
自社開発は働きやすいホワイトな環境だと聞いて転職を考えているものの、ネット上で「やめとけ」という声を見て不安を感じている人は多いのではないでしょうか。この記事では、自社開発への転職で悩んでいる人に向けて、現場のリアルな厳しさやメリットを解説します。最後まで読むことで、自分が本当に自社開発に向いているかを客観的に判断できるようになります。本記事では、やめとけと言われる理由、転職するメリット、向いている人の特徴、企業の選び方という流れで解説を進めます。


自社開発には独特の厳しさがあり、理想と現実のギャップから入社後に後悔する人がいます。ここでは、どのような要因がエンジニアの不満につながりやすいのかを解説します。
自社開発では、すでに安定して動いているシステムを保守することが多いです。新しい技術を導入すると不具合のリスクが高まるため、古い技術がそのまま使われ続けます。システムを止めることなく稼働させることが求められるサービスでは、技術的な新しさよりも安定性が何よりも重視されるからです。
例えば、最新のフレームワークを使って開発したいと思っても、数年前に導入された古いバージョンのまま業務を進める必要があります。つまり、常に最新技術に触れてスキルを磨きたい人にとっては、技術的な成長が止まっているように感じてしまうということです。この技術的な停滞感が、自社開発はやめとけと言われる大きな原因の一つです。
自社開発のエンジニアは、単に仕様書通りにプログラムを書くだけでは評価されません。どのようにすればユーザーが増えるのか、売上が上がるのかといったビジネスの視点が必要です。会社全体で利益を生み出す仕組みを作ることが最終的な目標だからです。
新機能を開発する場面を想像してみてください。どのような機能を作れば顧客の課題を解決できるのかを、マーケティングや営業の担当者と一緒に議論する時間が多く発生します。この例から言えるのは、プログラミング以外の業務に多くの時間を使うということです。純粋に技術だけを追求したい人にとっては、大きなストレスになります。
同じサービスを長く運営するため、関わるメンバーも固定化される傾向にあります。SESや受託開発のように、プロジェクトごとに人が頻繁に入れ替わることは少ないです。
もしチーム内に価値観の合わない人がいた場合、その関係性が数年単位で続くことになります。部署異動がない小さな企業であれば、逃げ場がなくなってしまうリスクもあります。腰を据えて安定して働ける反面、一度人間関係のトラブルが起きると修復が難しい環境です。
自社サービスの売上は会社の経営に直結するため、成果に対する責任が非常に重くなります。機能を追加した結果、売上が上がらなかった場合は、エンジニアの責任が問われることもあります。納品して終わりという受託開発とは根本的に異なるプレッシャーです。
クライアントからの納期に追われることは少なくても、会社の目標数字に対するプレッシャーは常に存在します。言われたものを作って満足するのではなく、ビジネスとしての結果にコミットすることが求められます。この精神的な負担の重さが、やめとけと言われる理由の一つとして挙げられます。
※受託開発…顧客(クライアント)から依頼を受け、その要望に沿ったシステムやソフトウェアをオーダーメイドで制作すること。

厳しい面がある一方で、自社開発ならではの大きな魅力も存在します。ここでは、自社開発企業で働くことで得られる主なメリットを解説します。
自社開発の最大の魅力は、開発のスケジュールを自社でコントロールできることです。クライアントからの理不尽な納期に追われることが少ないため、計画的に業務を進められます。
例えば、開発途中で急な仕様変更が発生した場合でも、リリース日を延期するという判断を自社で下すことができます。結果として、無駄な残業時間が減り、ワークライフバランスを保ちやすくなります。自分のペースで腰を据えて開発に取り組めるのは、エンジニアにとって大きなメリットです。
エンジニアがサービスの企画段階から深く関与できる点も魅力です。誰に何を届けるのかという上流工程から参加するため、サービスへの愛着が湧きやすくなります。
「こんな機能があったら便利ではないか」という自分のアイデアが、そのままサービスに実装されることもあります。誰かに言われた通りに作るだけでなく、自分の意見を実際の形にできる環境です。モノづくりの本来の楽しさを実感したい人にとっては、非常にやりがいのある環境と言えます。
自分が開発したサービスに対するユーザーの声を、直接聞くことができます。アクセス数や売上といったデータとして、目に見える形で結果が返ってきます。
SNSで「新機能が便利になった」という好意的な意見を目にすると、エンジニアとして大きな達成感を得られます。逆に使いにくいという声があれば、すぐに改善へと動き出すことができます。社会に価値を提供しているという実感を持ちやすいのが、自社開発の強みです。


自社開発の環境で活躍できる人には、いくつかの共通点があります。ここでは、どのような志向を持つ人が自社開発に向いているのかを解説します。
自分が担当するサービスを、中長期的に育てていくことに喜びを感じる人は適性があります。リリースして終わりではなく、運用しながら少しずつ改善を重ねる根気が必要です。
小さなバグの修正や、使い勝手の改善を地道に繰り返すことで、サービスは成長していきます。つまり、一つのプロダクトに長く愛情を注げる人が評価されるということです。自分の仕事がサービスの成長に直結することにやりがいを感じる人に向いています。
プログラミングという枠にとらわれず、様々な業務に挑戦したい人にも向いています。インフラの構築からフロントエンドの実装、さらにはデータ分析まで幅広いスキルが求められます。
例えば、人員が少ないスタートアップ企業では、一人で複数の役割を兼任することが当たり前です。この例からわかるのは、専門性を一つに絞るのではなく、柔軟にスキルを広げていく姿勢が重要だということです。新しい領域への学習意欲が高い人は、現場で重宝される傾向にあります。
※フロントエンド…Webサイトやアプリケーションにおいて、ユーザーが直接目にし、操作する「表面」の部分のこと。
エンジニア以外の職種と積極的にコミュニケーションを取れる人は活躍しやすいです。マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、様々な立場の人と意見を交わします。
ビジネス側の要望を技術的な視点から翻訳し、ぴったりな解決策を提案する力が求められます。自分の意見を分かりやすく伝え、相手の意図を正確に汲み取る能力が不可欠です。チーム全体で協力して目標を達成することに喜びを感じる人に向いています。
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一方で、自社開発の文化に合わず、入社後に後悔してしまう人もいます。ここでは、自社開発への転職を慎重に考えるべき人の特徴を解説します。
とにかく一日中コードを書いていたいという職人気質の人は、自社開発にはあまり向いていません。前述の通り、自社開発では企画やミーティングに多くの時間を割く必要があるからです。
打ち合わせや他部署との調整業務が増えることで、純粋なプログラミングの時間はどうしても減ってしまいます。技術の探求だけに集中したい人にとっては、煩わしさを感じる場面が多くなります。コードを書くこと自体が最大の目的である場合は、別の環境を検討する方が良いでしょう。
常に最新の言語やフレームワークを使って開発したい人も、不満を抱えやすい傾向にあります。自社開発企業では、ビジネスの安定が最優先されるため、技術選定には保守的になります。
新しい技術を導入する提案をしても、「今のままで動いているから必要ない」と却下されることも少なくありません。新しい技術をキャッチアップし、それをすぐに実務で試したいという人にはストレスになります。技術的な好奇心を満たしたい場合は、受託開発や技術力が売りの企業が適しています。
決められた手順通りに、同じ作業を繰り返すことを好む人には向いていません。自社開発では、状況に応じて臨機応変に対応する柔軟性が求められます。
仕様が明確に決まっていない状態から、自分たちで正解を探していくプロセスが必要です。指示を待つのではなく、自ら課題を見つけて解決に向けて動く主体性が不可欠です。与えられたタスクだけをこなしたいという受け身の姿勢では、評価されにくい環境です。


転職活動を進める上で、企業選びの軸を明確にすることが成功の鍵となります。ここでは、入社後のミスマッチを防ぐための具体的な確認ポイントを解説します。
入社前に、その企業がどのような技術スタックを採用しているかを必ず確認してください。自分のキャリアプランに合った技術を経験できる環境かどうかが重要です。
面接の場で、「普段どのようなツールを使ってチーム開発を進めているか」を質問してみると良いでしょう。バージョン管理システムやコミュニケーションツールの使い方を聞くことで、開発体制のモダンさが分かります。古い環境のまま放置されている企業は、エンジニアを大切にしていない可能性が高いため注意が必要です。
※技術スタック…一つのシステムやアプリケーションを動かすために組み合わされた、OS、サーバー、データベース、フレームワーク、プログラミング言語などの「技術の積み重ね(セット)」のこと。
その企業がどのようにして利益を生み出しているのか、ビジネスモデルを理解することも不可欠です。収益基盤が不安定な企業では、エンジニアの待遇も悪くなりやすいからです。
メインのサービスがしっかり利益を出しているか、あるいは将来的に成長する見込みがあるかを見極めます。経営状態が苦しいと、開発にかける予算が削られ、新しい挑戦ができなくなります。長く安心して働くためにも、企業の財務状況や市場での立ち位置を確認しておきましょう。
選考の過程で、実際に現場で働いているエンジニアと直接話す機会を設けてもらいましょう。人事や経営層から聞く話と、現場の実態にはギャップがあることが多いからです。
残業の多さや評価の仕組みなど、気になることを率直に質問してリアルな声を聞き出します。会話を通じて、チームの雰囲気や自分と合いそうかを肌で感じることができます。一緒に働く人の顔が見えることで、入社後の具体的なイメージを掴むことができます。
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自社開発への転職を検討する際、多くの人が共通の疑問を抱えます。ここでは、特に質問されることが多い疑問について回答を解説します。
未経験から自社開発企業へ転職するのは、不可能ではありませんが非常にハードルが高いです。企業側は即戦力を求めており、教育に時間をかける余裕がないケースが多いからです。
転職を成功させるためには、自分でオリジナルのWebサービスを開発して公開するなどの実績が必要です。単にスクールに通っただけでなく、自発的に学び、形にする能力があることを証明しなければなりません。まずはSESや受託企業で実務経験を積み、そこから自社開発を目指すのも現実的な選択肢です。
SESから自社開発へ転職する場合、マインドセットを大きく切り替える必要があります。指示されたものを作るという受託の考え方から、サービスを育てるという事業会社の考え方への転換です。
面接では、「これまでどのようにビジネス課題を解決してきたか」が問われます。技術力だけでなく、顧客の売上向上や業務効率化にどう貢献したかを具体的なエピソードとして語れるように準備してください。主体的に提案し、実行できる人材であることを強くアピールすることが採用の鍵となります。
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この記事の要点
自分に合った環境を見極め、後悔のないキャリア選択を進めていきましょう。
自社開発への転職を検討する際、ネット上の「やめとけ」という言葉に不安を感じることもあるはずです。大切なのは、情報の真偽よりも、その環境が自分の理想のキャリアに合致しているかを見極めることです。キャリアカンパニーでは、企業のリアルな内部情報をもとに、後悔しない職場選びをサポートします。一人で悩まず、まずは現在の考えを相談してみませんか。

アドバイザー
百瀬将悟
大学卒業後、不動産会社に入社。その後、求人広告営業・キャリアアドバイザーを経験。現在は両面型のアドバイザーとIT企業の採用コンサルティングに従事。
採用と転職市場の両方を理解している点を強みとし、「市場価値を高めながら活躍できるエンジニア」になるためのを転職サポート。