

インフラの仕事も悪くないけれど、本当はモノづくりがしたい…
夜間対応のない働き方に変えたい…
――そんな思いを抱きながら、開発エンジニアへの転向を迷っていませんか?
実は、インフラエンジニアから開発エンジニアへのキャリアチェンジは、想像以上に現実的な選択肢です。サーバーやネットワークの知識は、バックエンド開発やDevOps領域で大きな武器になります。
この記事では、インフラ経験を最大限に活かせる開発職種の選び方から、経験年数別の具体的なロードマップ、転職活動の実践ステップまでを詳しく解説します。

「このままでいいのだろうか」――インフラエンジニアとして働く中で、そんな思いが頭をよぎることはありませんか?
実際、インフラから開発へのキャリアチェンジを考えるエンジニアは少なくありません。転職エージェントとして日々ご相談を受ける中で見えてきた、キャリアチェンジを考える3つの理由をご紹介します。
インフラの仕事は確かに重要ですが、ユーザーが直接触れるのはアプリケーションです。「自分が関わったサービスがユーザーに使われている実感」を得にくいと感じる方は少なくありません。
サーバーの構築や運用保守は確かに不可欠な仕事です。しかし、「自分が関わったプロダクトがユーザーに使われている」「機能追加によってユーザーの反応が変わる」といった手応えを感じたいという欲求は、エンジニアとして自然な感情です。
開発エンジニアになれば、自分が書いたコードが直接プロダクトの価値となり、ユーザーの反応を肌で感じられます。この「創造の実感」が、開発職への転向を考える大きな理由です。
インフラエンジニアの働き方には、どうしても避けられない現実があります。それは、24時間365日の運用体制とオンコール対応です。深夜の障害対応や休日の呼び出しは、年齢を重ねるほど負担になります。
一方、開発エンジニアの多くは定時勤務やフレックスタイム制を採用しており、リモートワークの普及も進んでいます。緊急対応が発生するのは主にリリース時やバグ発生時に限られ、日常的なオンコール体制を求められることは少なくなります。
ライフステージの変化――結婚、出産、育児、介護など――に合わせて働き方を調整しやすいのは、開発職の大きな魅力です。
IT業界は変化のスピードが速く、特にインフラ領域ではオンプレミスからクラウドへの移行が急速に進んでいます。実際、オンプレミス環境の保守案件は年々減少しており、求人市場でもクラウド経験が必須条件となるケースが増えています。
開発スキルを身につけることは、キャリアの選択肢を広げる有効な手段です。プログラミングができれば、インフラの自動化(Infrastructure as Code)にも対応できますし、DevOpsやSREといった最新の職種にもチャレンジできます。
「スキルの幅を広げることで、将来的な不安を解消したい」――こうした前向きな動機でキャリアチェンジを検討する方も多いのです。

インフラから開発へのキャリアチェンジを考えるとき、まず押さえておきたいのが両者の違いです。「何となく分かっているつもり」ではなく、仕事内容や使用技術の違いを明確に理解することで、自分がどの方向に進むべきかが見えてきます。
ここでは、インフラエンジニアと開発エンジニアの違いを、仕事内容・技術スタック・キャリアパスの観点から整理していきましょう。
インフラエンジニアは、ITシステムが動くための「土台」を作り維持します。サーバー構築、ネットワーク設計、データベースチューニング、運用監視、障害対応などが主な業務です。
開発エンジニアは、ユーザーが直接利用する「アプリケーション」を作ります。Webサイト、スマホアプリ、業務システムなど、ユーザーが操作する画面や機能を設計・実装し、新機能追加やバグ修正を通じてプロダクトの価値を高めます。
家の建築に例えるなら、インフラは「基礎工事や配管を担当する職人」、開発は「間取りや内装をデザインし作り上げる建築家」です。どちらも不可欠ですが、担当領域と求められるスキルは明確に異なります。
仕事内容の違いは、そのまま使用する技術や言語の違いにも表れます。
インフラエンジニアが扱う技術
・Linux/Windows Server
・TCP/IPなどのネットワーク
・AWS/Azure/GCP
・Docker/Kubernetes
・Terraform/Ansible
・監視ツール(Zabbix、CloudWatchなど)
開発エンジニアが扱う技術
・Python/Java/JavaScript/Ruby/PHPなどのプログラミング言語
・Django/Spring Boot/Reactなどのフレームワーク
・MySQL/PostgreSQLのデータベース操作
・Git/GitHubでのバージョン管理
・REST API開発
インフラは低レイヤーの知識が重視され、開発はロジック構築やアルゴリズムへの理解が求められます。ただし近年は境界が曖昧になり、インフラもコード化(IaC)が進んでいるため、プログラミングスキルの重要性が高まっています。
「今までの経験が無駄になるのでは?」という不安は不要です。インフラの知識は、開発の現場で大きな強みになります。
バックエンド開発では、サーバーやデータベースの仕組みを理解していることが大きなアドバンテージです。「このクエリは負荷が高い」「キャッシュで性能改善できる」といった判断は、インフラ経験者ならではの視点です。
DevOps・SREは開発とインフラの境界線上にあり、CI/CD構築、自動デプロイ、システム信頼性向上など、両方の知識が必要です。クラウドネイティブ開発でも、AWS LambdaやServerless環境ではインフラとアプリの境界が曖昧になり、両方の知識を持つエンジニアが重宝されます。
つまり、インフラから開発へのキャリアチェンジは「ゼロからの再スタート」ではなく、「強みを活かしながらスキルセットを拡張する」戦略的選択なのです。

インフラ経験を持つあなたには、「未経験の世界」ではなく「強みを活かせる新しいフィールド」を選ぶことが重要です。インフラの知識が特に活きる開発職種を5つご紹介します。
バックエンドエンジニアは、サーバーサイドの処理を担当します。データの保存・取得、ビジネスロジック実装、外部サービス連携などを行い、ユーザーの目に見えない部分を支えます。
インフラエンジニアにとって最も親和性が高い選択肢です。データベース設計、クエリ最適化、サーバーメモリ管理、負荷分散など、インフラで培った知識がそのまま武器になります。必要なスキルは、Python/Java/Ruby/Goなどの言語習得、REST API設計、フレームワーク理解です。市場価値は高く、経験を積めば年収600万円〜800万円、リードエンジニアなら1000万円超も可能です。
開発(Development)と運用(Operations)の橋渡し役です。CI/CDパイプライン構築、自動デプロイ、インフラのコード化、監視基盤整備などを担当します。
インフラ経験が「そのまま活きる」のが最大の特徴です。サーバー構築やトラブルシューティングのスキルを持ちながら、Terraform/AnsibleでIaCを実現したり、Jenkins/GitLab CIでデプロイ自動化したりします。必要なスキルは、Docker/Kubernetes、Terraform/Ansible、クラウドサービス、Python/シェルスクリプトです。需要は年々高まり、特にスタートアップでは引く手あまたです。
関連記事:Terraformとは?5分で分かるインフラ自動化ツールの基本
Googleが提唱した職種で、「システムの信頼性を、ソフトウェアエンジニアリングで向上させる」考え方に基づきます。従来の手作業中心の運用から、自動化とコード化によって運用負荷を減らし、可用性を高めます。
インフラ経験を最大限活かしながら開発スキルも身につけられる理想的なキャリアパスです。運用経験があれば、何を自動化すべきかが分かります。必要なスキルは、プログラミング(Python/Go)、システム設計、クラウド運用、監視ツール(Prometheus/Grafana)、インシデント対応です。高度な専門職として年収800万円〜1200万円も珍しくありません。
詳しくはSREエンジニアとは?仕事内容や求められるスキルを徹底解説をご覧ください。
IaC(Infrastructure as Code)を駆使してクラウドインフラを構築・管理する開発寄りの職種です。TerraformやCloudFormationでインフラ構成をコード化し、バージョン管理しながら構築します。
すでにAWS/Azureの知識があるなら、それをベースにTerraformの書き方を学ぶことで、開発寄りのクラウドエンジニアとしてのキャリアが開けます。必要なスキルは、AWS/Azure/GCP、Terraform/CloudFormation、Python/Go、CI/CDパイプライン構築です。市場価値は非常に高く、AWS認定資格があると転職市場で有利になります。
フロントエンドからバックエンド、インフラまで幅広い領域をカバーします。「何でも屋」ではなく、システム全体を俯瞰して設計・実装できる高度な職種です。スタートアップや少人数チームで重宝されます。
インフラ領域ではすでに強みを持っているため、フロントエンドとバックエンドの開発スキルを段階的に習得すれば、システム全体を見渡せるエンジニアになれます。必要なスキルは、フロントエンド(HTML/CSS/JavaScript/React/Vue.js)、バックエンド(Python/Node.js/Ruby)、インフラ(サーバー/ネットワーク/クラウド)です。

経験年数によって、取るべきアプローチは異なります。自分の状況に合った現実的なロードマップを確認しましょう。
3年目までに開発案件へ参画、または開発寄りの業務へシフトすることを目標にしましょう。
まずはプログラミング基礎を固めることが最優先です。PythonまたはJavaを推奨しますが、特にPythonは学習曲線が緩やかで、インフラ自動化にも使えるため一石二鳥です。並行してGitの使い方やLinuxコマンドの深掘りも進めます。社内の開発チームと積極的に交流し、「サーバー監視の自動通知スクリプト」や「ログ集計ツール」など、業務に直結する小さな成果を積み重ねましょう。
学習時間の目安は平日1時間、休日3時間を6ヶ月間です。Progate、Udemy、Paizaなどを活用し、毎日コードに触れる習慣をつけましょう。
関連記事:【駆け出しエンジニア向け】実務で役立つLinuxコマンド一覧完全ガイド
1年以内に転職または社内異動を実現することを目標に、集中的に準備を進めましょう。
志望職種に特化した技術を学びます。バックエンドならAPI開発、DevOpsならDocker/Kubernetes、SREなら監視・自動化ツールです。何より優先すべきは、ポートフォリオ作成です。GitHubで最低3つのリポジトリを公開しましょう。「CRUD操作の簡易Webアプリ」「REST API開発」「インフラ自動化ツール」などが推奨です。完璧を目指さず、「動くもの」を公開する勇気が大切です。
平日2時間、休日4時間を3〜6ヶ月間継続することが目安です。この時期が最も転職に適しており、インフラ経験とプログラミングスキルを組み合わせれば、DevOpsやSREへの道が開けます。
強みを活かした高付加価値ポジションを目指しましょう。
アーキテクチャ設計やDevOps/SRE領域に注力し、量より質の学習に切り替えます。マネジメント経験があれば、技術リーダーやアーキテクトポジションも視野に入ります。OSSへの貢献や技術カンファレンスでの登壇、LinkedInでの技術発信など、コミュニティ活動で存在感を示すことも有効です。
闇雲に学習するより、自分の強みと市場ニーズの交点を見極めることが重要です。転職エージェントに相談し、市場価値を客観的に把握しながら方向性を定めましょう。

キャリアチェンジを成功させるには、計画的な準備と実行が不可欠です。ここでは、転職活動を5つのステップに分けて具体的に解説します。
まず、自分のインフラ経験を言語化しましょう。「サーバー構築ができる」では弱く、「AWS EC2/RDSを使った3層アーキテクチャの構築経験」「月間1000万PVのWebサービスの運用保守」など、具体的な数値や技術名を盛り込みます。
「DevOpsエンジニア」「SRE」などの求人を検索し、「必須スキル」「歓迎スキル」をリサーチします。これにより、市場が何を求めているかが見えてきます。自己分析シートを作成し、強み・弱み・習得すべきスキルを整理しましょう。
「作れる証明」が最も重要です。GitHubアカウントを開設し、最低3つのリポジトリを公開しましょう。
推奨プロジェクト例
・簡単なCRUD操作ができるWebアプリ(To-Doリスト、メモアプリなど)
・REST APIの開発(ユーザー管理API、データ取得APIなど)
・インフラ自動化ツール(サーバー監視スクリプト、ログ集計ツールなど)
完璧を目指さず「動くもの」を公開することが大切です。READMEファイルには、使用技術、実装の意図、苦労した点などを記載し、コードの背景を説明しましょう。
職務経歴書では、インフラ経験を「開発職でどう活かせるか」に翻訳します。
例:
・「Ansibleを使ったサーバー構築の自動化」→「コードでインフラを管理する経験」
・「障害対応で原因調査を実施」→「ログ解析やデバッグのスキル」
・「監視ツールの設定・運用」→「システムの可観測性への理解」
成果は数値化します。「運用負荷を30%削減」「障害対応時間を平均50分から20分に短縮」など、具体的な貢献を示しましょう。
志望動機では、「なぜ開発に転向したいのか」を明確に伝えます。ネガティブな理由(夜勤が嫌、など)ではなく、「ユーザーに価値を直接届けたい」「インフラ知識を活かしてシステム全体の最適化に貢献したい」とポジティブに表現します。
よく聞かれる質問と回答例:
「なぜ開発に転向したいのか?」
回答例:「インフラエンジニアとして3年間、システムの安定稼働に貢献してきました。その中で、開発チームと協業する機会が増え、コードで課題を解決する面白さに気づきました。インフラの知識を活かしながら、ユーザーに価値を直接届ける開発エンジニアとして成長したいと考えています」
「プログラミング経験は?」
回答例:「業務でPythonを使った自動化スクリプトを複数開発しました。また、個人学習としてGitHubで○○というWebアプリを公開しています。(ポートフォリオを提示)まだ学習中ですが、毎日コードを書く習慣をつけています」
技術面接では、基礎的なアルゴリズムやデータ構造の理解を問われることがあります。LeetCodeやAtCoderで練習しておくと安心です。また、インフラの強みをアピールできる質問(「どうやってシステムの性能を改善しますか?」など)では、具体例を交えて回答しましょう。
入社までの期間を有効活用しましょう。配属予定チームの技術スタックを確認し、使用言語やフレームワークの基礎を予習します。会社によっては、事前に学習教材や課題を提供してくれることもあります。
メンタル面では、「最初は学習期間」と割り切ることが大切です。開発未経験での入社なら、分からないことが多くて当然です。質問しやすい関係を早めに築き、積極的にキャッチアップしていく姿勢が評価されます。
キャリアチェンジには不安がつきものです。転職エージェントとして日々相談を受ける中でよく聞かれる質問と、避けるべき失敗パターンをご紹介します。
結論から言えば、30代でも転職は十分可能です。
インフラエンジニアとしての実務経験があれば、業務遂行能力やコミュニケーション力で評価されます。特にDevOpsやSREでは、運用経験を持つ30代が即戦力として歓迎されるケースも少なくありません。
ポートフォリオと学習姿勢を示せれば、年齢に関係なくチャンスはあります。迷っているなら、早めに準備を始めましょう。
一時的に下がる可能性はありますが、中長期では回復・上昇するケースが多いです。
未経験領域への転職の場合、初年度は50万円〜100万円程度下がることもありますが、開発スキルを習得すれば2〜3年で元の水準に戻り、その後は上昇傾向になるのが一般的です。
DevOpsやSREの場合、インフラ経験が評価されるため、年収が大きく下がることは少なく、むしろ上昇するケースもあります。企業規模や業界によっても異なるため、複数社を比較検討することが大切です。
企業や職種によって大きく異なります。
「残業が多い」イメージがあるのは、スタートアップや受託開発企業の一部です。一方、自社サービスを持つWeb系企業や、SRE・DevOpsを採用している企業では、ワークライフバランスが保ちやすい傾向があります。
求人票や面接、口コミサイトで社員の生の声を確認しましょう。面接では「1日の業務スケジュール」や「繁忙期の働き方」を具体的に質問し、実態を把握しましょう。
失敗パターン1:「とりあえず開発」の安易な決断
「インフラより開発の方が楽そう」という理由だけで転職すると、入社後にギャップを感じます。開発には開発の大変さ(仕様変更、バグ対応、コードレビュー、学習の継続など)があります。「本当に開発がやりたいのか」を自問しましょう。
失敗パターン2:学習せずに「ポテンシャル採用」に賭ける
何の準備もせずに応募しても、書類選考で落ちる可能性が高いです。最低限、GitHubで公開できるコードと、基礎的なプログラミング知識は必要です。「入社してから学べばいい」では通用しません。
失敗パターン3:インフラ経験を活かせない職種への応募
フロントエンド専門やゲーム開発など、インフラ知識がほとんど活きない領域に応募するのは非効率です。バックエンド、DevOps、SREなど、強みを活かせる職種を選びましょう。
インフラエンジニアから開発エンジニアへのキャリアチェンジは、決して無謀な挑戦ではありません。サーバーやネットワーク、クラウドの知識は、バックエンド開発、DevOps、SREといった領域で大きな武器になります。
1. 自分の強みを活かせる職種を選ぶ
2. 計画的に準備を進める
3. 不安を恐れず行動する
キャリアチェンジは、一歩を踏み出すことから始まります。インフラエンジニアとしての経験は、決して無駄にはなりません。むしろ、開発の世界で希少価値の高い存在になれる可能性を秘めています。
もし転職活動に不安があれば、ITエンジニア特化の転職エージェントである私たちにご相談ください。市場価値の客観的な評価や、非公開求人の紹介、応募書類の添削、面接対策など、専門性を活かしたサポートを提供いたします。
あなたの次のキャリアが、より充実したものになることを心から願っています。
