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クラウドエンジニアという職種を見つけたけど、そもそもクラウドって何?
未経験でも本当に転職できるの?
そんな疑問をお持ちではありませんか?
現在、国内企業のクラウドサービス利用率は70.4%に達し、クラウドエンジニアの需要が急速に高まっています。この記事では、クラウドの基本概念から転職成功への具体的なステップまでを分かりやすく解説します。
「クラウドって何?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は、あなたが毎日使っているサービスの多くが、すでに「クラウド」なのです。
クラウドとは、インターネット経由でコンピューターのサービスやデータを利用できる仕組みのことです。正式には「クラウドコンピューティング」と呼ばれます。
なぜ「クラウド(雲)」と呼ばれるのでしょうか?それは、雲のように「どこにあるか分からないけれど、いつでも利用できる」という特徴があるからです。実際のサーバーは世界各地に存在していますが、利用者はその場所を意識することなく、インターネット環境があればどこからでもアクセスできます。
総務省の「令和5年版 情報通信白書」によると、国内企業のクラウドサービス利用率は70.4%に達し、現代のビジネスにとって欠かせない存在になっています。
クラウドサービスは、提供される内容によって3つの形態に分けられます。
SaaS(Software as a Service)
完成したアプリケーションをそのまま利用できるサービスです。Gmail、Microsoft 365、Salesforceなど、ブラウザからアクセスするだけで使用できます。
PaaS(Platform as a Service)
アプリケーションを開発・実行するためのプラットフォームを提供します。Google App Engine、Microsoft Azureなどが代表的で、開発者はサーバー管理が不要でアプリケーションを作成できます。
IaaS(Infrastructure as a Service)
仮想サーバーやストレージなどのインフラを提供します。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)が代表的で、自由にシステムを構築できます。
従来のシステムとクラウドの違いを理解するために、まずは「オンプレミス」という言葉について説明しましょう。
オンプレミス(On-premises)とは、「自社の敷地内に」という意味で、企業が自社でサーバーやネットワーク機器を購入・設置・管理するシステム形態のことです。自社のオフィスや専用のデータセンターに物理的な機器を置いて運用する方法で、インターネットが普及する前から続く従来からの一般的な手法でした。
では、このオンプレミスとクラウドにはどのような違いがあるのでしょうか。以下の表で比較してみましょう。
従来システム(オンプレミス) | クラウド | |
初期投資 | 数百万円〜 | 0円〜 |
導入期間 | 数ヶ月〜1年 | 数分〜数日 |
運用管理 | 自社で管理 | 事業者が管理 |
拡張性 | 事前に容量決定 | 使用量に応じて調整 |
最も大きな違いは、「所有から利用へ」の発想転換です。車を例にすると、従来は「自家用車を購入する」ような考え方でしたが、クラウドは「必要な時にタクシーを呼ぶ」ような感覚で、必要な分だけサービスを利用できるのです。
この基本概念を理解していただけたでしょうか。次章では、あなたが日常的に使っているクラウドサービスの具体例を通じて、さらに理解を深めていきましょう。
クラウドの基本概念を理解したところで、「でも実際にどんなサービスがクラウドなの?」と疑問に思われる方も多いでしょう。実は、あなたが日常的に使っているサービスの多くが、すでにクラウドサービスなのです。
普段何気なく使っているサービスの多くが、実は「クラウドサービス」だということをご存知でしょうか?
Gmailを例に考えてみましょう。あなたがメールを送受信すると、そのデータはあなたのスマホやパソコンではなく、Googleの大きなコンピューター(サーバー)に保存されます。だからこそ、家のパソコンで読んだメールを、外出先のスマホでも同じように見ることができるのです。
LINEも同じ仕組みです。友達とのトーク履歴や送った写真は、LINE社のサーバーに保存されています。機種変更をしても過去のやりとりが消えないのは、データがクラウド上にあるからなのです。
Instagramで投稿した写真や、Netflixで見る映画も同様です。これらのデータは世界中にあるデータセンターに保存されており、インターネットを通じて私たちのデバイスに届けられています。
ご自身のパソコンやスマホでGoogleドライブやiCloudなどのサービスを使ったことはありませんか?写真やファイルを「クラウドに保存」することで、スマホを紛失してもデータが残ったり、複数のデバイスで同じファイルを見られたりします。
総務省の調査では、個人のクラウドサービス利用率は78.2%に達しており、多くの人が無意識にクラウドサービスを活用していることが分かります。
企業向けのクラウドサービスも急速に普及しています。freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトは、従来のインストール型から完全にクラウド型に移行しており、経理担当者が在宅勤務でも業務を継続できるようになりました。
Salesforceは営業管理(CRM)分野で世界最大手のクラウドサービスで、顧客情報や営業活動をクラウド上で一元管理できます。SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールも、リモートワークの普及とともに企業での導入が急増しています。
これらの企業向けクラウドサービスに共通するのは、「どこからでもアクセスできる」「複数の人が同時に使える」「データが自動的に保存・同期される」という特徴です。従来のように「会社のパソコンでしか使えない」「データが個人のパソコンに保存される」といった制限がなくなったことで、働き方の選択肢が大幅に広がりました。
このように、個人から企業まで、私たちの生活や仕事はすでにクラウドサービスに支えられているのです。
クラウドの基本概念や身近な例を理解したところで、「なぜ企業はクラウドを導入するのか?」という疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。
実際に、多くの企業がオンプレミスからクラウドへの移行を進めていますが、クラウド導入の背景には大きく5つの理由があります。
最も大きな理由が、圧倒的なコスト削減効果です。従来のオンプレミス環境では、サーバーやネットワーク機器の購入だけで数百万円から数千万円の初期投資が必要でした。しかし、クラウドサービスなら月額数千円から始められます。
これは、家を買うのと賃貸に住むのと同じような違いです。家を買えば最初に数千万円必要ですが、賃貸なら月々の家賃だけで済みますよね。
「DX白書2023」によると、クラウド導入企業の84.2%が「コスト削減効果を実感している」と回答しています。
東日本大震災以降、企業のBCP(事業継続計画)対策は必須となりました。クラウドサービスは、世界中の複数のデータセンターにデータを分散保存するため、自然災害や障害に対して極めて強い耐性を持ちます。
AWSやMicrosoft Azureなどの大手クラウドサービスは、99.9%以上の稼働率を保証しており、自社でサーバーを管理するよりもはるかに安全です。
コロナ禍を経て、リモートワークは企業の標準的な働き方となりました。クラウドサービスなら、インターネット環境があればどこからでも社内システムにアクセスできるため、在宅勤務やハイブリッドワークが容易に実現できます。
従来のオンプレミス環境では、社外から社内システムにアクセスするためには複雑なVPN設定が必要でしたが、クラウドサービスはブラウザからの簡単なアクセスで業務が継続できます。Google WorkspaceやMicrosoft 365などのクラウドサービスを導入することで、従業員は自宅からでも会社と同じ環境で業務を行えるようになりました。
従来は、将来のことを考えて大きめのコンピューターを最初から用意する必要がありました。しかしクラウドなら、ビジネスの成長や季節変動に応じて、システムリソースを柔軟に調整できることも大きな魅力です。
例えば、ネットショップのセール期間中だけサーバーを強化することが、数分でできるのです。
クラウドサービスでは、セキュリティパッチや機能アップデートが自動的に適用されます。従来のシステムでは、セキュリティ更新や新機能の追加を自分たちで行う必要があったため多大な時間と労力を要していました。しかし、クラウドならサービス提供者が責任を持って最新状態を維持してくれます。
これら5つの理由により、日本企業のクラウド導入率は年々上昇しており、それに伴ってクラウド関連の技術者需要も急激に高まっています。
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クラウドの基本概念を理解したあなたが次に知りたいのは、「未経験でも目指せるの?」という具体的なキャリアの話ではないでしょうか。転職エージェントとして多くの未経験者の転職をサポートしてきた経験から、クラウド技術に関わる職種への転職についてご説明します。
IT業界には複数の職種がありますが、クラウド技術に関わる職種の中で、未経験者が最も転職しやすいのがインフラエンジニアです。
インフラエンジニア
サーバーやネットワークなどのITインフラ全般を担当します。従来のオンプレミス環境からクラウド環境まで幅広く対応し、システムの基盤部分を支える重要な役割を担います。日常業務としては、サーバーの監視・保守、ネットワーク設定、障害対応などが中心となります。
転職エージェントの現場感覚では、未経験者にはインフラエンジニアからのスタートを推奨しています。実際の転職事例でも、構成作家からインフラエンジニアに転職したRさんのように、インフラエンジニアとして入社後、AWS関連の資格を取得することでクラウドプロジェクトに参画するキャリアパスが一般的です。
クラウドエンジニアになるには、難しいプログラミングが必要?
という不安をお持ちの方も多いでしょう。実は、クラウドエンジニアはプログラミングなしで始められる職種の一つです。
最低限必要な技術知識として、コンピューターの基礎知識(CPU、メモリ、ストレージ)、ネットワークの基本概念(IPアドレス、ポート番号)、クラウドサービスの操作(ブラウザ上の管理画面)があれば十分です。これらは高校の情報科目レベルの知識で対応できます。
転職エージェントの現場感覚では、論理的思考力が最も重要なスキルです。「なぜこの設定が必要なのか」を順序立てて考える能力があれば、技術的な知識は働きながら身につけることができます。
年収については、転職エージェントとして企業から実際に共有される求人情報をもとに、リアルな傾向をご紹介します。
未経験者の初年度年収
300万円~400万円程度からスタートする案件が多く見られます。これは一般的な事務職や営業職と同程度かやや高めの水準です。
経験を積んだ後の年収推移
クラウド関連の技術習得や資格取得により、段階的な年収向上が期待できます。特にAWS認定やAzure認定などの資格を取得することで、転職市場での評価が高まる傾向があります。
働き方の特徴
多くのIT企業がリモートワークやフレックス制度を導入しており、働き方の柔軟性も大きなメリットとなっています。
企業の採用担当者と話す中で感じるのは、「技術力よりも学習意欲や成長ポテンシャルを重視する」企業が増えていることです。特に20代の未経験者であれば、長期的な成長を見込んで採用する企業も多く見られます。
クラウドエンジニアについての仕事内容や必要な資格を詳しく知りたい方は併せてご覧ください。
クラウドについて理解したいけど、どこから始めれば良いの?
お金をかけずに学習できる方法はある?
そんな疑問をお持ちの方のために、未経験者にオススメの実践的な学習方法をご紹介します。
AWS無料利用枠の活用法
最も実践的な学習方法です。AWSでは「AWS無料利用枠」として、12ヶ月間無料でクラウドサービスを体験できます。仮想サーバー(EC2)やデータベース(RDS)など、実際の企業で使われているサービスを手を動かしながら学習できます。アカウント作成にはクレジットカードが必要ですが、無料枠内であれば料金は発生しません。
初心者向けオンライン学習プラットフォーム
AWS公式の「AWS Skill Builder」が完全無料で利用できます。日本語対応で、基礎から応用まで体系的に学べます。また、YouTubeでも「AWS 初心者向け」で検索すると、高品質な学習動画が多数見つかります。
実際に手を動かせる学習環境
「AWS Cloud9」というクラウドIDE(統合開発環境)を活用しましょう。ブラウザ上で動作するため、自分のパソコンに何もインストールすることなく、クラウド環境での作業を体験できます。
転職エージェントとして多くのクラウド未経験者の学習進捗を見てきた経験から、効果的な学習スケジュールをご提案します。
最初の1ヶ月:基本概念の理解
クラウドの基本的な仕組みと主要サービスの概要を学びます。1日30分程度で十分ですので、通勤時間やスキマ時間を活用して、AWS公式ドキュメントや入門書を読み進めましょう。この段階では「なんとなく理解できた」程度で問題ありません。
2-3ヶ月目:実践的な操作体験
実際にクラウドサービスを操作します。AWS無料利用枠を使って、仮想サーバーの作成・停止、データベースの構築、ファイルストレージの設定などを体験してください。最初は手順書通りに進めるだけで構いません。重要なのは「実際に触れた」という経験です。
3-6ヶ月目:資格取得と転職準備
具体的な資格取得を目指します。AWS認定クラウドプラクティショナーやMicrosoft Azure Fundamentalsなど、未経験者向けの資格から始めましょう。
これらの資格は、未経験者の「学習意欲の証明」として企業から高く評価される傾向があります。特にAWS認定クラウドプラクティショナーは、クラウドの基礎概念を体系的に理解していることを示すため、面接での技術的な話題についていけることをアピールできます。
学習を継続するコツは、「完璧を目指さないこと」です。最初は理解できないことがあっても、実際に操作しながら徐々に理解を深めていけば問題ありません。転職エージェントとして多くの成功事例を見てきましたが、「継続的に学習する姿勢」が最も重要な要素です。
実際に自分でも転職できるの?
という疑問もでてきたのではないでしょうか。転職エージェントとして日々企業の採用担当者とやりとりしている立場から、よくある疑問にお答えします。
※お申し込みは簡単5ステップ(約1分)で完了です。
結論から申し上げると、未経験からクラウドエンジニアへの転職は十分可能です。
実際の転職成功事例として、小売業(スーパーマーケット)から転職したSさんは、わずか2か月の転職活動でインフラエンジニアとして内定を獲得しました。転職後は積極的に資格取得に励み、CCNA、AWS SAA、AWS SAP、LPIC3を取得し、入社から1年以内という早いタイミングで上流工程のAWS環境をベースにしたシステム設計・構築プロジェクトに参画しています。
重要なのは、学習への意欲と継続力です。企業の採用担当者は「技術力よりも、学び続ける姿勢を重視している」とよく話しています。
文系出身者でも全く問題ありません。クラウドエンジニアに必要なのは、高度な数学知識ではなく「論理的思考力」です。
実際に、多くの文系出身者がクラウドエンジニアとして活躍しています。文系出身者が重宝される理由は、顧客とのコミュニケーション能力や、複雑な要件を整理する力に長けているからです。
先ほどの転職事例のSさんも、小売業での「全体の段取りを意識する力」と「年齢や立場に関係なく積極的に質問する姿勢」が現在の業務で活かされていると語っています。プログラミングのような数学的な計算は必要なく、むしろ論理的思考力が重要です。
この記事を通じて、「クラウドとは何か」という疑問から始まり、未経験者でもクラウドエンジニアを目指せることをお伝えしてきました。
クラウドは決して遠い存在ではありません。あなたが日常的に使っているGmailやLINE、Netflixと同じ技術が、今や企業のビジネスを支えています。そして、この成長分野で活躍するエンジニアへの需要は、これからも増え続けるでしょう。
重要なのは、完璧を目指すことではなく、今日から行動を始めることです。AWS無料利用枠でクラウドに触れ、基礎資格の取得を目指し、継続的に学習を続ける。このシンプルなステップが、あなたを新しいキャリアへと導きます。
転職エージェントとして多くの成功事例を見てきましたが、「学び続ける意欲」さえあれば、文系出身者でも、IT未経験者でも、必ずクラウドエンジニアになれます。あなたのクラウドエンジニアとしての第一歩を、今この瞬間から踏み出してみませんか?
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