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今の事務の仕事、このままでいいのかな?
IT業界に興味があるけど、プログラミングは難しそう…
そんな風に感じていませんか。IT事務は、そんなあなたの悩みを解決し、IT業界への扉を開くための一つの選択肢です。この記事では、IT事務の仕事内容からキャリアパスまで、未経験の方が抱く疑問に丁寧にお答えします。あなたの新しいキャリアを考えるきっかけにしてください。
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IT事務とは、IT業界の企業や、一般企業のIT部門で、専門的な知識を活かしてエンジニアや社員をサポートする事務職です。一般的な事務職とは異なり、ITに関する知識が求められる場面が多いのが特徴です。ここでは、その基本的な役割と、多くの人が疑問に思う一般事務との違いについて解説します。
IT事務の基本的な役割は、ITに関連する事務作業やサポート業務を通じて、組織全体の業務がスムーズに進むように支援することです。例えば、社員が使用するパソコンの準備をしたり、社内で使われているシステムの簡単な問い合わせに答えたりします。エンジニアが本来の専門業務に集中できるように、縁の下の力持ちとしてIT環境を整える重要なポジションです。
IT事務と一般事務の最も大きな違いは、扱う業務の対象がITに関連しているかどうかです。一般事務が書類作成や電話応対、備品管理といったオフィス全体の業務を担うのに対し、IT事務はパソコンや社内システム、ソフトウェアなどITに特化した業務を担当します。そのため、WordやExcelのスキルに加えて、ITに関する基本的な用語や知識が求められる点が明確な違いと言えるでしょう。
| 比較項目 | IT事務 | 一般事務 |
| 主な業務 | PC設定、アカウント管理、IT資産管理、ヘルプデスク | 書類作成、電話・来客応対、データ入力、備品管理 |
| 必要な知識 | ITに関する基礎知識、基本的な専門用語 | 特になし(業界知識は別途必要) |
| 主な職場 | IT企業、企業のIT部門 | あらゆる業界の企業 |

IT事務の仕事は多岐にわたりますが、どれも企業のIT環境を支えるために欠かせない業務です。ここでは、代表的な仕事内容を5つ紹介します。これらの業務を通じて、あなたは少しずつITの知識を深めていくことができるでしょう。
新入社員の入社や部署の異動に伴い、新しいパソコンを業務で使えるように準備する「キッティング」と呼ばれる作業です。パソコンを開封し、OSの初期設定や、業務で必要となるソフトウェアのインストール、セキュリティ設定などを行います。マニュアルに沿って進めることがほとんどなので、未経験でも安心して取り組める業務の一つです。
社員が業務で利用する様々なシステムのアカウントを発行したり、パスワードを忘れてしまった際の再設定手続きを行ったりします。情報セキュリティに関わる重要な業務であり、正確な作業が求められます。企業の情報を守る門番のような役割を担うことになります。
企業が所有するパソコンやモニター、スマートフォンといったIT機器や、使用しているソフトウェアのライセンスを管理します。どの部署で、誰が、どの機器を使っているかを台帳で管理し、必要に応じて新しい機器の発注なども行います。適切な資産管理は、企業のコンプライアンスを維持する上で非常に重要です。
「パソコンの動作が遅い」「プリンターに接続できない」といった社員からのITに関する様々な問い合わせに対応します。一次対応として、まずは状況をヒアリングし、簡単なトラブルであればマニュアルを見ながら解決に導きます。専門的な対応が必要な場合は、エンジニアに引き継ぐ橋渡し役も担います。
エンジニアが作成した専門的な内容の議事録を整えたり、社員向けに新しいシステムの操作マニュアルを作成したりします。ITの知識がない人にも分かりやすいように、図やスクリーンショットなどを使って丁寧に作成することが求められます。相手の立場に立って資料を作成する能力が活かせる業務です。


IT事務は、未経験からIT業界を目指す方にとって多くの魅力がある職種です。ここでは、IT事務として働くことで得られる主なメリットを4つご紹介します。これらのメリットは、あなたのキャリアをより豊かにする可能性を秘めています。
最大のメリットは、専門的なスキルや実務経験がなくてもIT業界に足を踏み入れられることです。IT業界は人手不足の傾向にあり、多くの企業がポテンシャルを重視して未経験者を採用しています。IT事務として働きながら業界の雰囲気や仕事の流れを掴めるため、IT業界への入門として最適な職種と言えるでしょう。
IT事務は、一般事務と比較して給与水準が高い傾向にあります。これは、ITに関する基本的な知識やスキルが求められるため、その専門性が評価されるからです。未経験からのスタートであっても、一般事務より高い給与でキャリアを始められる可能性があり、収入アップを目指す方にとっては大きな魅力です。
日々の業務を通じて、ITに関する幅広い基礎知識が自然と身につきます。パソコンのハードウェアやソフトウェア、ネットワーク、セキュリティに関する知識は、他のどのような職種でも役立つポータブルスキルです。実務経験を積むことで、あなたの市場価値は着実に高まっていくでしょう。
IT業界は、リモートワークやフレックスタイム制度など、柔軟な働き方を導入している企業が多いことも特徴です。IT事務も例外ではなく、在宅勤務が可能な求人も増えています。ライフステージの変化に合わせて働き方を調整しやすく、仕事とプライベートのバランスを保ちながら長くキャリアを築いていきたい方にとって、魅力的な環境です。


多くのメリットがある一方で、IT事務として働く上での大変さも存在します。ここでは、転職後に後悔しないために知っておきたいデメリットを3つ紹介します。これらを事前に理解しておくことで、より現実的なキャリアプランを描くことができるでしょう。
ITの世界は技術の進歩が非常に速いため、常に新しい知識を学び続ける姿勢が不可欠です。社内で新しいツールが導入されたり、OSがアップデートされたりするたびに、それらの情報をキャッチアップし、業務に反映させる必要があります。学習意欲を維持することが、この仕事を続ける上での鍵となります。
IT事務の仕事は、これまで見てきたように多岐にわたります。パソコンの設定からトラブル対応、資産管理まで、幅広い業務を担当するため、覚えるべきことがたくさんあります。特にキャリアの初期段階では、マニュアルを読んだり先輩に質問したりしながら、一つひとつ着実に知識を吸収していく努力が必要です。
ヘルプデスク業務では、システムトラブルなどで困っている社員から問い合わせを受けます。相手が焦っていたり、感情的になっていたりすることもあり、冷静かつ丁寧に対応する精神的な強さが求められます。人の役に立てるやりがいがある一方で、時には板挟みになってストレスを感じる場面もあるかもしれません。

IT事務は、誰にでもできる仕事というわけではなく、特定の適性を持つ人が活躍しやすい職種です。ここでは、どのような人がIT事務に向いているのか、その特徴を3つ挙げます。自分に当てはまるかどうか、チェックしてみてください。
IT事務の仕事の本質は「サポート」です。エンジニアや社員がスムーズに仕事を進められるように裏方で支えることに喜びを感じられる人は、この仕事に大きなやりがいを見出すことができるでしょう。「ありがとう」と感謝されることにモチベーションを感じる人には最適な職種です。
ITの世界に興味があり、新しいスマートフォンやアプリが出るとつい試してみたくなるような知的好奇心旺盛な人は、IT事務に向いています。業務で新しい知識を学ぶことを「楽しい」と感じられる人であれば、継続的な学習も苦にならず、スキルアップしていくことができるでしょう。
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アカウント管理やIT資産管理など、IT事務の業務には地道で正確性が求められる作業が多く含まれます。ミスが許されない細かい作業を、集中力を切らさずにコツコツとこなすことが得意な人は、その能力を大いに発揮できます。丁寧な仕事ぶりが、周囲からの信頼につながります。
| 向いている人の特徴 | 具体的な資質 |
| サポート好き | 人の役に立つことに喜びを感じ、感謝されると嬉しい |
| ITへの関心 | 新しい技術やツールへの好奇心があり、学ぶことが好き |
| 正確な作業が得意 | 地道な作業を集中して丁寧に行うことができる |


IT事務になるために必須の資格はありませんが、持っていると転職活動で有利になったり、就職後に役立ったりするスキルや資格があります。ここでは、代表的なものを4つ紹介します。これらを身につけることで、自信を持ってキャリアをスタートさせることができるでしょう。
Wordでの文書作成、Excelでのデータ集計やグラフ作成、PowerPointでの資料作成といったMicrosoft Office製品の基本的な操作スキルは必須です。特にExcelでは、VLOOKUP関数やピボットテーブルなど、一歩進んだ機能を使いこなせると業務の効率が格段に上がり、高く評価されます。
IT事務は、社内の様々な部署の人と関わる仕事です。ITに詳しくない人からの問い合わせ内容を正確にヒアリングしたり、難しい専門用語を分かりやすい言葉で説明したりする能力が求められます。相手の立場を理解し、円滑な人間関係を築くコミュニケーションスキルは非常に重要です。
ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識を証明する国家資格です。セキュリティやネットワーク、データベースといったITの幅広い分野の基本を体系的に学ぶことができます。未経験からIT業界を目指す人が、ITに対する意欲と基礎知識を示す上で最適な資格と言えるでしょう。
MOSは、WordやExcelなどの利用スキルを証明する国際資格です。試験は実践的な内容で、資格取得の勉強を通じて実務に直結するスキルが身につきます。「Excelが得意です」と口で言うだけでなく、客観的な証明として提示できるため、転職活動において強力なアピールになります。なお、2025年9月24日より、MOSは合格日から5年間の有効期限が設けられています。
参考:MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト


IT事務はゴールではなく、IT業界でキャリアを築いていくためのスタートラインです。IT事務として経験を積んだ後には、様々なキャリアパスが広がっています。ここでは、代表的な3つのキャリアパスを紹介します。あなたの将来の目標を考える参考にしてください。
IT事務としてITの基礎知識を身につけた後、より専門的な分野に進む道です。例えば、サーバーやネットワークの構築・運用を担うインフラエンジニアや、システムの開発に携わるプログラマーなどが考えられます。日々の業務でエンジニアと関わる中で、自分が興味を持てる分野を見つけ、必要な資格を取得するなどしてステップアップを目指します。
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社内SEは、自社の情報システムやITインフラの企画、導入、運用、管理を担当する職種です。IT事務として現場の課題やニーズを理解した経験は、社内SEとしてシステム導入などを検討する際に大いに役立ちます。事業会社の一員として、ITの力で自社の成長に貢献したいという志向を持つ人に向いています。
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必ずしもエンジニアを目指すだけがキャリアパスではありません。IT事務としての経験を深め、後輩の育成やチームのマネジメントを担うリーダーや、より高度なITサポートを行うスペシャリストとしてキャリアを築く道もあります。サポート業務のプロフェッショナルとして、なくてはならない存在になることも一つの立派なキャリアです。
IT事務は、未経験からIT業界へのキャリアをスタートさせるための非常に魅力的な職種です。一般事務の経験を活かしながら、専門的なITスキルを身につけ、将来的にエンジニアや社内SEといった専門職へとステップアップすることも可能です。
継続的な学習は必要ですが、人をサポートすることにやりがいを感じ、ITの世界に興味がある方なら、きっと楽しみながら成長していくことができるでしょう。この記事が、あなたの新たな一歩を後押しするものになれば嬉しいです。
