
目次
本当に未経験でもチャンスがあるの?
プログラミングって難しそう…
今からITエンジニアに転職できるのかな?
そんな不安や疑問を抱えながらも、ITエンジニアへの転身に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、最新のデータと市場動向から見た「未経験からITエンジニアになれる可能性」をご紹介します。未知の世界に踏み出す第一歩を後押しする情報をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
結論から言うと、未経験からITエンジニアを目指す今はとても良いタイミングなんです。なぜなら、IT業界では現在、深刻な人材不足が続いているからです。
経済産業省が2019年に公表した調査報告書によると、2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足すると予測されています。この数字、想像以上に大きいと感じませんか?つまり、今後もIT人材の需要は高まり続ける見込みなのです。
さらに心強いのは、多くの企業が未経験者の採用に前向きな姿勢を示していることです。転職市場を見ても、エンジニア職の求人倍率は7.10倍と、全職種平均の2.46倍を大きく上回っています。これは、1人の求職者に対して約7件の求人があるということ。他の職種と比べても、圧倒的に求人が多い状況が続いているのです。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」
DXと呼ばれるデジタル変革の波が全業界に広がり、IT技術の活用は今やどの企業にとっても必須になっています。こうした背景から、ITエンジニアの需要は今後も高まり続けることが予想されるのです。
一方で、ネット上では「未経験エンジニアが増えすぎている」という声も見かけます。こんな声を聞くと不安になりますよね。でも、実態はどうなのでしょうか?
確かに、未経験からITエンジニアを目指す人は増えています。その背景には以下のような要因があります。
プログラミングスクールの急増
リスキリング(学び直し)や副業の普及に伴い、短期間でIT技術を身につけようとする人が増えています。オンライン学習の発展も、誰でも気軽にプログラミングを学べる環境を作り出しました。
「未経験歓迎」の求人の増加
企業側も人材不足を補うため、未経験者の採用に積極的になっているのです。ITエンジニア職の「職種未経験歓迎求人」は右肩上がりで増加しています
こうした要因から「未経験エンジニアが増えている」という事実はあります。しかし、それはIT業界の入り口が広がっているということであり、チャンスが減っているということではないのです。
実際、DX白書2023によると、「大幅にIT人材が不足している」と回答した企業は2021年度の30.5%から2022年度には51.7%へと急増しています。つまり、単に人数が不足しているだけでなく、企業が求める「質」が高まっているのです。
未経験からITエンジニアを目指すなら、基本的なスキルをしっかり身につけ、自分の強みを活かせる分野を見つけることが大切です。
自分の年齢でも未経験からITエンジニアになれるの?
この疑問をお持ちの方も多いはず。年齢によってチャンスに違いはあるのでしょうか?
20代の方へ
20代は未経験からのチャレンジに最も適した時期です。多くの企業が柔軟性やポテンシャルを重視して採用を行うため、意欲や学習能力をアピールすることでチャンスが広がります。特にIT企業の新卒採用では、文系出身者も多く受け入れられており、入社後の教育体制が整っていることも多いです。
30代前半の方へ
30代前半でも、未経験からITエンジニアを目指すチャンスは十分にあります。この年代の強みは、前職での経験や培ってきたビジネススキルです。例えば、営業職ならコミュニケーション能力や顧客理解、事務職なら正確性や効率化の視点など、これまでの経験をITスキルとどう結びつけられるかがポイントになります。
大切なのは、年齢よりも「学び続ける姿勢」と「自分の強みを活かせる分野を見つけること」です。IT技術は常に進化し続けているため、どの年代でも学習意欲が高く、自己研鑽を続けられる人材は価値があります。
未経験からITエンジニアを目指す場合、気になるのは年収ではないでしょうか?現実的な年収相場を知っておくことで、将来の見通しが立てやすくなりますよ。
未経験エンジニアの初任給・初年度の年収相場
最初は決して高くない年収からのスタートかもしれませんが、嬉しいことにITエンジニアは経験を積むことで年収アップの可能性が高い職種です。2〜3年の経験を積むと年収400万円台、5年以上のキャリアになると500万円以上も決して珍しくありません。
特にSES企業では、初年度の年収は低めの傾向がありますが、経験を積みながらスキルアップすることで、より良い条件の案件や直請けの案件を担当できるようになり、年収アップにつながっていきます。
IT・通信系エンジニアの職種別平均年収(経験者含む)は以下の通りです:
長期的なキャリア形成を考えると、プロジェクトマネージャーなどの上流工程に携わるポジションも視野に入れるとよいでしょう。経済産業省のデータによると、プロジェクトマネージャーの平均年収は約890万円と高水準です。
未経験からのスタートでも、着実にスキルを積み上げながらキャリアを形成していけば、将来的に高収入を得られる可能性は十分にあります。大切なのは、最初の一歩を踏み出し、継続的に学び続ける姿勢です。
IT業界の人材不足は今後も続く見込みであり、スキルを持った人材の価値は年々高まっています。未経験からでも、あなたの可能性を広げるチャンスが待っているのです。
未経験からITエンジニアになりたいけど、何から始めればいいの?
どんな勉強法が効率的?
そんな疑問を抱えていませんか?IT業界への転身は準備次第で十分実現可能です。ここでは、未経験からITエンジニアを目指す方のための5つの重要ステップをご紹介します。
未経験からITエンジニアを目指すなら、まず自分に適した職種を見つけることが第一歩です。「ITエンジニア」には多様な職種があり、自分の強みや性格、興味に合った選択が学習効率を高めます。
自己分析のポイントは3つです。
前職の経験や特技の棚卸し
営業経験なら顧客折衝スキル、デザイン経験ならUI/UX設計など、既存のスキルを活かせる可能性を探りましょう。
性格や思考パターンの理解
細部にこだわるタイプなら品質管理、全体を俯瞰するのが得意ならプロジェクトマネージャーなど、適性のある職種が見えてきます。
興味ある分野の特定
IT業界に詳しい転職エージェントへの相談も効果的な方法です。専門的視点からあなたの適性を判断し、最適な職種を提案してくれるでしょう。
次のステップはIT業界で働くための基礎知識の習得です。どんな職種でも、コンピュータの基本的な仕組み、ネットワークの基礎、データベースの基本などの知識が必須となります。
これらを効率的に学ぶには「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」の教材活用がおすすめです。資格取得が目的でなくても体系的に学べるからです。Udemyやドットインストールなどのオンライン学習サービスも、初心者には取り組みやすい選択肢です。
まずは広く浅く知識を得ることを意識し、全体像を掴むことに集中しましょう。
基礎知識を身につけたら、実践的なスキルを磨く段階です。特に重要なのは、目指す職種に関連する言語や技術から学び始めること。例えば、Webエンジニアなら「HTML/CSS」と「JavaScript」、アプリ開発なら「Swift」や「Kotlin」など、目的に合わせた学習が効率的です。
プログラミング学習を効果的に進めるには、インプット学習(書籍やオンライン講座で基本を学ぶ)、アウトプット学習(実際にコードを書いて動かす)、プロジェクト型学習(簡単なアプリやサイトを自作する)の3つのアプローチを組み合わせるとよいでしょう。
特に未経験者には、プログラミングスクールの活用がおすすめです。厚生労働省の調査によれば、IT職種への転職に成功した未経験者の約45%が何らかの教育機関を活用しています。独学での挫折リスクを減らし、効率よく学習を進められる点が大きなメリットです。
また、プログラミング言語を選ぶ際には、「よくわからないからなんとなく選んだ」や「調べたら需要がありそうだから選んでみた」といった理由ではなく、それぞれの言語の特徴や用途をきちんと理解した上で選ぶことが大切です。どの言語がどのような分野に向いているのかについては、下記コラムで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
プログラミング言語とは?種類別に特徴やできることをわかりやすく解説 | 侍エンジニアブログ
スキルを身につけたら、自分をアピールする材料を準備しましょう。未経験者にとって最大の武器となるのが、ポートフォリオ(作品集)です。
実務経験がなくても、自分自身のWebサイトやブログの作成、実用的なアプリやWebサービスの開発(TODOリストや計算機など)、学習記録や技術ブログの執筆(QiitaやMediumへの投稿)などで魅力的なポートフォリオを構築できます。
ポイントは「量より質」です。1つでも完成度の高い作品があれば、それだけで技術力や姿勢をアピールできます。コードの可読性や設計の美しさにも注意を払いましょう。
また、企業の採用担当者に「ポートフォリオのレベルが低い…」と思わせない方法をこちらで解説しております。
基礎的なプログラミングスキルを身につけ、ポートフォリオが1〜2点完成したら、転職活動を始めるタイミングは十分です。「もっと勉強してから」と完璧を求めすぎず、実務で学びながら成長する姿勢も大切です。
転職活動成功のポイントは、IT特化型の転職エージェントの活用、説得力のある自己PRと志望動機の準備、ポートフォリオの説明準備です。作品の意図や工夫した点、苦労したポイントなどを詳しく説明できるようにしておきましょう。
未経験者採用に積極的な企業の特徴も知っておくと良いでしょう。教育体制が整っている企業やスタートアップ、SES企業などは、未経験者の採用に前向きな傾向があります。
未経験からITエンジニアへの道は、一歩ずつ着実に準備を進めれば必ず開けます。テクノロジーの進化とともにIT人材の需要は高まり続ける今、あなたの新たなキャリアの扉を開いてみませんか?
未経験からITエンジニアを目指したいけど、どの職種が自分に合うのかわからなかったり、ITエンジニア=プログラミングというイメージをお持ちの方は多いと思います。
また、IT業界に興味はあるものの、どこからキャリアを始めるべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。実は、ITエンジニアと一言で言っても、多様な職種があり、それぞれに必要なスキルや適性が異なります。ここでは、未経験からでも比較的挑戦しやすいITエンジニア職種をご紹介します。
未経験者が最も挑戦しやすいと言われるのが、テストエンジニアです。開発されたソフトウェアやシステムが正しく動作するかを確認し、品質を保証する重要な役割を担います。
テストエンジニアの魅力は、高度なプログラミング技術がなくても始められる点です。求められるのは「細部に気を配る正確さ」「論理的思考力」「問題を見つける観察力」です。普段から「このアプリ、ここが使いにくいな」と気づける方や、「このパターンだとどうなるんだろう」と様々なケースを考えるのが得意な方に向いています。
基本的なITの知識(開発の流れやテスト手法など)を身につければ、テスト計画の作成、テストケースの設計、バグの報告書作成などの基本スキルは比較的短期間で習得できます。キャリアを積んだ後は、テスト自動化エンジニアや品質管理マネージャーなど、より専門性の高いポジションへのキャリアアップも可能です。
ITエンジニアと聞いて真っ先に思い浮かぶのが、プログラマー(コーダー)ではないでしょうか。設計書に基づいてプログラミング言語を使いコードを書く仕事です。
未経験者がプログラマーを目指す場合、最初は基本的なプログラミング言語の習得から始めることになります。Java、PHP、JavaScript、Pythonなどの比較的初心者に取り組みやすい言語がおすすめです。これらは需要も高く、学習リソースも豊富なため、独学でも進めやすい言語です。
プログラマーとして成功するためのポイントは、「コードを書く力」だけでなく「エラーを解決する粘り強さ」です。未経験からプログラマーになった方々の共通点は、「小さなプログラムを実際に作り上げる経験を繰り返した」ことです。
また、IT業界は技術の移り変わりが激しいため、常に新しい技術をキャッチアップし続ける姿勢が不可欠です。多くのプログラマーは業務時間外にも自己学習に取り組み、知識を更新し続けています。
将来的にプロジェクトマネージャー(PM)やシステムエンジニア(SE)を目指すなら、プログラミングスキルだけでは不十分です。PMには予算・スケジュール管理能力やチームマネジメントスキル、SEにはシステム設計の知識やビジネス要件を理解する力も求められます。
初めはシンプルなWebサイト制作など小規模な業務から始め、経験を積んで複雑なシステム開発へと進みます。技術スキルとビジネススキルの両方を計画的に身につけていくことが長期的な成功への鍵です。
インフラ系と呼ばれるサーバー/ネットワークエンジニアも、未経験からのスタートに適しています。システムの基盤となるサーバーやネットワークの構築・運用・保守を担当します。
この職種の魅力は「安定性」と「将来性」です。クラウド化が進む中でも、基盤となるインフラ技術の需要は常に高く、長期的に活躍できる分野です。特にAWSやAzureなどのクラウドサービスの知識があれば、市場価値はさらに高まります。
向いているのは「システム全体を俯瞰して見ることが好き」「トラブルシューティングが得意」「安定性と信頼性を大切にしたい」という方です。未経験から始める場合、ネットワークの基本(TCP/IPなど)やサーバーOSの基礎知識(LinuxやWindowsServerなど)の学習がおすすめです。CCNA(Cisco認定ネットワークアソシエイト)などの資格取得も転職に有利です。
テストエンジニア向け学習ロードマップ
プログラマー向け学習ロードマップ
サーバー/ネットワークエンジニア向け学習ロードマップ
未経験からITエンジニアを目指す場合、自分の適性や興味に合った職種から始めることで、挫折せずに成長できる可能性が高まります。まずは自己分析をしっかり行い、「これなら続けられそう」と思える分野から挑戦してみてはいかがでしょうか。
どの職種も最初は基礎からのスタートですが、一歩ずつスキルを積み上げていけば、必ず道は開けます。あなたの新たなキャリアの第一歩を、ぜひ踏み出してみてください。
未経験からITエンジニアになれるのかな…
実際に転職成功した人はどんな道のりを歩んできたのだろう?
そんな不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、様々なバックグラウンドを持つ方々が未経験からITエンジニアへと転身し、活躍しています。ここでは実際の成功事例から、あなたの転職活動のヒントを見つけていきましょう。
文学部出身のFさんは、大学時代にプログラミングに触れた経験がまったくありませんでした。地元のスーパーに就職し約2年9ヵ月、成長を実感できない日々に物足りなさを感じていました。
アピールポイント
・コミュニケーション能力
・部門責任者(スーパー)での利益率の増加に貢献に向けた取り組み
「最初は用語すら分からず、先輩の会話についていけず悔しい思いをしました」と当時を振り返るFさん。しかし、資格取得に力を入れたことで1年弱で年収が50万円ほどアップしたようです。また、基礎知識とスキルを身につけたことを評価され、入社1年も経たずサーバー構築プロジェクトにアサインされ、インフラエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたのです。
Fさんが成功できた理由
・分からないことは素直に質問する姿勢
・毎日の業務記録
・学習の習慣化
「最初は質問するのも緊張しましたが、先輩方は丁寧に教えてくれました。また、業務でやったことをすべてメモし、後で復習したことが技術の定着に役立ちました」
IT業界の専門知識がなくても、コミュニケーション能力など自分の強みを活かす道は必ずあるのです。
製造業からIT業界へ転身したTさんの事例も参考になります。品質管理の仕事に従事したあと、「もっと創造的な仕事がしたい」という思いからWeb開発エンジニアへの転職を決意しました。
異業種からの転職には様々な壁がありましたが、「やりたいと思っていたことが実現できそうだと確信できたので、迷わず挑戦することにしました」とTさん。
アピールポイント
・業務に対して主体的に取り組む姿勢
-ExcelのVBAを使って、2時間かかっていた作業を30分程度で完了できるように自動化
-PythonでOCRツールを作成
製造業で培った品質管理の知識を活かし、開発エンジニアとしてキャリアをスタートさせたのです。「不具合を見つけ出す論理的思考は、前職で身につけた強みでした。
また、Tさんは業務外でも積極的に学習を続けたことが功を奏したと言います。エンジニアとしてのキャリアをスタートさせ、さらに成長意欲の強いTさんは、3年後や5年後には、周りから『頼れるエンジニア』として認めてもらえるように業務の中で目標を設定し、それを着実に達成していきたいと今後の目標について語っています。
すべての転職が順調に進むわけではありません。プログラミングスクールを卒業後も半年間内定が得られず、苦しい時期を経験した方々も少なくありません。実際、未経験からの転職活動では多くの人が「面接で技術的な質問をされると、緊張のあまり頭が真っ白になってしまう」という壁にぶつかります。実力はあるのに、それをうまく伝えられない悔しさを感じる方も多いのです。
しかし、こうした挫折を乗り越えて成功に至った方々の経験からは、貴重な学びがあります。
成功への転機となった対策
挫折から学んだ教訓
同じ悩みを持つ仲間の存在を知るだけでも気持ちが楽になり、彼らの成功体験は具体的な道標となってくれるのです。
未経験からのエンジニア転職は決して簡単な道のりではありませんが、これらの教訓を胸に、適切な準備と粘り強い挑戦を続ければ、必ず道は開けます。自分の強みを活かした転職戦略を考え、一歩踏み出してみませんか?
未経験からITエンジニアになれても、その先はどうなるの?
長く活躍するためには何が必要?
IT業界への第一歩を踏み出そうとするとき、このような将来に対する疑問や不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
未経験からITエンジニアを目指す方にとって、転職後のキャリアパスを見据えることは、モチベーション維持や目標設定の面でも重要です。ここでは、未経験入社から段階的にどのようにスキルを伸ばしていけばよいのか、長期的な視点でのキャリア構築戦略をご紹介します。
未経験からITエンジニアとして入社すると、最初は基礎的な業務からスタートし、徐々に責任ある仕事を任されるようになっていきます。一般的なスキル成長の道筋を時期別に見ていきましょう。
入社1年目:基礎固めの時期
入社直後は「分からないことだらけ」という状態が続くかもしれません。この時期は基本的な業務フローの理解や、チームでの仕事の進め方、開発環境の使い方など、ITエンジニアとして働くための基礎を身につける大切な期間です。
この時期のポイントは「吸収力」です。分からないことは素直に質問し、先輩エンジニアのコードやアプローチ方法を積極的に学びましょう。また、業務で使用する開発言語や環境について、基礎から体系的に学ぶことも重要です。
入社3年目:一人前への成長期
3年目になると、基本的な業務は一人で完結できるようになり、小規模な案件のリーダーを任されることもあるでしょう。この時期は「専門性の芽」が育ち始める大切な時期です。自分の得意分野や興味のある技術領域を見つけ、そこに重点的に取り組むことで、チーム内での存在感を高めることができます。
また、技術面だけでなく、顧客との折衝やプロジェクト管理のスキルも少しずつ身につけていくタイミングです。特定の開発言語や技術に関する深い知識を持ち、チームメンバーからの質問に答えられるレベルを目指しましょう。
入社5年目:専門家としての確立期
5年目ともなれば、一つの技術領域でエキスパートと呼べるレベル、あるいはプロジェクトリーダーとして全体を見渡せるレベルに成長している方が多いです。若手エンジニアの育成や、難易度の高い技術的課題の解決など、より責任のある役割を担うことになります。
この時期の大きな分岐点は、「技術専門職」と「マネジメント職」のどちらのキャリアパスを選ぶかです。技術を極めるアーキテクトやスペシャリスト、あるいはプロジェクトをまとめるマネージャーなど、自分の強みや志向に合わせたキャリア選択が重要になります。
IT業界で長く活躍するための最大の武器は、継続的な自己学習の習慣です。技術の進化が速いこの業界では、業務時間内だけの学びでは追いつかないのが現実です。多くの現役エンジニアが実践している以下の3つの自己学習の習慣化を参考に今日から実践してみてはいかがでしょうか?
朝型学習の活用
通勤時間や始業前の30分を活用し、技術書を読んだり、オンライン講座で学んだりする方法です。疲れている夜よりも、頭が冴えている朝の時間の方が効率的に学習できるという声も多いです。
小さな目標の積み重ね
「1日30分」「週に2記事」など、小さな目標を設定し、着実に積み重ねる方法は挫折しにくいと言われています。大きなゴールを小さな達成可能な目標に分解し、日々の習慣にしていくことが継続のコツです。
アウトプットを前提とした学習
学んだことを技術ブログにまとめたり、社内勉強会で発表したりするなど、アウトプットを前提にすると理解が深まります。「誰かに説明できる」レベルまで理解することで、知識が定着しやすくなるのです。
ITエンジニアのキャリアにおいて、「深く」と「広く」のバランスは常に悩ましい問題です。専門性を高めるべきか、幅広いスキルを身につけるべきか、その選択によって将来の可能性が大きく変わってきます。
専門性を高める道:スペシャリスト志向
特定の技術領域(例:フロントエンド開発、セキュリティ、AI/機械学習など)を深く極めるアプローチです。市場価値の高い特定の専門スキルを持つことで、その分野では他の追随を許さない存在になれます。
特に、最先端技術(ブロックチェーン、量子コンピューティングなど)の専門家は希少性が高く、高い報酬を得られる可能性があります。ただし、その技術が廃れた場合のリスクも考慮する必要があります。
幅広いスキルを身につける道:ゼネラリスト志向
フロントエンドからバックエンド、インフラまで幅広く理解する「フルスタックエンジニア」や、技術と業務知識の両方を持つ「ビジネスエンジニア」のようなポジションです。複数の領域にまたがる視点を持つことで、全体最適な提案ができる強みがあります。
特に中小企業やスタートアップでは、多様な役割をこなせる人材の重宝されることが多いです。ただし、専門性では純粋なスペシャリストには及ばない場合もあります。
理想的なのは「T字型人材」と呼ばれる、一つの分野で深い専門性を持ちつつ、関連分野にも広く知見を持つバランス型です。例えば、バックエンド開発が専門でありながら、フロントエンドやインフラの知識も持ち合わせているエンジニアは、チームの中でも重宝される存在になるでしょう。
IT業界は常に変化していますが、その変化を先読みし、自分のキャリアプランに組み込むことが長期的な成功の秘訣です。以下のような視点で、5年、10年先を見据えたキャリア設計を考えてみましょう。
技術トレンドの先読み
AI/機械学習、量子コンピューティング、メタバースなど、今後成長が期待される分野に注目し、早めに学習を始めることで先行者利益を得られる可能性があります。IT系のニュースサイトやカンファレンスなどでトレンドをチェックする習慣をつけましょう。
業界知識の蓄積
特定の業界(金融、医療、製造など)の知識を深めることで、その業界特化型のITエンジニアとしての価値を高められます。技術だけでなく、業界特有の課題や規制についての理解があると、より効果的なソリューション提案ができるようになります。
キャリアの節目での自己投資
3年、5年といったキャリアの節目で、思い切った自己投資(留学、資格取得、転職など)を検討するのも一つの戦略です。特に成長著しい海外IT企業での経験や、グローバルな視点は将来の大きな武器になります。
未経験からITエンジニアを目指す道のりは、決して平坦ではありませんが、計画的なスキルアップとキャリア構築によって、着実に成長していくことができます。入社初期の基礎固め、3年目の専門性の芽生え、5年目の専門家としての確立と、段階を追って成長していくイメージを持つことが大切です。
また、IT業界で長く活躍するためには、自己学習の習慣化が欠かせません。朝の時間の活用や小さな目標の積み重ねなど、持続可能な学習スタイルを見つけることが成功の鍵となります。
専門性を深めるか広げるかは、自分の志向や市場のニーズを見極めながら選択すべきですが、理想的には「T字型」のバランスを目指すとよいでしょう。そして、常に将来の技術トレンドや業界動向を見据え、先を読んだキャリア投資を行うことで、変化の激しいIT業界でも長く活躍し続けることができます。
未経験からスタートしても、計画的なスキルアップと成長戦略があれば、ITエンジニアとして充実したキャリアを築くことができます。あなたも自分に合った成長モデルを見つけ、IT業界での新たな可能性を広げてみませんか?