
基本情報技術者試験は、ITの基礎を一通り学べば届く水準の国家試験です。IPAの統計では、令和7年度の合格率は38.3%でした。この記事では、試験の概要、合格率から見る難易度、つまずきやすいポイント、学習計画と教材の選び方、転職での活かし方(書類・面接の例)、受験前のチェックリストまでまとめました。
この記事のポイント
基本情報技術者試験(FE)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験で、ITエンジニアの「基礎力」を示す資格です。IPAの統計情報によると、令和7年度の合格率は38.3%です。国家試験の中では、受験しやすい入門〜基礎レベルですが、約6割の受験者が合格できていない水準でもあり、「何も勉強せずに合格できる」試験ではありません。
ITパスポートより難しく、応用情報技術者試験(令和7年度の合格率は春期22.1%・秋期24.5%)より易しい、中間に位置します。未経験からIT転職を目指す方が、「基礎知識を学んだ証拠」として、最初に狙いやすい資格の一つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
| 区分 | 国家試験(情報処理技術者試験)の、エントリー〜基礎レベル |
| 出題内容 | コンピュータの仕組み、ネットワーク、データベース、セキュリティ、開発手法、アルゴリズム、プログラミング、経営・法務の基礎など |
| 試験の形式 | 科目A(知識を問う)と、科目B(アルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティ)。CBT方式(パソコンでの受験)が中心 |
| 合格の基準 | 科目A・科目Bの両方で、基準点以上(詳細は公式の最新情報で確認) |
| 受験資格 | 特になし(年齢・学歴の制限なし) |
⚠ 注意
試験の形式・日程・申込方法・受験料は、変更されることがあります。受験前に、必ずIPAの公式サイトで最新の情報を確認してください。
IPAの統計情報で、令和7年度の基本情報技術者試験の合格率は38.3%でした。合格率だけを見ると、「約4割が合格」という水準です。他の試験と並べると、位置づけが分かります。
| 試験 | 令和7年度の合格率(IPA公表) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 38.3% | 基礎レベル。IT全般の基礎知識 |
| 応用情報技術者試験 | 春期22.1%/秋期24.5% | 応用レベル。技術・マネジメント・戦略 |
| 情報処理安全確保支援士試験 | 春期19.0%/秋期22.3% | 高度レベル。セキュリティの専門 |
| ネットワークスペシャリスト試験 | 春期17.8% | 高度レベル。ネットワークの専門 |
出典:IPA(情報処理推進機構)の統計情報。合格率は、試験区分・期によって異なり、毎年変動します。
| ポイント | 理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 範囲が広い | ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・DB・セキュリティ・経営まで幅広い | 全体像をつかんでから、分野ごとに深める。苦手分野は後回しにしない |
| アルゴリズム・プログラミング(科目B) | 擬似言語で、処理の流れを追う問題が出る。未経験は特に苦手になりやすい | 問題を手で書いて追う。短い問題を、毎日解く |
| 用語の暗記量 | 似た用語(RAIDの種類、ネットワークの層など)が多い | 図で整理し、「違い」を説明できるようにする |
| セキュリティ・法務 | 近年重視されている分野で、出題比率が高まっている | 最新の用語・事例を、教材で確認する |
必要な勉強時間は、前提知識・学習の習慣・目標の点数によって、大きく変わります。IT学習が初めての方は、基礎用語に慣れる期間が必要なため、試験日から逆算して、毎日少しずつ進める計画を立てましょう。
フェーズ1
基礎固め
参考書を1周し、用語と全体像を理解する。分からない用語は、その日のうちに調べる
フェーズ2
過去問演習
分野ごとに問題を解き、間違えた理由を記録。科目Bは毎日少しずつ
フェーズ3
仕上げ
模擬試験で時間配分を練習。弱点の分野を、集中して復習する
| 時期 | 科目A(知識) | 科目B(アルゴリズム・セキュリティ) |
|---|---|---|
| 最初の1か月 | 用語・仕組みを広く浅く(教材1周) | 擬似言語の読み方、トレース(処理を追う)の練習 |
| 2〜3か月目 | 分野別の問題演習。間違えた分野を重点的に | 過去問を、毎日1問以上。解説を読み、手で書いて確認 |
| 直前期 | 模擬試験で時間配分を確認。暗記項目の総復習 | 過去問を時間を計って解く。ミスのパターンを確認 |
| 方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 参考書(書籍) | 体系的に学べる。繰り返し読める | 最新の試験範囲に対応した、新しい版を選ぶ |
| 動画講座 | 難しい用語を、図解で理解しやすい | 見るだけで終わらず、問題演習とセットにする |
| 過去問・問題サイト | 本番に近い形式で練習できる | 正解だけでなく、解説を読み、理由を理解する |
| 学習アプリ | 隙間時間に、1問ずつ進められる | アプリだけでなく、まとまった時間で、科目Bの演習も |
| 場面 | 活かし方 |
|---|---|
| 書類選考 | 学習の継続と、基礎知識の理解を示せる。「未経験だが学んでいる」根拠になる |
| 面接 | 基礎用語(ネットワーク・DB・セキュリティ)を、自分の言葉で説明できると、評価されやすい |
| 入社後 | 研修・実務で出てくる用語・仕組みの理解が早くなる |
| キャリア | 応用情報技術者や、専門資格(ネットワーク・DB・セキュリティ)へ進む土台になる |
✔ ポイント
資格は、取ることが目的ではなく、学んだ内容を、実務や面接で説明できる状態にすることが大切です。資格に加えて、小さな成果物(アプリ・環境構築)を示せると、さらに評価が高まります。
資格を、面接でどう伝えるかは未経験IT転職の面接でよく聞かれる質問と答え方、自己PRの書き方はIT転職の自己PRの書き方で解説しています。
✅ 受験前のチェックリスト
キャリアカンパニーでは、未経験の方が、資格学習と転職準備を並行して進められるよう、面談で学習状況を整理し、応募のタイミングや、書類での見せ方を一緒に考えています。資格の学習中でも、「〇月受験予定」と書類に明記して、応募を進めることができます。IT資格全体の選び方は、IT資格のロードマップも参考にしてください。
| 分野 | 主な内容 | 押さえたい用語・考え方 |
|---|---|---|
| 基礎理論 | 2進数・16進数、論理演算、アルゴリズムの基礎、情報理論 | 2進数と10進数の変換、AND/OR/XOR、計算量の考え方 |
| コンピュータシステム | CPU・メモリ・記憶装置、OS、システムの構成 | キャッシュメモリ、仮想記憶、RAIDの種類、稼働率の計算 |
| 技術要素(ネットワーク) | TCP/IP、通信のしくみ、プロトコル | OSI参照モデル、IPアドレス、DNS、DHCP、TCPとUDPの違い |
| 技術要素(データベース) | データの管理、SQL、正規化 | 主キー・外部キー、結合、正規化、トランザクション |
| 技術要素(セキュリティ) | 脅威・対策、暗号、認証 | 共通鍵暗号・公開鍵暗号、ハッシュ、ファイアウォール、脆弱性対策 |
| 開発技術・マネジメント | 設計・テスト、開発手法、プロジェクト管理、サービスマネジメント | 単体・結合・システムテスト、ウォーターフォール、アジャイル、障害対応の考え方 |
| ストラテジ | 経営・法務、システム戦略 | 著作権・個人情報保護、業務プロセス、企業活動の基礎 |
広い範囲ですが、頻出テーマ(ネットワーク・セキュリティ・データベース・アルゴリズム)から深めると、効率的に得点を伸ばせます。範囲の最新情報は、必ずIPAの公式サイトで確認してください。
科目Bでは、「擬似言語」と呼ばれる、試験用の簡易的なプログラムを読み、処理の結果を答えます。実際のプログラミング経験がなくても、「処理を順番に追う(トレースする)」練習を重ねれば、得点できます。次は、「配列の中の最大値を求める」処理を、擬似言語に近い書き方で示した例です(説明用の例で、実際の試験の記法とは細部が異なる場合があります)。
配列 data = {3, 8, 5, 2}
max ← data[1] // 最初の要素を、最大値の候補にする
繰り返し i を 2 から 4 まで 1 ずつ増やす
もし data[i] > max ならば
max ← data[i] // 大きい値が見つかったら、更新する
終わり
終わり
// 結果:max = 8| i | data[i] | max(処理後) | 説明 |
|---|---|---|---|
| (開始) | — | 3 | 最初の要素を、候補にする |
| 2 | 8 | 8 | 8は3より大きいので更新 |
| 3 | 5 | 8 | 5は8より小さいので、そのまま |
| 4 | 2 | 8 | 2は8より小さいので、そのまま |
このように、変数の値の変化を、表に書き出して追うのが、トレースの基本です。慣れるまでは、毎回、手で表を書いて確認しましょう。
基礎を固めたあとに目指す高度試験として、プロジェクトマネージャ試験を解説しています。
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▶ データベーススペシャリスト試験(DB)とは?合格率・難易度・後期の日程と対策
| テーマ | まとめるポイント |
|---|---|
| TCPとUDP | TCPは、確実に届ける(確認あり)。UDPは、速さ優先(確認なし)。用途の違いも覚える |
| 共通鍵暗号と公開鍵暗号 | 共通鍵は、同じ鍵で暗号化・復号(高速)。公開鍵は、公開鍵で暗号化し、秘密鍵で復号(鍵の配布が楽) |
| RAID | RAID0は速度優先、RAID1はミラーリング(冗長化)、RAID5はパリティを使い、1台故障しても復旧可能 |
| 正規化 | データの重複を減らし、更新時の不整合を防ぐ。第1〜第3正規形の違いを理解する |
| テストの種類 | 単体テスト(部品)→ 結合テスト(組み合わせ)→ システムテスト(全体)→ 受け入れテスト(利用者) |
| ウォーターフォールとアジャイル | 前者は、工程を順番に進める。後者は、短い単位で、作る・確認する・改善する、を繰り返す |
| 期間 | 学ぶこと | 目標 |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | IT全体の概要、ハードウェア・OS、2進数 | 用語に慣れる。教材の1周目を進める |
| 3〜4週目 | ネットワーク・データベース | 基本用語を説明できる。SQLの基本を理解 |
| 5〜6週目 | セキュリティ、開発・マネジメント | 暗号・認証・脅威の違いを整理 |
| 7〜8週目 | アルゴリズム・擬似言語(科目B) | トレースの練習。短い問題を毎日1問 |
| 9〜10週目 | 科目Aの過去問・分野別演習 | 間違えた問題を、ノートに記録 |
| 11〜12週目 | 模擬試験・弱点の復習 | 時間配分の練習。苦手分野の最終確認 |
学習期間は、人によって異なります。仕事と並行する場合は、期間を長めにとり、「毎日続けられる量」から計画しましょう。
| 失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 参考書を読むだけで、問題を解かない | 理解した気になる。アウトプットが不足 | 教材1周後は、問題演習を中心にする |
| 科目Bを後回しにして、直前に焦る | 苦手意識から、避けてしまう | 学習の初期から、毎日少しずつ触れる |
| 完璧主義で、1つの分野に時間を使いすぎる | 合格点が取れれば良いのに、満点を目指す | 7割の理解で次へ進み、後で戻って復習する |
| 過去問の答えを、暗記して終わる | 似た問題で、応用が効かない | なぜ正解か・なぜ他が違うかを、説明できるようにする |
STEP1
成果物・実務
学んだ内容を、アプリ・環境構築などで、形にする
STEP2
専門分野を決める
ネットワーク・サーバー・クラウド・開発など、志望を絞る
STEP3
次の資格
専門資格(CCNA・LPIC・AWSなど)や、応用情報技術者へ
資格の選び方の全体像はIT資格のロードマップ、難易度の比較はIT資格の難易度比較が参考になります。
基本情報技術者試験は、全国のテストセンターで、コンピュータを使って受験する方式(CBT方式)です。受験日を自分で選べるため、学習の進み具合に合わせて計画を立てられます。申込み方法や受験料などの最新情報は、必ずIPA(情報処理推進機構)の公式サイトで確認します。
具体的な手順や持ち物は、年度や運用によって変わる場合があります。申込み時に表示される案内を、必ず確認してください。
働きながら受験する方の最大の壁は、勉強時間の確保です。長時間を一度にとるより、短い時間を毎日積み重ねる方法のほうが、続けやすい傾向があります。
科目Aは、問題数が多く、一問にかけられる時間が短い試験です。分からない問題で立ち止まらず、答えの見当がつくものから進めます。
基本情報技術者は、ITの基礎を学んだ証明として評価されます。ただ、資格だけで合否が決まることはまずありません。面接では、「なぜITに進みたいのか」「学習をどう続けたか」が、必ず確認されます。
当社で2025年8月〜2026年7月に入社した201名(自社集計)のうち、前職がIT以外の方は90%、文系出身の方は92%でした。多くの方が、資格や学習を足がかりに、IT業界へ進んでいます。資格に加えて、次の3点を準備しておくと、評価が安定します。
「合格した」という結果だけでなく、続けた過程を、自分の言葉で話せる状態にしておきます。
試験の直前は、新しい教材に手を出すより、これまで解いた問題の復習に時間を使います。間違えた問題だけを集め直し、「なぜ間違えたか」をもう一度確認します。
直前に完璧を求めると、焦りが出てしまいます。「これまでやってきたことを、出し切る」という気持ちで臨みます。
合格できます。ただし、IT学習が初めての方は、基礎用語・アルゴリズムに慣れるまで時間がかかります。計画的に、毎日少しずつ学習を進めることが大切です。
IPAの統計情報では、令和7年度の合格率は38.3%でした。期によって変動するため、最新の情報は、IPAの公式サイトで確認してください。
ITの全体像から始めたい場合は、ITパスポートが入りやすいです。エンジニアを目指すなら、基本情報技術者のほうが、実務に近い基礎を学べます。知識に自信があれば、基本情報から挑戦しても構いません。
擬似言語の読み方に慣れ、処理を手で追う(トレースする)練習を、毎日短時間でも続けることが効果的です。短い問題から始め、解説を読んで理解してから、次に進みましょう。
学習の継続と基礎知識を示せるため、有利に働く場面があります。ただし、資格だけで合否が決まるわけではないため、成果物・面接での説明とあわせて準備しましょう。
アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。