COLUMN IT業界

PGとSEの違いとは?未経験からIT転職を成功させる職種選択のポイント

2025.07.03

プログラマー(PG)とシステムエンジニア(SE)の違いって何?

と悩む未経験の方は多いのではないでしょうか。この記事では、IT業界での実際の役割分担から年収差、求人市場での需要まで、転職成功に必要な判断材料を具体的に解説しています。

PG(プログラマー)とSE(システムエンジニア)の基本的な違い

IT業界でよく耳にするPGとSEですが、実際の職場では「どちらがどんな仕事をしているのかよくわからない」という声をよく聞きます。転職を成功させるためには、この2つの職種の違いを正しく理解することが欠かせません。

まずは、それぞれの役割、年収、重要の違いついて知ることから始めましょう。

PGとSEの役割分担

実際の開発現場では、SEとPGは密接に連携しながらシステム開発を進めていきます。

まずSEが顧客との打ち合わせを重ねて要件を整理し、システム全体の設計書を作成します。その設計書をもとに、PGが具体的なコードを書いてシステムを構築していくという流れです。

興味深いことに、現在の開発現場では両者を明確に分けないケースも増加しています。特にアジャイル開発においてはスピードを重視するため、SEとPGを兼任することが多いとされています。これは未経験者にとって、将来的にスキルの幅を広げやすい環境が整っていることを意味します。

年収・待遇面での違い

年収面では、SEの方がPGより高い傾向があります。Geeklyの2024年調査によると、PGの平均年収は約416万円に対し、SEは約551万円と135万円の差があります。これは上流工程を担当するSEの方が、より広範囲の業務責任を負うためです。

ただし、キャリア初期の年収差はそれほど大きくありません。20代前半では、PGもSEも月収20万円前後からスタートするケースが多く、経験を積むにつれて差が開いていく傾向があります。未経験からのスタートでは、まず実務経験を積むことが何より重要で、年収アップは2~3年後の話と考えておきましょう。

求人市場での需要

求人市場では、現在両職種とも非常に高い需要があります。経済産業省の予測では、2030年には最大79万人のIT人材が不足するとされており、特にインフラ系のSEの需要が急増しています。

一方で、PGも決して需要が低いわけではありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、Webアプリケーション開発やシステム改修の案件が増加しており、実装力のあるPGへのニーズも高まっています。特に、クラウド技術やAI関連の開発経験があるPGは、市場価値が非常に高くなっています。

転職エージェントとして企業の採用担当者と日々やり取りする中で感じるのは、「未経験歓迎の求人では、まず現場で実務経験を積めることを重視する企業が多い」ということです。PGかSEかにこだわりすぎず、まずは自分の適性と学習意欲に合った職種を選択することが、長期的なキャリア成功の鍵となるでしょう。

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PGの仕事内容と必要スキル

プログラマーってずっとコードを書いているイメージがある

という方も多いかもしれませんが、PGの実際の業務は想像以上に多岐にわたります。確かにコーディングが中心的な業務ですが、それだけではありません。PGの実際の仕事内容と必要なスキルについて、具体的に見ていきましょう。

プログラマーの1日の業務フロー

プログラマーは基本業務に加え、チームコミュニケーションや学習時間の確保も重要とされています。そんなプログラマーの1日の流れを見てみましょう。

PGの1日の流れ

:ミーティング
午前中:設計書の確認と実装予定の整理
    コーディング作業やバグ修正・テスト
午後:テストやデバッグ中心、エラーの特定と修正を繰り返す
終業前:進捗報告と翌日の作業計画を立てる

PGに求められる技術スキル|言語習得の優先順位

プログラマーにとって最も重要なのは、プログラミング言語の習得です。需要の高い言語として JavaScript、Python、SQL、TypeScript、Go、Swift が上位にランクインしています。

未経験者がまず習得すべき言語として、Web開発において必須の言語であるJavaScriptです。次に学ぶべきはPythonで、初心者におすすめの言語として1位にランクインしています。

転職エージェントとして企業と接する中で感じるのは、「1つの言語を深く理解している人材の方が、複数言語を浅く知っている人材より評価が高い」ということです。まずは1つの言語でしっかりとした実装力を身につけることが、キャリア形成の近道となります。

PGのやりがいと向いている人の特徴

プログラマーの最大のやりがいは、自分が書いたコードが実際に動作する瞬間にあります。難しい課題をクリアしてプログラムが動いたときの達成感が、プログラマーの大きなモチベーションになっているとされています。

プログラマーに向いている人の特徴
・最新技術に興味がある
・トライ&エラーを苦痛に感じずに集中力を発揮できる
・数字やアルファベット/記号の羅列を見るのが苦でない

重要なのは、完璧主義すぎないことです。プログラミングは試行錯誤の連続であり、最初から完璧なコードを書ける人はいません。むしろ、「うまくいかなくても粘り強く取り組める」「新しいことを学ぶのが好き」という姿勢の方が、長期的な成長につながります。

転職相談を受ける中で、「論理的思考力がないとプログラマーになれないのでは?」という不安をよく聞きますが、これは後から身につけることができるスキルです。むしろ重要なのは、ものづくりへの興味と継続的な学習意欲です。これらの特性があれば、未経験からでも十分にプログラマーとして活躍できる可能性があります。

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SEの仕事内容と必要スキル

システムエンジニアって具体的に何をしているの?

という疑問をよく聞きます。SEの仕事は確かにプログラマーよりも分かりにくい面がありますが、実はIT業界の要となる重要な役割を担っています。システム全体を俯瞰して設計・管理するSEの仕事内容と、求められるスキルについて詳しく見ていきましょう。

システムエンジニアの業務範囲

SEの最大の特徴は、システム開発の全工程に関わることです。SEの仕事内容は多岐にわたり、要件定義から設計、開発、テスト、運用まで幅広い業務に携わるとされています。

具体的な1日の流れを見てみましょう。

SEの1日の流れ

朝:ミーティングで1日の作業計画を立てる
午前中:集中力が必要な作業(設計書の作成など)に取り組む
午後:顧客との打ち合わせやチーム内での進捗共有が中心
1日の締め:進捗報告を行う

転職エージェントとして転職希望者の話を聞いていると、「要件定義段階でのミスコミュニケーションが、後々大きな問題になる」ケースが多々あります。そのため、最初の要件定義と設計段階でのSEの役割は極めて重要なのです。

SEに必要な技術力と非技術力

SEに求められるスキルは、技術力だけではありません。むしろ、コミュニケーション能力が9割とも言われるほど、非技術力が重要視されています。SEの仕事はコミュニケーション能力が9割で、お客さんが何を実装したいのか、どういった機能を付けたいかを聞き出す能力が最も重要と指摘されています。

SEに求められるコミュニケーションスキルは主に4点あります。
・技術と業務を橋渡しするスキル
・非技術者にもわかりやすく説明するスキル
・ユーザーの真の要望を聞き出すスキル
・プロジェクト関係者との信頼関係を構築するスキル

技術力については、プログラミングの詳細まで熟知している必要はありませんが、システム全体のアーキテクチャ(設計思想・構造)を理解し、技術的な実現可能性を判断できる知識が必要です。また、新しい技術トレンドを常にキャッチアップし、プロジェクトに最適な技術選択ができる能力も求められます。

インフラSEとアプリケーションSEの違い

SEの中でも、専門分野によって大きく異なる業務内容があります。特に重要なのが、インフラSEとアプリケーションSEの違いです。

インフラSE
サーバー、ネットワーク、クラウドといったITインフラの設計、構築、運用を専門とするエンジニアです。公的機関では「基盤システムエンジニア」とも呼ばれています。

インフラSEの具体的な業務は、企業のITインフラ全体の設計から始まります。どのようなサーバー構成にするか、ネットワークをどう組むか、セキュリティ対策はどうするかなど、システムの土台作りを担当します。一般的にはインフラエンジニアがインフラ環境を整え、システムエンジニアがそのインフラを利用してシステムを開発するという役割分担があるとされています。

アプリケーションSE
業務システムやWebアプリケーションの設計・開発を担当します。顧客の業務要件を分析し、それを実現するためのシステム機能を設計することが主な仕事です。

転職市場では、現在インフラSEの需要が特に高まっています。クラウド化の進展やDX推進により、インフラ設計ができる人材が不足しているためです。未経験者にとっては、まずはどちらの分野に興味があるかを明確にし、それに応じた学習計画を立てることが重要でしょう。

未経験者はPGとSEどちらを目指すべき?

結局、未経験の私はプログラマーとシステムエンジニアのどちらを目指せばいいの?

これは転職相談で最もよく聞かれる質問の一つです。どちらも将来性のある職種ですが、あなたの性格や志向性、学習スタイルによって最適な選択は変わってきます。具体的な判断基準をお伝えしましょう。

性格・志向性別の適職判断

まず、あなたの性格や志向性から適職を判断してみましょう。

PGに向いているのは、細かい作業を長時間続けることが苦にならない人、新しい技術を学ぶことに興味がある人、一人で黙々と作業することを好む人です。一方、SEに向いているのは、人とのコミュニケーションを取るのが得意な人、全体像を把握して物事を進めるのが好きな人、顧客の要望を聞いて提案することに興味がある人です。

転職エージェントとして多くの未経験者を見てきた経験から言うと、「どちらが自分に合っているか分からない」という方は、まずPGから始めることをお勧めします。なぜなら、技術的な基礎力があった方が、後にSEになった際により説得力のある提案ができるからです。

学習コストと習得期間の比較

学習面での違いも重要な判断材料です。

PGの場合
学習内容が比較的明確です。プログラミング言語の習得、アルゴリズムの理解、データベースの基礎知識など、技術的なスキルが中心となります。学習コストは独学なら月1万円程度(書籍・オンライン教材)、プログラミングスクールなら30万円~80万円程度が相場です。

SEの場合
技術的なスキルに加えて、業務知識やコミュニケーションスキルも必要になります。そのため、実際の現場経験が重要で、学習期間もより長期間になる傾向があります。初期学習コストはPGと同程度ですが、継続的な業務知識の習得が必要です。

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PGからSEへのキャリアアップ|実務経験を積んだ後の成長パス

プログラマーとして経験を積んだ後、システムエンジニアにキャリアアップしたい

という相談を頻繁に受けます。実際に、PGからSEへの転身は最もポピュラーなキャリアパスの一つです。技術的な知識を持ったSEは現場でも重宝されるため、戦略的にキャリアを積めば確実にステップアップできます。

PG経験者がSEになるメリット

プログラマー経験者がSEになる最大のメリットは、技術的バックグラウンドの強さです。プログラマーとして経験を積んできた人が次ステップアップする職種としてSEを目指すのが最もポピュラーなキャリアパスとされています。

技術的バックグラウンドを持つSEの強みは、実現可能性を正確に判断できることです。顧客から「この機能を追加できますか?」と聞かれた際、PG経験のないSEは「調べてみないと分からない」と答えがちですが、PG経験のあるSEは「実装難易度は高いですが、○○の方法で実現可能です。ただし、開発期間は△△日必要です」と具体的な回答ができます。

SEの工程がなければプログラマーの工程まで仕事が回ってこないという構造があります。つまり、PG経験があることで、開発プロジェクト全体の流れを理解した設計ができるようになるのです。

転職エージェントとして現場を見ていると、「技術が分かるSE」は企業からの評価が非常に高く、年収交渉でも有利になることが多いです。特に、新しい技術の導入時には、その技術的な実現可能性とリスクを判断できる人材として重宝されます。

SEへの転身に必要な追加スキル

PGからSEに転身するために必要なスキルで最も重要なのは、コミュニケーション能力です。

SEという仕事がある以上、IT業界でもコミュニケーション能力は必要不可欠で、PGとSEに必要な能力には明確な違いがあります。PGは「確認するスキル」が最重要ですが、SEは「絵を描いて相手に伝えるスキル」が重要とされています。

具体的に身に付けるべきスキルは以下の通りです。まず、ヒアリング・提案スキルです。顧客の要望を正確に聞き取り、技術的な制約も考慮した現実的な提案ができる能力が必要です。次に、要件定義スキルです。曖昧な要望を具体的な仕様に落とし込む能力が求められます。

さらに、プロジェクトマネジメントスキルも重要です。スケジュール管理、品質管理、メンバーの進捗管理などができる能力が必要になります。小規模なプロジェクトでのリーダー役を経験し、要件定義の重要性を理解することで、3~5年以内にSEへの転換が可能とされています。

キャリアアップの具体的なロードマップ

プログラマーのキャリアパスには、技術力で開発をサポートするスペシャリストプロジェクト全体の管理を行うマネジメント職などがあります。

1年目から3年目
PGとしての技術力を確実に身につけることが最優先です。プログラミングスキルを深め、複数の言語やフレームワークに対応できるようになることが重要です。同時に、設計書の読み方や書き方を学び、上流工程への理解を深めていきます。

3年目から5年目
小規模プロジェクトのリーダー経験を積みます。このフェーズで、要件定義や基本設計の一部を担当し、顧客との打ち合わせにも参加するようになります。中堅SE(3~5年)のキャリアアップに有利な資格として、応用情報技術者試験やプロジェクトマネージャ試験が推奨されています。

5年目以降
本格的なSEとしての業務を担当します。プロジェクト全体の責任を持ち、顧客との要件定義から運用まで一貫して担当できるレベルを目指します。エンジニアとしてのキャリアパスを描く際は、5年後・10年後など中長期的な視点で考えることが重要とされています。

転職エージェントとしてアドバイスするなら、各段階で明確な目標を設定し、それに必要なスキルを計画的に習得することが成功の鍵です。特に、「技術力+コミュニケーション力」を併せ持つSEは市場価値が非常に高く、年収アップも期待できます。

求人票の見方と面接対策

求人票を見ても、どこをチェックすれば良い会社かどうか分からない…
面接で何を聞かれるか不安…

という声をよく聞きます。PGやSEの求人票は、一見同じように見えても実は大きな違いがあります。転職を成功させるためには、求人票の正しい読み方と面接対策が欠かせません。実際の採用現場での経験をもとに、具体的なポイントをお伝えします。

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求人票でチェックすべきポイント

求人票を見る際は、求人票に隠された「サイン」を読み解くことが重要です。

「プログラマー・システムエンジニア募集」のように複数職種をまとめて書いている求人は要注意です。入社後に希望と異なる職種に配属される可能性があります。優良企業は「Webアプリケーション開発エンジニア」「インフラ基盤設計SE」など、具体的な職種名と業務内容を明記しています。

技術的な記載内容も重要なチェックポイントです。使用技術や開発環境が具体的に書かれているか確認しましょう。「最新技術を使用」「幅広い技術に携われます」といった抽象的な表現が多い求人は、実際には古い技術しか使っていない可能性があります。

給与面では、「月給25万円~50万円」のように幅が広すぎる表記は危険信号です。残業時間(時間外労働)が多過ぎないか、休日数が極端に少なくないかを重点的にチェックすることが推奨されています。

転職エージェントとしてアドバイスするなら、求人票に書かれていない情報こそが重要です。例えば、プロジェクトの平均期間、チーム構成、研修制度の具体的な内容などは、面接で必ず質問しましょう。

面接でよく聞かれる職種理解に関する質問

PG・SE志望者の面接では、職種理解に関する質問が必ず出題されます。エンジニア転職の面接では、転職理由や志望動機のような定番の質問と、これまでの経験や業務内容に特化した2種類の質問が一般的とされています。

最もよく聞かれるのは「プログラマーとシステムエンジニアの違いを説明してください」という質問です。

回答例
「プログラマーは設計書に基づいてコードを書く実装担当者で、システムエンジニアは顧客の要望を整理してシステム全体を設計する上流工程の担当者です。私は将来的にはSEを目指したいと考えていますが、まずはPGとして技術力を身につけたいと思っています」

技術的な質問では、「どのプログラミング言語を学習していますか?なぜその言語を選びましたか?」という質問がよく出ます。

回答例
「JavaScriptを学習しています。Web開発で最も汎用性が高く、フロントエンドからバックエンドまで幅広く活用できるためです。将来的にはReactやNode.jsも習得したいと考えています」という形が効果的です。

また、「希望職種の仕事内容・業務理解についての質問」が面接で頻出するとされています。「なぜこの職種を選んだのですか?」という質問には、具体的なエピソードを交えて答えることが重要です。

未経験者が避けるべき求人の特徴

未経験者が特に注意すべきブラック求人の特徴があります。求人票の内容が曖昧で、やたらと「未経験歓迎」を強調し、業務内容やキャリアパスがぼんやりしている場合は要注意とされています。

ブラックIT企業の特徴

・残業代が固定または裁量労働制
・未経験者を大量採用
・研修制度の不足
・下請け業務ばかり
・求人情報の勤務地があいまい
・従業員数に対してオフィスが小さい
・自社製品・自社サービスがない
・企業規模や設立年数と不相応に取引先に大企業が多い

特に危険なのは、「急成長中!」「アットホームな職場」「やりがい重視」といったキャッチフレーズを多用する求人です。未経験エンジニア向け企業の定着状況調査は未経験からキャリアを築く上で重要です。

転職エージェントとして最も重要だと感じるのは、面接での質問内容です。技術的なスキルよりも「やる気」や「人柄」ばかりを重視する企業は要注意です。優良企業は未経験者に対しても、「なぜこの技術を学ぼうと思ったのか」「どのような学習計画を立てているか」など、具体的で建設的な質問をしてきます。

まとめ|PGとSEの違いを理解して理想のITキャリアをスタートしよう

PGとSEの違いを理解したあなたは、もう迷う必要はありません。PGは「コーディングに特化したスペシャリスト」、SEは「システム全体を設計・管理する職種」という明確な役割分担があります。

SEとPGでは年収差はありますが、キャリア初期ではそれほど大きな差はありません。最大79万人のIT人材が不足すると言われており、未経験からでも十分にチャンスがあります。

迷った場合は「PGから始めてSEにキャリアアップする」王道パターンがお勧めです。自分の適性と興味に合った職種を選び、計画的にスキルを身につけて理想のITキャリアをスタートさせましょう。

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