
インフラ実務が不足していて、Linuxコマンドに自信が持てず不安を感じていませんか?
本記事では、Linuxコマンドの基礎から実務で使う用途別コマンド・効率化テクニック・学習ステップまで体系的に解説します。
この記事を読めば、Linux操作を実務レベルに引き上げ、インフラエンジニアとして評価されるスキルを身に付けられます。

エンジニアにLinuxの知識が求められる理由は、多くのサーバーやクラウド環境でLinuxが動いているからです。そのため、基本的な操作ができるかどうかで仕事の幅が変わります。
Webサービスの多くはLinuxOSのサーバーで動いており、クラウドの環境構築やデプロイでもLinuxの操作が必要です。Linuxを扱えると運用や開発において任される仕事が増えるので、基礎を身に付けておけば、エンジニアとして成長するための土台が強くなります。

Linuxを扱う仕事では、基本的な操作を理解しているだけでも作業の正確さと速さが変わります。特に駆け出しエンジニアの場合、複雑な操作をいきなり覚える必要はなく、土台をしっかり作ることで次のステップに進みやすくなるはずです。
ここでは、Linuxを使ううえで最初に理解しておきたい基礎知識を順に説明していきます。
Linuxコマンドとは、コンピュータに対して「何をしてほしいか」を伝えるための指示文です。文字だけで操作する仕組みであるため画面のボタン操作よりも速く、細かい作業を正確に行なえることから実務で広く使われており、一度覚えると応用しやすいという特徴があります。
監視や運用保守などで行われる、ファイル移動やサーバーの状態確認・サービスの再起動などは、コマンドでも実行可能です。大規模なサービスでも、基本はこのようなコマンドの積み重ねで成り立っているので、Linuxコマンドの基礎を押さえておくと実務での成長も速くなります。
キーボードから直接指示を入力して操作するコマンドラインは、一見むずかしそうに見えますが、仕組みを知るとシンプルで扱いやすいものです。短い文字の組み合わせで多くの操作ができるので、複数のコマンドを組み合わせたり、必要な情報だけを抽出したりと柔軟に使える仕組みが備わっています。
lsのたった二文字でファイル一覧を表示したり、cdで作業ディレクトリを移動したりすることができ、|(パイプライン)を使うとコマンド同士をつないで実行可能です。仕組みを理解すると効率よく作業できるようになり、より高度な使い方にもつながっていきます。
Linuxコマンドは、同じコマンドでもオプションや引数を付けることで動きを変えられます。オプションとは「動作を追加・変更するための記号」で、引数は「対象を指定する情報」です。
ls -l /var/logというコマンドの場合、-lが詳細表示の動作を指定するオプションで、/var/logが表示する対象を指定する引数です。オプションと引数を理解しておくと、コマンドの動きを予測できるようになるため、初めて触るコマンドでも安心して扱えるようになります。また、多くのコマンドは、–helpを使うと使い方を確認できるので、併せて覚えておきましょう。
Linuxでは用途ごとに必要なコマンドが変わるため、操作内容を分類して理解しておくと、どの場面でどのコマンドを使えばいいか判断しやすくなります。基礎的なものからよく使うものまで覚えておくことで、日常的な作業やトラブル対応がスムーズになるはずです。
ここからは、用途別にコマンドを整理し、それぞれの特性や使い方をわかりやすく説明していきます。
ファイル操作のコマンドは、最初に身に付ける価値があるコマンドです。Linuxでの作業におけるすべての土台になり、コマンドで操作できるかどうかで作業時間が大きく変わることもあるからです。
以下の表では、基礎的なファイル・ディレクトリ操作のコマンドをまとめました。作業の正確さを高めるためにも、まずはこの領域をしっかり押さえておきましょう。
| コマンド | 内容 | 実行例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ls | ファイル一覧の表示 | ls -l | -lはオプション |
| cd | ディレクトリ移動 | cd /var/log | /var/logへ移動する例 |
| cp | コピー | cp test.txt backup.txt | test.txtをbackup.txtというファイル名でコピーする例 |
| mv | 移動・ファイル名変更 | mv old.txt new.txt | old.txtをnew.txtというファイル名で移動する例。同じディレクトリ内の操作であるためファイル名がold.txtがnew.txtへ変更される |
| rm | 削除 | rm sample.log | sample.logファイルを削除する例 |
| mkdir | ディレクトリ作成 | mkdir new_folder | new_folderというディレクトリを作成する例 |
テキスト処理のコマンドは、ログ調査や設定ファイルの確認など多くの場面で役立つコマンドです。実務では記録されたログを読む作業も多く、長い内容から必要な部分だけを取り出せるようになると、作業効率が大きく向上するからです。
以下の表では、基礎的なテキスト処理・検索のコマンドをまとめました。問題の発見が早くなり、ログ調査の精度も高まりますので、早い段階で覚えておきたい領域です。
| コマンド | 内容 | 実行例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| cat | 内容表示 | cat /etc/hosts | /etc/hostsファイルの内容を表示する例 |
| less | スクロール表示 | less /var/log/messages | /var/log/messagesファイルをスクロール表示する例 |
| grep | 文字列検索 | grep error app.log | app.logファイルからerrorの文字列を検索する例 |
| tail -f | ファイル末尾の表示 | tail -f /var/log/secure | /var/log/secureファイルの末尾を表示する例 |
| sed | テキスト置換 | sed ‘s/nginx/apache/g’ config.txt | config.txtファイルに含まれるすべてのnginxをapacheに置換する例 |
| awk | 列ごとに抽出 | awk ‘{print $1, $2}’ access.log | access.logファイルの1列目と2列目を抽出する例 |
システムの状態を確認するコマンドは、安定した運用に欠かせないコマンドです。サーバーが遅い・動作がおかしいと感じたときに原因を調べるための基本となり、状態を把握できれば正しい対応につながります。
以下の表では、基礎的なシステム監視・プロセスの管理コマンドをまとめました。使いこなせると、トラブルの兆候に気付きやすくなるため、早い段階から慣れておくと効果的です。
| コマンド | 内容 | 実行例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| top | リアルタイム監視 | top | |
| htop | リアルタイム監視 | htop | インストールが必要 |
| ps | プロセス一覧表示 | ps aux | auxはオプション |
| free | メモリ確認 | free -m | -mはオプション |
| df | ディスク容量確認 | df -h | -hはオプション |
| systemctl | サービス管理 | systemctl status nginx | nginxサービスの状態を確認する例 |
ネットワークの状態確認や権限設定のコマンドは、アクセスに関する問題の調査に必要なコマンドです。通信がうまくいかない場面やユーザー管理が必要な場面で役立ち、扱えるようになると調査の幅が広がります。
以下の表では、基礎的なネットワーク・権限管理のコマンドをまとめました。ネットワークと権限の理解が深まると、サーバー全体の動きも正しく判断できるようになるので、実務での信頼にもつながる領域です。
| コマンド | 内容 | 実行例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ping | 通信確認 | ping 8.8.8.8 | 8.8.8.8への通信を確認する例 |
| curl | Web応答確認 | curl http://localhost | http://localhostへhttpリクエストを行なう例 |
| wget | ファイル取得 | wget https://example.com/file.zip | file.zipファイルを取得する例 |
| ss | ポート確認 | ss -tulnp | grep 80 | -tulnpのオプションで実行した結果一覧から80を含む情報を抽出する例 |
| ip addr | IPアドレス情報確認 | ip addr show | |
| ip route | ルーティング表示 | ip route | |
| chmod | 権限変更 | chmod 755 script.sh | 数字で権限を指定 |
| chown | 所有者変更 | chown user:user file.txt | :の前は所有者、後ろはグループを指定 |
| useradd / passwd | ユーザー作成・パスワード設定 | useradd newuser / passwd newuser | newuser部分はユーザー名を指定 |
日常的な作業では、便利なコマンドを知っているだけで効率が上がります。また周辺作業がスムーズになると作業時間を短縮できるため、メインの作業に集中しやすくなるという効果も期待できます。
以下の表では、よく使う便利なコマンドをまとめました。自然に使えるようになると細かな作業の手間が減らせ実務での作業効率が大きく上がります。
| コマンド | 内容 | 実行例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| date | 日時表示 | date “+%Y-%m-%d %H:%M:%S” | YYYY-MM-DD HH:MM:SS形式で表示する例 |
| tar | 圧縮・解凍 | tar -czf backup.tar.gz folder/ | folderディレクトリをbackup.tarとして圧縮する例 |
| history | コマンド履歴 | history | |
| which | 実行コマンドの場所確認 | which python3 | python3の絶対パスを確認する例 |
初心者が最初に覚えるコマンドを決めておくと、効率よく学習を進めやすくなります。さらに基本操作を身に付けておくことで、ほかのコマンドの理解も早くなるはずです。
以下の表では、初心者が最初に覚えておきたいよく使う便利なコマンドをまとめました。まずは紹介する10コマンドを軸に学習の土台を築いていきましょう。
| コマンド | 内容 |
|---|---|
| ls | ファイル一覧を表示 |
| cd | ディレクトリを移動 |
| cp | コピー |
| mv | 移動・ファイル名変更 |
| rm | 削除 |
| mkdir | ディレクトリ作成 |
| cat | 内容表示 |
| grep | 文字列検索 |
| ps | プロセス一覧表示 |
| top | リアルタイム監視 |


システムを運用していると急に動作が不安定になったり、通信が止まったり、サービスが応答しなくなったりすることも多いです。こうした場面で落ち着いて状況を整理し、順を追って調査していく力があると、実務で頼られる存在になります。
本章では、実務でよくある場面を想定しながら、どのようにコマンドを使って調査を進めていくのかを見ていきましょう。
障害に気付いたときは、状態を整理してから調査を始めることで誤った判断を避けられます。原因を一気に探すよりも、サービスが止まっているのか・サーバーの動作が遅いのか・ネットワークが影響しているのか、と切り分け段階ごとに状況を確かめたほうが正確に進められるからです。
まずuptimeで稼働時間や負荷・systemctでサービスの状態を確認し、併せて、ps auxでプロセスの動作・dfでディスクの空き容量に異常がないかも見ておきましょう。このように情報をそろえながら調査を進める基本の流れを覚えておくと、落ち着いて対応できるようになります。
サーバーの動きが遅いと感じたときは、CPUやメモリへの負荷が増えている可能性があります。CPUやメモリはサーバーの動作の中心であるため、大きな負荷がかかってしまったり、異常が発生したりするとサービス全体に影響が出てしまうからです。
負荷の確認にはtopやhtopが便利で、メモリの状況はfree、ディスクの状態はdfで確認できます。負荷状態の確認手順を知っておくことで、異常に気付くまでの時間を短縮でき、サーバーの安定性が保ちやすくなります。
通信がうまくいかないときは、どの段階でつながらなくなっているのかを確かめることが重要です。焦って作業すると見落としやすいため、基本的な流れを理解しておくと問題の発生地点を正しく判断できるようになります。
通信の確認にはping・ルーティングの確認にはip routeを使い、プロトコルやポートの確認にはcurlやssのコマンドが役立ちます。通信は多くの要素が関係するので、順番に状態確認する流れを押さえておくと、迷わず対応できるようになりトラブル解決に必要な時間も短くなるでしょう。
ログの確認は、トラブルの原因を正しく特定するために大切な作業です。稼働中のサーバーはさまざまな情報を記録しているため、その記録を読むことで何が起きていたのかを正確に把握できるからです。
サービスのログはjournalctlで確認でき、リアルタイムに動きを追う場合はtail -fが役立ちます。大量のデータから特定の文字列を探す場合はgrepも活用するなど、ログを読む習慣が身に付くと問題の根本を見つける力が鍛えられるので、復旧までの流れもスムーズになるはずです。
Linuxを扱う時間が長くなるほど、ショートカットキーの効果を強く感じるようになります。キー操作を覚えるだけでマウスを使わずに操作できるため、作業の集中力が途切れにくくなり作業時間を短縮できるからです。
ここでは、作業効率を劇的に上げるショートカットキーを用途ごとに紹介します。
ショートカットキーのなかでも広く応用が利き、日々の作業が楽になるので特に覚えておきたいものが存在します。カーソル移動や文字の削除を素早く行なえるようになるため、修正の手間も小さくなり、コマンド操作のストレスを大きく減らせるからです。
以下の表では、日常的な作業で必須のショートカットキーをまとめました。コマンド入力に自信を持つためにも、まずは覚えておきたいショートカットキーばかりです。
| ショートカットキー | 内容 | 動作 |
|---|---|---|
| Ctrl + A | 行の先頭へ移動 | カーソルが左端に移動する |
| Ctrl + E | 行の末尾へ移動 | カーソルが右端に移動する |
| Ctrl + U | カーソルより左側を削除 | カーソル位置から行頭までの文字を消す |
| Ctrl + K | カーソルより右側を削除 | カーソル位置から行末までの文字を消す |
| Ctrl + C | 実行中の処理を強制停止 | 誤って実行したコマンドを停止 |
| Ctrl + L | 画面をクリア | ターミナル画面に表示されている実行結果などを一掃する |
テキスト編集を素早く行なうショートカットキーを覚えると、ログ調査や設定ファイルの編集が簡単になります。文字の多いファイルを扱う場面で効果が大きく、編集作業のスピード向上や読みたい部分へ一気に進めるショートカットキーは作業時間を短くできます。
以下の表では、テキスト編集で役立つショートカットキーをまとめました。文字単位ではなく単語レベルで操作できるので、テキスト作業が多い人にとって覚える価値が高いショートカットキーです。
| ショートカットキー | 内容 | 動作 |
|---|---|---|
| Alt + B | 単語単位で左に移動 | 一つ前の単語へ移動 |
| Alt + F | 単語単位で右に移動 | 一つ後ろの単語へ移動 |
| Ctrl + W | 直前の単語を削除 | 間違った単語を削除 |
| Ctrl + Y | 直前の削除を元に戻す | Ctrl + W で消した単語を復元 |
| Ctrl + T | カーソル周辺の文字入れ替え | 隣り合う文字を入れ替える |
コマンド履歴を使いこなせると、過去に入力した内容を素早く呼び出せるようになります。Linuxは過去の入力を自動で保存しているため、履歴を活用することで何度も同じコマンドを入力する必要がなくなるとともに、入力ミスを防ぐ効果もあります。
以下の表では、コマンド履歴を活用するためのショートカットキーをまとめました。同じ作業を何度も行う場面で負担が減り実務でも安定して操作できるようになるので、ほかのショートカットキーと併せて利用してみましょう。
| ショートカットキー | 内容 | 実行例・動作 |
|---|---|---|
| history | 入力履歴を一覧表示 | history | grep sshでsshの文字列を含む入力履歴を抽出 |
| ↑ / ↓ | 履歴の呼び出し | コマンド履歴が一つずつ表示される |
| Ctrl + R | 履歴の検索 | Ctrl + Rで検索モードへ移り、呼び出したいコマンドの文字列を入力 |
| !n | 履歴番号のコマンドを再実行 | !5で履歴5番目のコマンドを実行 |


Linuxを使いこなすためには、いきなり難しい内容に進むよりも順序を決めて学ぶことが大切です。基本を固めてから応用へ進む流れを作ることで、無理なく理解が深まり実務で使える力が身に付きやすくなるからです。
ここからは、学習の具体的なステップや練習環境の構築方法、学習における注意点について説明していきます。
Linuxを学ぶときは、基本的なコマンドから順に身に付ける方法が最も効率的です。基本操作を理解していない状態で応用に進んでしまうと、操作の意味がつかみづらくなり覚えるのが難しくなってしまいます。
具体的な優先順位としてまずはファイル操作系、次に検索やテキスト処理系、そしてプロセス管理系を覚えると理解しやすいです。慣れてきたらネットワークや権限管理のコマンドへ移る流れで学習すると、段階的に理解が深まり、実務に近い操作にもスムーズに対応できるようになります。
練習環境は、安心して操作できる場所を得るために重要です。誤って操作しても問題のない環境であれば、実際に手を動かしながら気軽にコマンドを試せるので、理解も早くなり手が動きを覚えていきます。
ここでは、おもな練習環境の構築方法として考えられる、クラウド環境・ローカル環境・オンラインサイト、それぞれの特徴を解説します。
クラウド環境は、インターネット接続があればいつでもどこでも練習できる点が魅力です。必要なスペックを選んで自由に環境を作れ、作った環境を壊しても再作成できるので安心して気軽に操作可能です。
代表的なクラウドサービスでは、AWS(Amazon Web Services)のLightsailやGC(Google Cloud)・Microsoft AzureなどでLinuxインスタンスを立ち上げれば、コマンドを自由に試せます。クラウド環境での練習は実務と近い形で操作できるため、現場でのイメージがつきやすくなり、クラウドに慣れておけばインフラの理解にもつながります。
ローカルのパソコンに仮想環境を作る方法は、インターネットがなくても使える便利な練習方法です。ネットワークの影響を受けず自分専用の環境を作れるので、自由に設定を変えたり壊したりしながら理解を深められます。
VirtualBoxを活用して作成した仮想環境にLinuxをインストールすれば、Linux上でのコマンド練習をはじめられ、スナップショット機能を利用すれば失敗しても簡単に元の状態へ戻せます。ローカル環境は、自分のペースでじっくり学習したい人に向いており、基礎力を高めるのに最適です。
オンライン練習サイトや教材は、準備なしですぐに学習できる点が強みです。ブラウザだけで練習できるので、手軽に始めたい人や環境を準備する時間がない人に向いており、手順の説明を受けながら練習できるため、途中でつまずきにくいという特徴もあります。
サイトによっては、コマンドを入力して結果を確認できるサービスや問題を解きながら覚えていく教材が用意されている場合もあります。教材の内容をオンラインの練習サイトで試す、といった使い方も可能なので、すき間時間の学習に向いているといえるでしょう。
Linuxの学習では基礎が足りないまま応用に進むと、仕組みが理解できずつまずいたり、間違いを起こしてしまったりします。間違いが起きる理由は、コマンドだけを覚えて動作の意味まで理解できていないケースが多いからです。
ファイル削除コマンドを誤って使ったり、重要な設定ファイルを上書きしたりするミスはよくあり、権限管理を誤るとアクセスできないトラブルに発展してしまいます。本番環境でのトラブルを避けるためにも、まずは安全な環境でコマンドの意味を理解しながら学ぶことで、失敗を減らしながら成長可能です。

Linuxのスキルは、転職市場や現場での評価に直結します。駆け出しエンジニアの場合、どのレベルまで習得すれば実務で通用するのかイメージしにくいことも多いですが、採用側は基礎操作だけでなく調査力や問題解決の姿勢も見ているからです。
本章では、実務で求められるスキルの基準を整理しながら、どのように学習を進めれば評価されるのかを説明します。
転職の場面では、どの程度Linuxを扱えるのか具体的に説明できれば評価につながります。基礎操作がスムーズに行なえるほど実務に入りやすくなるので、コマンドの意味を理解して使える状態が求められるからです。
なかでも評価されやすいスキルとしては、ログ調査やプロセス管理・ネットワーク確認などがあげられるため、grep・systemctl・psといったコマンドを用いて状況を説明できると信頼を得やすいです。基礎を押さえたうえで、自分の経験を言語化できれば転職での強みにできるので、扱ったコマンドや調査経験を整理して伝えられるようにしておきましょう。
現場で働くエンジニアが重視するのは、よく使う基本コマンドを確実に扱えるかという点です。基本のコマンドが理解できていると多くの実務作業に応用できるので、まずは基本を強くすることが大切です。
推奨されるコマンドは、ファイル確認や検索のls・cd・grep、プロセス確認のps・top、サービス管理systemctlに通信確認のping・curlなどがあります。実務での使用頻度が高いこれらのコマンドに加えて、引数まで意識して重点的に練習しておくことで、応用の幅が広がり現場での成長も速まるはずです。
段階ごとに習得すべき内容を整理できるロードマップは、学習の道案内として役立ちます。どの段階で何を身に付けるかが明確になるので、途中で挫折しにくくなり学習内容の理解が安定するからです。
一般的なロードマップとしては、まずファイル操作や検索を習得し、次にプロセス管理やログ調査へ進みます。その後、ネットワーク操作や権限管理を覚え、最終的に設定変更と簡単な自動化へ進む形があげられます。自分のレベルを確認しながら進めると、必要な知識が整理できてより確実にスキルが身に付くため、着実に成長していくための指標にしておくのがよいでしょう。
実務で役立つ基本コマンドを見つけたあとは、業務を効率化する応用スキルが大きな強みになります。応用力があると、単純作業だけでなく改善や提案にも携われるようになり、評価が高まるからです。
ここでは、基本から一歩踏み込むための応用テクニックを紹介します。
自動化は実務で非常に価値のあるスキルです。日々の作業で発生する作業をスクリプトにすることで、時間の短縮とミスの低減が可能になるからです。
自動化される代表的なタスクはバックアップ作成やログ整理などがあげられます。#!/bin/bashから書き始め、cpやgrepのコマンドを組み合わせれば、手作業を代行する簡単なスクリプトの作成が可能です。簡単な処理でも自動化できると、作業効率が向上でき、同時に作業品質を高める力も身に付きます。
ログを効率よく読み取るには、複数のコマンドを組み合わせる力が欠かせません。ファイルによっては数百行に達するほどの文字列が記録されている場合もあるため、必要な情報を見つけ出し整形できるようになると分析の精度が上がるからです。
具体的には、grepでエラー行を抽出しawkで必要な列だけを見る方法や、tail -fとgrepを組み合わせてリアルタイムに監視する方法などがあります。コマンドを組み合わせて使えるようになると、分析力が高まり問題解決のスピードが向上するので、現場で頼られる存在として評価されやすくなります。
運用を安全に行なうための知識として、権限管理は特に重要な部分です。なぜなら、設定を誤るとアクセス不能などの思わぬトラブルや情報の漏えいにつながる可能性があるからです。
権限の確認にはls -l、設定にはchmodやchownを使用し、最低限必要な権限だけを与える最小権限を基本にします。また、重要な設定変更では必ずバックアップを取ることも忘れずに行ないましょう。
権限を正しく扱えるようになると、安全で安定した運用が可能になります。システム化が進む近年では、リスクを最小限に抑えるためにも権限管理が欠かせないスキルといえるでしょう。
まとめ
Linuxの学習は難しく見えるかもしれませんが、基礎を一つずつ身に付ければ確実に成長できます。実務では状況に合わせて使いこなす力が求められるため、本記事で紹介した用途別のコマンド一覧や活用例を参考に練習することで、実務経験が不足していても自信を持ってサーバーを触れるエンジニアへ近づけます。
次のキャリアを切り拓くためにも、まずは安心して練習できる環境の構築から始めてみてください。動作を確認しながらコマンドを実行すれば、難しそうに見えるLinux操作も、できることが増えて楽しいと思えるようになるはずです。
