
プロジェクトマネージャ試験(PM)は、情報処理技術者試験の「高度試験」のひとつで、合格率が低い試験です。IPAの統計では、令和7年度秋期の合格率は14.3%でした。この記事では、試験の概要、2026年度のCBT化と2027年度の新制度の動き、合格率から見る難易度、午後I・午後IIの対策、学習計画、転職での活かし方までまとめました。
この記事のポイント
プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクトの責任者として、計画・実行・監視・終結を担う力を問う試験です。午前の選択式で知識を確認したうえで、午後に、設問に沿って、実際のプロジェクトのマネジメント経験を文章にまとめる力が問われます。
そのため、未経験からITの仕事に入る方が、最初に受ける試験ではありません。まずは、基本情報技術者試験や、応用情報技術者試験で、基礎を固めたうえで、実務経験を積み、中盤のキャリアで挑戦する流れが現実的です。IT資格全体の進め方は、IT資格のロードマップで整理しています。
一方で、いずれPMを目指したい方にとって、この試験の学習は、プロジェクトの進め方を体系的に理解する助けになります。早い段階で、試験の内容を知っておくことには、意味があります。
IPA(情報処理推進機構)は、プロジェクトマネージャ試験の対象者像を、「プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者」としています。システム開発プロジェクトの管理を、中心に扱う試験です。
情報処理技術者試験の中では、「高度IT人材」向けの試験にあたります。システム開発の現場で、プロジェクトの責任者や、リーダーの役割を担う方が、主な対象です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
| 試験の区分 | 情報処理技術者試験の「高度試験」のひとつ |
| 対象者像 | プロジェクトマネジメント業務を、単独で、またはチームの一員として担う人 |
| 受験の資格 | 年齢・学歴・経験の制限はない |
プロジェクトマネージャ試験は、4つの科目で構成されます(IPA公式ページの表記)。従来の「午前I・午前II・午後I・午後II」と、次のように対応します。
| 科目 | 従来の呼び方 | 試験時間 | 形式 | 出題数と解答数 |
|---|---|---|---|---|
| 科目A-1 | 午前I | 50分 | 多肢選択式(四肢択一) | 30問出題・30問解答 |
| 科目A-2 | 午前II | 40分 | 多肢選択式(四肢択一) | 25問出題・25問解答 |
| 科目B-1 | 午後I | 90分 | 記述式 | 3問出題・2問解答 |
| 科目B-2 | 午後II | 120分 | 論述式 | 2問出題・1問解答 |
受験料は、令和8年度の高度試験で、7,500円(税込)です(IPA)。受験料や日程は、変更される場合があります。申込みの前に、IPAの公式サイトで、最新の案内を確認してください。
科目A-1(午前I)には、一定の条件を満たす場合に、受験が免除される制度があります。条件や、免除の期間は、IPAの「科目A-1試験免除」のページで案内されています。受験の前に、自分が対象かどうかを、必ず確認してください。
情報処理技術者試験は、制度が大きく変わる時期にあります。受験を考える方は、次の点を押さえてください。
| 時期 | 変更の内容 | 出典・状況 |
|---|---|---|
| 2026年度(令和8年度) | 応用情報・高度試験・情報処理安全確保支援士試験を、CBT方式(コンピュータを使った試験)で実施。試験の実施時期は、前期・後期に分かれる | IPA公式(2026年10月時点) |
| 2026年度 | 記述式・論述式を含め、キーボード入力で解答する | アイテックなどの解説が、IPAの案内として紹介。受験の前に、IPAの受験案内で確認する |
| 2027年度(令和9年度) | 現行の試験制度を、2026年度の実施で終了し、新試験制度へ移行する予定 | IPA公式。2026年3月31日時点の検討状況を公表した段階 |
2027年度からの新制度では、現行の高度試験の区分が、再編される予定です。新しい区分名や、試験の形式は、検討の段階であり、今後変わる可能性があります。報道や解説サイトでも、見解が分かれている点があります。
⚠ 注意
2026年度の試験日程は、区分ごとに異なります。令和8年度前期の高度試験は、申込みが2026年10月6日〜24日、科目A-1・A-2が10月17日〜27日、科目B-1・B-2が11月11日〜23日でした(IPA)。最新の日程は、IPAの「試験日程」のページで確認してください。プロジェクトマネージャ試験は、令和8年度の後期試験で、申込みは2027年1月27日〜2月27日、科目A-1・A-2は2027年2月20日〜3月2日、科目B-1・B-2は3月16日〜3月28日です(IPA)。
IPAが公表した令和7年度秋期の統計では、プロジェクトマネージャ試験の状況は、次のとおりです。
| 項目 | 令和7年度秋期のプロジェクトマネージャ試験 |
|---|---|
| 応募者数 | 13,540人 |
| 受験者数 | 8,511人 |
| 合格者数 | 1,219人 |
| 合格率 | 14.3%(前年度は13.9%) |
| 受験者の平均年齢 | 37.7歳 |
他の試験と並べると、次のようになります(IPA、令和7年度)。
| 試験 | 合格率(令和7年度) |
|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 38.3% |
| 応用情報技術者試験 | 春期22.1%・秋期24.5% |
| 情報処理安全確保支援士試験 | 春期19.0%・秋期22.3% |
| ネットワークスペシャリスト試験 | 春期17.8% |
| データベーススペシャリスト試験 | 秋期18.4% |
| プロジェクトマネージャ試験 | 秋期14.3% |
同じ高度試験の中でも、プロジェクトマネージャ試験の合格率は低い部類に入ります。難しい理由は、知識だけでなく、実務の経験を、文章で説明する力が、評価されるためです。
| ポイント | 理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 午後II(論述) | 自分が経験したプロジェクトを、設問に沿って、制限時間内に、文章にまとめる必要がある | 事前に、論述の「型」を作り、自分の経験を3〜4件、整理しておく |
| 午後I(記述) | 事例を読み、設問に沿って、根拠を示して答える。読解と記述の力が必要 | 過去問題で、設問文のキーワードと、本文の根拠を結び付ける練習をする |
| 実務経験の有無 | プロジェクトを管理した経験がないと、論述の題材を作りにくい | リーダー、サブリーダー、PMOなど、近い経験を、プロジェクト管理の言葉で整理する |
| 学習時間の確保 | 働きながらの学習で、論述の練習に、まとまった時間が必要 | 週末に論述の時間を確保し、平日は知識の確認にあてる |
プロジェクトマネージャ試験では、プロジェクトを管理するための、さまざまな管理項目が問われます。次の表は、主な管理項目と、試験で押さえたい観点です。
| 管理項目 | 何を管理するか | 試験で押さえたい観点 |
|---|---|---|
| 統合 | プロジェクト全体の計画と、変更の管理 | 計画の作成、変更の管理、プロジェクトの終結 |
| スコープ | プロジェクトで行う作業の範囲 | 作業の分割(WBS)、範囲の変更への対応 |
| スケジュール | 作業の順序と、期間 | クリティカルパス、遅れへの対応 |
| コスト | 予算と、費用の見積り | EVM(進捗とコストの管理)、見積りの方法 |
| 品質 | 成果物の品質 | 品質基準、レビュー、テストの計画 |
| 資源(人材) | メンバーと、設備・環境 | 体制の構成、メンバーの育成、負荷の調整 |
| コミュニケーション | 情報の共有と、報告 | 報告の仕組み、会議の設計 |
| リスク | 起こりうる問題への対策 | リスクの識別、対応策、発生時の対応 |
| 調達 | 外部への発注と、契約 | 委託先の選定、契約の形態、委託先の管理 |
| ステークホルダー | 関係者との関係 | 関係者の把握、期待の調整、合意の形成 |
これらの項目は、午前II(科目A-2)で、知識として問われます。午後I・午後IIでは、プロジェクトの場面で、「どの項目に、どう対応したか」を、説明する力が求められます。
学習のコツ
管理項目を、ひとつずつ別々に覚えるより、「ひとつのプロジェクトで、問題が起きたとき、どの管理項目が関わるか」を、つなげて考えると、午後の問題に対応しやすくなります。
午前の科目は、四肢択一の選択式です。午前I(科目A-1)は、高度試験に共通の問題です。午前II(科目A-2)は、プロジェクトマネジメントを中心とした、専門分野の問題です。午後に進むための、土台として、確実に突破する必要があります。
午後Iは、記述式です。3問から2問を選び、プロジェクトの事例を読んで、設問に答えます。解答は、本文の中の根拠をもとにして書く必要があります。
ポイント
午後Iは、「自分の意見」ではなく、「本文に書かれている根拠」で答える試験です。本文の言葉を使って、設問に沿って書く練習が、得点につながります。
午後IIは、論述式です。2問から1問を選び、自分が経験したプロジェクトを題材に、設問に沿って、論述します。IPAの案内では、2026年度のCBTでは、キーボード入力で解答するとされています。受験前に、IPAの案内で、入力方式を確認してください。
| パート | 書く内容 | ポイント |
|---|---|---|
| プロジェクトの概要 | 目的、規模、体制、自分の役割 | 最初に、設問が求める前提を、簡潔に示す |
| 課題・リスク | プロジェクトの特徴から見えた課題や、想定したリスク | 設問の指定に合わせて、課題を具体的に書く |
| 対策・実施内容 | 課題に対して、何を考え、どう実行したか | 「なぜその対策か」の理由を、必ず添える |
| 結果・評価 | 対策の結果と、評価、今後の改善点 | 数字や事実で、結果を示す。うまくいかなかった点も、振り返る |
⚠ 注意
論述では、実際のプロジェクトの内容を書きます。顧客名・社名・個人名などの固有名詞は、書かないようにしてください。また、受験の際に使う題材は、守秘義務に反しない範囲で、一般化して書きます。
プロジェクトの管理者としての経験がない場合は、リーダー、サブリーダー、PMOとしての補助、チーム内の進捗管理など、近い経験を探してください。経験を、プロジェクト管理の言葉(スケジュール、リスク、品質など)で整理し直すと、論述の題材として使える場合があります。
仕事をしながら、受験を目指す場合の、16週間の例です。生活に合わせて、調整してください。
| 期間 | 学ぶこと | やること |
|---|---|---|
| 1〜4週目 | 午前の知識(管理項目、計算問題) | 午前の過去問題を解き、管理項目ごとに整理する |
| 5〜8週目 | 午後Iの読み方と、解き方 | 午後Iの過去問題を、1問ずつ、時間を計って解く |
| 9〜12週目 | 論述の構成と、題材の整理 | 題材のメモを作り、論述を週に1本、書く |
| 13〜15週目 | 論述の練習と、見直し | 時間を計って書き、第三者に読んでもらう。午前の過去問題で、知識を維持する |
| 16週目 | 総復習と、当日の準備 | 苦手な管理項目を復習し、試験の会場と、持ち物を確認する |
学習時間の目安は、公式には定められていません。経験や、知識の量によって、大きく変わります。まず、午前の過去問題を解き、現在の力を確認してから、計画を立てましょう。
転職サービスdodaの「平均年収ランキング(2025年版、2024年9月〜2025年8月)」では、IT職種21のうち、プロジェクトマネージャの平均年収は707万円で、最も高い水準でした。責任が大きく、経験が求められる職種であることを、反映していると考えられます。
ただし、資格を取れば、すぐにPMになれるわけではありません。採用側が見るのは、「どのようなプロジェクトで、どの役割を担い、何を成果として出したか」です。資格は、その経験を、体系的に理解していることの裏付けになります。
| 状況 | 資格の位置づけ | 進め方 |
|---|---|---|
| 実務経験が少ない(未経験〜数年) | 今は、基礎資格を優先する時期 | 基本情報、応用情報で基礎を固め、実務を積む。PMは、中盤の目標として考える |
| リーダー・PMOの経験がある | 経験の裏付けとして、効果が高い | 経験を整理し、午後IIの論述の題材にする。転職では、経験と資格をセットで示す |
| PM・PLの経験が豊富 | 経験の客観的な証明になる | 資格の取得に加え、職務経歴書で、規模・体制・成果を具体的に示す |
| 段階 | 主な役割 | 身につけたいこと |
|---|---|---|
| メンバー | 設計・開発・テスト・運用などを担当 | 担当工程の技術、報告・連絡・相談 |
| サブリーダー・PL | 小さなチームの進捗・品質を管理 | スケジュール管理、メンバーの育成、課題の共有 |
| PMO・PM | プロジェクト全体の計画と、実行・管理 | リスク管理、ステークホルダーとの調整、予算管理 |
SEからPMへ進む流れは、システムエンジニア(SE)とはでも解説しています。SESからSIerへ移り、上流の経験を積む方法は、SESからSIerへのキャリアアップが参考になります。
これからITの仕事に就く方は、プロジェクトマネージャ試験は、まだ先の目標です。まずは、基本情報技術者試験などで基礎を固め、運用・監視や、開発の現場で、経験を積むことから始めてください。当社の入社者は、前職がIT以外の方が90%でした(2025年8月〜2026年7月入社、自社集計)。多くの方が、実務経験のない状態から、最初の一歩を踏み出しています。
キャリアカンパニーでは、未経験・若手のITエンジニアの転職を支援しています。「将来はPMを目指したい」という方には、プロジェクトの上流工程に関われる企業や、キャリアパスが明確な企業を、ご案内しています。資格の取得を目指しながらの転職活動も、面談で、学習状況に合わせて計画を立てます。
受験前のチェックリスト
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IPAの統計では、令和7年度秋期の合格率は14.3%でした(応募13,540人、受験8,511人、合格1,219人)。前年度は13.9%でした。年度や期によって変動するため、最新の統計は、IPAの公式サイトで確認してください。
受験の資格に、年齢・学歴・経験の制限はありません。ただし、午後IIで、プロジェクトの経験を論述する必要があるため、経験が少ない場合は、準備に工夫が必要です。まずは、基本情報技術者試験などで基礎を固めるのがおすすめです。
令和8年度の高度試験の受験料は、7,500円(税込)です(IPA)。受験料は変更される場合があるため、申込みの前に、IPAの公式サイトで確認してください。
IPAは、2027年度から新試験制度へ移行する予定としています。2026年3月31日時点の検討状況が公表された段階で、区分や形式は、今後変わる可能性があります。最新の情報は、IPAの公式サイトで確認してください。
2026年度は、CBT方式で、記述式・論述式を含めて、キーボード入力で解答すると、IPAの案内として紹介されています。受験の前に、IPAの受験案内で、確認してください。
経験の裏付けとして、評価される場面があります。ただし、採用で重視されるのは、プロジェクトの規模・役割・成果です。資格と、職務経歴書での経験の示し方を、あわせて準備してください。
決まった年数は、ありません。メンバー、サブリーダー、PMOなどの経験を積み、プロジェクトの全体を見る役割へ進むのが、一般的な流れです。
試験の最新情報は、必ず、IPAの公式サイトで確認してください。キャリアの進め方や、資格と転職活動の両立で迷ったときは、お気軽にご相談ください。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。