
目次
IPアドレスって何?
面接で聞かれたらどう答えよう…
そんな不安を抱えていませんか?
実は、IPアドレスはあなたが普段使っているスマートフォンやパソコンにも割り当てられている、とても身近な仕組みです。IT転職を目指す方にとって、IPアドレスの理解は面接での評価ポイントになるだけでなく、インフラエンジニアとして活躍するための第一歩となります。
本記事では、完全初心者の方でも5分で理解できるよう、住所に例えてIPアドレスの仕組みを解説し、転職活動での活用方法もご紹介します。
IPアドレスとは、インターネット上でデバイスを識別するための「住所」のような番号のことです。「192.168.1.1」といった数字を見ると難しく感じるかもしれませんが、実はとてもシンプルな仕組みです。
この章を読めば、IPアドレスの基本概念から実際の使われ方まで、面接で自信を持って説明できるレベルの知識が身につくでしょう。
IPアドレスとは、インターネット上でコンピュータやスマートフォンなどのデバイスを識別するための「住所」のような役割を果たす番号です。私たちが手紙を送る際に相手の住所が必要なように、インターネット上でデータをやり取りする際も、送信先を特定するためにIPアドレスが不可欠となります。
例えば、あなたがスマートフォンでYouTubeを視聴する場合を考えてみましょう。あなたのスマートフォンには固有のIPアドレスが割り当てられており、YouTubeのサーバーにも専用のIPアドレスが設定されています。この2つのIPアドレスがあることで、YouTubeのサーバーはあなたのスマートフォンに動画データを正確に届けることができるのです。
IPアドレスは「192.168.1.1」のような4つの数字をドット(.)で区切った形式で表現されます。この表記方法は「IPv4(Internet Protocol version 4)」と呼ばれ、現在最も広く使われている形式です。
それぞれの数字は0から255までの範囲で設定され、合計で約43億通りの組み合わせが可能です。これは現在の世界人口とほぼ同じ数で、理論的には地球上の全ての人に1つずつIPアドレスを割り当てることができる計算になります。
実際に、あなたのスマートフォンのIPアドレスも確認できます。iPhoneの場合は「設定」→「Wi-Fi」→接続中のネットワーク名をタップすることで、現在割り当てられているIPアドレスを見ることができます。Androidでも同様に「設定」→「Wi-Fi」から確認可能です。
なぜIPアドレスが必要なのでしょうか。これを郵便配達の仕組みで説明すると分かりやすくなります。
郵便局員が手紙を配達する際、封筒に書かれた住所を頼りに正確な配達先を見つけます。もし住所が書かれていなければ、手紙は届けることができません。インターネットも同じで、データの送信先を特定するためにIPアドレスという「住所」が必要になります。
特にインフラエンジニアの業務では、IPアドレスの理解が重要な意味を持ちます。企業のシステム構築時には、各サーバーやネットワーク機器に適切なIPアドレスを割り当て、データが正しく流れるよう設計する必要があります。
また、セキュリティ対策においてもIPアドレスは重要な役割を果たします。不正アクセスを検知する際、アクセス元のIPアドレスを特定することで、攻撃の発信元を突き止めることが可能になります。
IPアドレスって言葉だけ聞いても難しそう…
そんな印象をお持ちの方も多いでしょう。しかし実は、あなたが日常的に使っているスマートフォンやパソコンでも、IPアドレスは大活躍しています。身近な例を通じて、IPアドレスがどのように私たちの生活を支えているのかを見てみましょう。
まず、最も身近な例として自宅のWi-Fi接続を考えてみましょう。あなたがスマートフォンで自宅のWi-Fiに接続する際、実はIPアドレスによる通信が行われています。
自宅のルーター(Wi-Fiの親機)には「例)192.168.1.1」といったIPアドレスが設定されており、これがあなたの家のネットワークの「管理者」のような役割を果たしています。一方、Wi-Fiに接続したスマートフォンには「例)192.168.1.101」のような別のIPアドレスが自動的に割り当てられます。
この仕組みにより、ルーターは「どのデバイスがインターネットにアクセスしたいのか」を正確に把握し、適切にデータを転送できるのです。例えば、リビングでお母さんがタブレットでレシピを検索し、同時にあなたがスマートフォンでSNSを見ていても、それぞれのデータが混同することなく届くのは、IPアドレスがあるおかげです。
コロナ禍以降、ZoomやTeamsでのオンライン会議が日常的になりました。この際にも、IPアドレスが重要な役割を果たしています。
あなたがZoom会議に参加する時、あなたのパソコンのIPアドレスとZoomサーバーのIPアドレスが通信することで、映像や音声データのやり取りが実現されています。参加者が5人いる会議の場合、5台のデバイスそれぞれに異なるIPアドレスが割り当てられ、サーバーがこれらを管理することで、全員の映像と音声を適切に配信できるのです。
特に画面共有機能では、発表者のパソコンから他の参加者のIPアドレスに向けて画面データが送信され、リアルタイムで共有される仕組みになっています。
Amazonや楽天での買い物でも、IPアドレスは欠かせません。あなたがAmazonで商品を検索する際、以下のような流れでIPアドレスが活用されています。
まず、あなたのスマートフォンやパソコンからAmazonのサーバー(IPアドレス:例「54.239.28.85」)に商品検索のリクエストが送信されます。Amazonのサーバーは、あなたのデバイスのIPアドレスを認識し、検索結果を正確に返送します。さらに、決済処理の際には、セキュリティ強化のためにあなたのIPアドレスが記録され、不正利用の防止にも役立てられています。
オフィスでの複合機(プリンター・コピー機)の使用も、IPアドレスの身近な活用例です。
会社の複合機には「192.168.10.50」のような固定IPアドレスが設定されています。あなたがパソコンから印刷指示を出すと、パソコンのIPアドレスから複合機のIPアドレスに向けて印刷データが送信されます。同じフロアで複数の社員が同時に印刷を行っても、それぞれのIPアドレスが識別されることで、印刷物が混在することなく正確に処理されるのです。
また、スキャン機能を使用する際も、スキャンデータがあなたのパソコンのIPアドレスに向けて送信され、メールやファイルとして受け取ることができます。
これらの身近な例を通じて理解していただけるように、IPアドレスは決して難解な技術ではなく、私たちの日常生活を支える重要な仕組みなのです。インフラエンジニアを目指す方にとって、このような身近な例から理解を深めることは、面接での説明力向上にも直結します。
IPアドレスには大きく分けて「グローバルIP」と「プライベートIP」という2つの種類があります。さらに、割り当て方式によって「固定IP」と「動的IP」に分類されます。「種類が多くて覚えられない」と感じる方もいらっしゃるでしょうが、それぞれの役割を住所に例えて理解すれば、面接での説明も自信を持って行えるようになります。
グローバルIPアドレスとは、世界中で唯一の住所として機能するIPアドレスです。これは、あなたの自宅の住所が世界で一つしかないのと同じ概念です。
例えば、Googleのウェブサイトにアクセスする際に使われる「8.8.8.8」や、大手企業のサーバーに割り当てられたIPアドレスがグローバルIPに該当します。インターネット上で公開されているすべてのウェブサイトやサーバーには、このグローバルIPアドレスが必要不可欠です。
総務省によると、IPv4のグローバルIPアドレスは約43億個しか存在しないため、現在は枯渇状態にあります。そのため、より多くのアドレスを提供できるIPv6(約340澗個のアドレス)への移行が進められています。
プライベートIPアドレスは、家庭内や企業内のネットワークでのみ使用される「内部専用の住所」です。マンションの部屋番号のように、そのマンション(ネットワーク)内でのみ通用する住所と考えると理解しやすいでしょう。
代表的なプライベートIPアドレスの範囲
・192.168.0.1~192.168.255.254(家庭用ルーターでよく使用)
・10.0.0.1~10.255.255.254(大企業のネットワークで使用)
・172.16.0.1~172.31.255.254(中規模企業で使用)
あなたが自宅でWi-Fiに接続した際にスマートフォンに割り当てられる「192.168.1.101」のような数字が、まさにプライベートIPアドレスです。このアドレスは、同じルーターに接続された機器間での通信にのみ使用され、インターネット上では直接通信できません。
IPアドレスの割り当て方式には「固定IP」と「動的IP」の2種類があります。
固定IPアドレスは、その名の通り変更されない住所のようなものです。企業のサーバーや重要な機器には固定IPが設定されることが多く、これにより常に同じアドレスでアクセスできます。例えば、会社のプリンターには「192.168.10.50」といった固定IPが設定され、社員は常にこのアドレスで印刷できます。
一方、動的IPアドレスは、ネットワークに接続するたびに自動的に割り当てられる住所です。あなたがカフェのWi-Fiに接続する際、毎回異なるIPアドレスが割り当てられるのがこの仕組みです。DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)という技術により、利用可能なIPアドレスが自動的に割り当てられます。
インフラエンジニアって実際にどんな仕事をするの?
「IPアドレスの知識がどう活かされるか分からない…
そんな疑問をお持ちではありませんか?
インフラエンジニアの実務では、IPアドレスが日常的に使われており、システムの安定運用に欠かせない重要な役割を担っています。転職を成功させるためにも、具体的な業務イメージを持つことが大切です。
インフラエンジニアの代表的な業務であるサーバー構築では、IPアドレスの設定が最初の重要な作業となります。
例えば、企業の新しいWebサイトを立ち上げる際、Webサーバーに「203.0.113.10」といったグローバルIPアドレスを設定し、インターネットからアクセスできるようにします。同時に、データベースサーバーには「192.168.10.20」のようなプライベートIPアドレスを割り当て、セキュリティを確保しながら内部通信を可能にします。
また、負荷分散(ロードバランサー)を設定する際も、複数のサーバーにそれぞれ異なるIPアドレスを割り当て、アクセス量に応じてトラフィックを分散させる設計を行います。この作業により、大量のアクセスがあってもシステムが安定して稼働するのです。
「システムにつながらない」「インターネットが遅い」といった障害が発生した際、インフラエンジニアはIPアドレスを手がかりに原因を特定します。
実際の障害対応では、pingコマンドを使用してIPアドレス間の通信状況を確認したり、tracerouteコマンドでデータがどの経路を通っているかを調査したりします。例えば、「192.168.1.100」の端末から「8.8.8.8」(GoogleのDNSサーバー)に通信できない場合、どの時点で通信が途切れているかを段階的に調べることで、障害箇所を特定できます。
厚生労働省の「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、ネットワーク技術者の重要な業務として「システム障害の原因究明と復旧」が挙げられており、つまりこれはIPアドレスの理解は必須スキルということに繋がります。
近年、サイバー攻撃が増加する中で、IPアドレスを活用したセキュリティ対策は極めて重要です。
不正アクセス対策では、ファイアウォール(通信を制御する仕組み)で特定のIPアドレスからのアクセスをブロックしたり、逆に信頼できるIPアドレスからのみアクセスを許可したりする設定を行います。例えば、社内システムへのアクセスを「192.168.10.0~192.168.10.255」の範囲に限定することで、外部からの不正アクセスを防ぐことができます。
また、アクセスログの分析では、異常なアクセスパターンを持つIPアドレスを特定し、攻撃の兆候を早期発見します。
転職エージェントとしての経験では、これらの実務知識を面接で具体的に説明できる候補者は、企業からの評価が格段に高くなる傾向があります。単なる理論ではなく、実際の業務でどう活用されるかを理解していることで、即戦力としての期待値も上がるのです。
IPアドレスについて聞かれたらどう答えよう…
未経験でもアピールできるスキルなの?
そんな不安をお持ちの方に朗報です。
IPアドレスの基礎知識は、IT転職において大きな武器となります。面接官に技術的な理解力をアピールし、他の未経験候補者と差をつけるための具体的な活用術をご紹介しましょう。
IT企業の面接でよく聞かれる「IPアドレスについて説明してください」という質問への模範回答をご紹介します。
IPアドレスとは、インターネット上でコンピュータを識別するための住所のような番号です。
例えば、私たちが手紙を送る際に相手の住所が必要なように、インターネット上でデータをやり取りする際も、送信先を特定するためにIPアドレスが使われます。
種類としては、インターネット上で公開される『グローバルIP』と、社内や家庭内のネットワークで使用される『プライベートIP』があります。
この回答のポイントは、専門用語を使いすぎず、身近な例えを交えて説明することです。このように分かりやすく説明できる候補者は面接官から高く評価されます。
具体的には「技術的な内容を非IT職の社員にも理解してもらえる説明力がある」「顧客への技術説明時に信頼関係を築けそう」といった実務での活躍イメージを持ってもらえるのです。
IPアドレスの理解は、インフラエンジニアとして必要な技術スキルの入り口となります。転職市場で求められる関連スキルをご紹介します。
まず基礎レベルとして、IPアドレスの概念理解に加えて「サブネットマスク」「DHCP(自動IP割り当て機能)」「DNS(ドメイン名解決)」などの関連技術も学習しましょう。これらは、CCNA(シスコ認定ネットワーク アソシエイト)資格の基礎範囲に含まれており、未経験者でも3~6ヶ月の学習で習得可能です。
実際の企業ニーズとしては、クラウド環境(AWS、Azure、GCPなど)でのネットワーク設計スキルが特に重視されています。これらのクラウドサービスでも、仮想ネットワーク内でのIPアドレス管理が重要な業務となるためです。
実際にIPアドレスの知識を活かして転職に成功した事例をご紹介します。
25歳の技術職員だったSさんは、海外顧客対応に従事していました。IT転職を決意後、CCNAの資格取得を目指し、IPアドレスの基礎から実践まで体系的に学習しました。
面接では「海外出張時のネットワーク接続トラブルでIPアドレスの重要性を痛感し、CCNAでサブネット設計を学び、AWS環境でのVPC構築も実践しました」と具体的な学習過程をアピール。結果として、技術的なバックグラウンドとIT知識を評価され、年収300万円のインフラエンジニア職に内定。
入社後は、お客様のネットワーク・サーバー環境の保守業務を通じて、IPアドレス管理やCisco機器でのトラブルシューティングスキルをさらに向上させました。現在は航空系アプリのAWS・Salesforce基盤運用にステップアップし、VPC内でのIPアドレス管理など、学習したネットワーク知識を実務で活用しています。
これらの成功事例からわかるように、IPアドレスの知識は単なる暗記ではなく、実際に手を動かして理解することで、面接での説得力が格段に向上するのです。
IPアドレスの理解は、ITエンジニアへの転職における重要な第一歩です。「難しそう」と感じていた方も、住所に例えた説明や身近な活用例を通じて、その仕組みが意外とシンプルであることをご理解いただけたのではないでしょうか。
転職エージェントとしての経験から、IPアドレスの基礎知識を持つ未経験者は面接で高く評価される傾向があります。特にインフラエンジニア職では、この知識が実務に直結するため、学習への意欲と技術理解力の証明となるのです。
次のステップとして、まずは自宅のWi-Fi設定でIPアドレスを実際に確認してみましょう。その後、CCNAやLinuCなどの資格学習を通じて、ネットワーク知識を体系的に身につけることをお勧めします。
IPアドレスという小さな一歩から、ITエンジニアとしての充実したキャリアを築いていきましょう。