、状況に合わせて計画を立てます。
受験前のチェックリスト
同じ高度試験の、データベーススペシャリスト試験の合格率・日程・対策も解説しています。
▶ データベーススペシャリスト試験(DB)とは?合格率・難易度・後期の日程と対策
ネットワークの仕事の実態(夜勤・年収・つらさ)は、こちらで解説しています。
▶ 「ネットワークエンジニアはやめとけ」は本当?きついと言われる理由と将来性
IPAの統計では、令和7年度春期の合格率は17.8%でした(応募17,297人、受験11,948人、合格2,126人)。合格者の平均年齢は34.1歳です。年度によって変動するため、最新の統計は、IPAの公式サイトで確認してください。
受験の資格に、年齢・学歴・経験の制限はありません。ただし、午後問題は、ネットワークの構成を読み取る力が必要です。未経験の方は、まず、基本情報技術者試験やCCNAなどで、基礎を固めるのがおすすめです。
令和8年度の高度試験の受験料は、7,500円(税込)です(IPA)。受験料は変更される場合があるため、申込みの前に、IPAの公式サイトで確認してください。
IPAの案内では、2026年度は、CBT方式により前期に実施されます。令和8年度前期の高度試験は、申込みが2026年10月6日〜24日、科目A-1・A-2が10月17日〜27日、科目B-1・B-2が11月11日〜23日です。最新の情報は、IPAの公式サイトで確認してください。
IPAは、2027年度から新試験制度へ移行する予定としています。区分や形式は、検討の段階であり、今後変わる可能性があります。最新の情報は、IPAの公式サイトで確認してください。
専門性の裏付けとして、評価される場面があります。ただし、採用で重視されるのは、実務での経験です。資格と、職務経歴書での経験の示し方を、あわせて準備してください。
未経験や、経験が浅い方は、基礎を固めやすいCCNAや、基本情報技術者試験を、先に取るのが一般的です。ネットワークの経験を積んだあとに、ネットワークスペシャリスト試験を目指す流れが、現実的です。
試験の最新情報は、必ず、IPAの公式サイトで確認してください。キャリアの進め方や、資格と転職活動の両立で迷ったときは、お気軽にご相談ください。
試験の先の、転職の進め方はネットワークエンジニアへ未経験で転職する方法で解説しています。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。